株式講座 初級編

第1章 株って何?

これから株式投資をはじめようという人に株の話をすると、決まって最初の質問は「株ってなーに」になります。しかし、これに答えるのは相当の難問。真正面から説明するのではたぶん分かりづらいでしょう。

急がば回れという諺もあります。ここでは昔、そう江戸時代に戻ってみましょう。江戸中期にもなると、各地に名産が生まれ、商業や流通が盛んになりました。このころ、自分で商売をしようとする人は、まず他の店の番頭などをやってお金をため、それを元手に品物を仕入れて売るということをはじめます。店を構える商人になるのです。

このときの元手(元入金ともいいます)が現代の「株」の原型です。この商人は仕入れ代金を支払わなければなりませんが、売り上げればその代金は全部自分のものです。現代では会社の社員たちが仕入れや売り上げを計算し資金を管理します。しかしこれは会社の社員が支払いも売り上げも自分のものにするのではなく、法律的には元手の代わりの株を所有している人のものです。

つまり株のすべてを所有していれば(全額出資ともいいます)その会社の事業による収益と費用はすべて株の所有者のものになります。全額出資ではなくて、共同で出資している場合はどうかというと、出資している比率(これを所有割合あるいは持分といいます)に応じて収益と費用がその人のものになります。ただし実際にはこの両者を手元に取り寄せて計算して・・などというのは手間隙がかかります。したがって、社員が一括して収益から費用を引いて利益か損失を計算します。そのうち出資した人の分はその人の持分として考えることができます。

ある会社が発行した株が例えば1,000万株あり、あなたがそのうち10万株の所有者(株主といいます)であるとすると会社全体のうち1%部分を保有していることになります。株は第一に会社の(一部分にせよ)所有者の証です。このことから株を所有していると良くも悪しくもいろいろな権利、義務がついてきます。初心者は配当とか、株主優待とか、得てしてこの権利部分だけに注目しがちですが、せっかくですから株の意味するところもきちんと頭に入れておきましょう。

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