株式講座 中級編
第9章 成長株など色々な呼び名があるが?
上場されている株はいくつかのグループに分けることができます。
成長株
成長株というと、ちょっと紛らわしいのですが株価が高成長する企業の株のことではありません。会社の業容や収益が高い成長を続けてきた(この後も続けていくであろう)企業あるいは企業が高成長期に入ったと判断される場合のその企業の株をいいます。
日本の高度成長期にはソニー、TDKなど電機銘柄に数多くあり、他業種でも業界他社に比べ抜きん出て伸びる企業がありました。証券市場では業界横断的にそれらの企業だけ集めて成長株といいました。現在は、デフレがようやく終結する段階でパイは一気には大きくなりませんので、こうした成長株探しも難しく、それだけに熱も入ります。
なお、若い業種で高成長するもののほか新しい成長分野を開拓し業容が一変したものも含まれます。
中小型株
東京証券取引所では時価総額(株価に総発行株数をかけた数値)と流動性(一日当たりの出来高の多さ)を勘案して上位100社を選び、これを大型株といいます。次のランクの400社を中型株、残りを小型株といっています。
中小型株は相場エネルギーの低い状態のときや景気が回復してくるときなどに市場人気を集めることが多いようです。大型株は金余りの時期、景気拡張の最盛期などに物色されるケースが多いようです。
値嵩株
株価が高い銘柄を値嵩株といいます。一株買うにも値が張るという意味ですが、いくら以上なら値嵩株といった定義はなく相対的に高水準にあるものです。品薄(供給が少ない)になっているものも多いので、市場エネルギーが乏しい局面で買われることも多いといわれます。
低位株
値嵩株の反対で市場では株価位置が低い株を低位株といいます。これも絶対的な基準はありません。業績不振銘柄はもちろん株価評価が低くなるので低位株に含まれますが、市場での流通量の多い株もやはり需給面から低位株になるケースが多いようです。流通量の多いものの代表格は大型株です。これらの銘柄は市場の底上げの最終局面に出遅れ物色されるとか、過剰流動性相場で人気を集めることが多いようです。
材料株
その企業の株価を動かすような話が出てきたとき、その株を材料株といいます。もちろん株価上昇を予想させるような材料(好材料)だけでなく、株価下落あるいは証券市場からの退場を予想させるような材料(悪材料)もあります。
材料の評価は投資家一人ひとり違うことが多く、たとえ好材料であっても評価し過ぎとなり後で乱高下したり、逆の場合も評価を落としすぎてその後乱高下したりするケースが多いのです。評価は慎重に、材料株として市場人気を集めているときは動きにつられて何がなんでもすぐ飛びつくのは投資戦略として下策です。
仕手株
仕手株の仕手とは読んで字のごとく仕掛ける手です。仕手株とは仕手が絡んで動きがある銘柄や信用取り組みが接近しそこに仕掛け的な動きが出る銘柄をいいます。また材料があってそこから仕手相場となることも多く、仕手材料株と呼ばれることもあります。
仕手筋が株集めを行い易い銘柄は比較的発行株数が少ないもの、会社経営陣が株価に関心が薄いところ、業績変動の大きいところなどです。
信用取り組みの接近というのは、その銘柄を信用売りしている株数と信用買いしている株数が接近ないし売り方株数が買い方株数を上回っているものです。この場合しばしば売り株券の調達が困難になって逆日歩が付いたりします。買い方はこの状況をさらに切迫させるために信用買いした株を現引きし、株不足を広げるなどして売り方に逆日歩攻勢をかけたりします。
ところで仕手株はそのとき仕手人気化するだけではなく、同じ銘柄が折に触れ仕手株、仕手系株として市場人気を集めるケースが多いのです。これは仕手筋に買い集められたあと、仕手筋が買い玉をうまく処理できればいいのですが、成功しないケースも多いため玉が偏ったまま(ある数箇所に固まっているなど)になっているからです。
時間を置いてから仕手筋が再び仕掛けるケース、株が人気を失って仕手筋が持ったまま沈んでいれば、その玉を引き取って仕掛けたいという別の仕手筋が出てくることが多いためです。まとまった玉を捌くのはなかなか困難で、ふつう別の大量取得したいとする向きが出てくるまでその塊はほぐれないものです。
ただし、会社の業績がそれまで一株利益10円〜20円程度を行ったり来たりしていたのにある時期から一株利益が50円、翌期は同じく70円、その次は同100円というように収益力が居所を変えると、将来性を評価した投資信託や年金ファンドなどの買い(これらは長期保有目的の場合が多い)などが入ってきて玉がこなれ、仕手株の要素がなくなるケースもみられます。
新興市場
新興市場はマザーズ、ジャスダックなど主にベンチャー企業が上場し、その企業の成長性を評価した投資家から資金調達が図れるよう作られた市場です。投資家の目論見どおり企業が成長するとその投資効率は驚くほど高まりますが、目論見が外れると上場廃止や倒産ということも十分に考えられます。
新興市場での投資は、通常の市場に上場している株以上に長期的な見通しを立て、慎重かつ大胆に行動すべきでしょう。
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