株式講座 上級編

第20章 相場は生命体、跳ねることもあれば休むこともある

人は、というより生命はみなエネルギー代謝、乱暴にいえば呼吸します。短期間なら息を止めて走れますし、呼吸動作を伴わないほうが速いスピードということもあるでしょう。しかし、例えばゆっくりと呼吸しながら歩けば無理なく長い距離をいくことができます。

相場も休み、徐々に上昇スピードをつけ、急伸し、反転して急落したりします。上昇の中でも途中で休みを入れたり、跳ね上がってみたりいろいろあります。

たしかに相場には多数の人が参加します。そして結局はお金の問題なのだから、そうした人間的な呼吸やら何かがあるわけではないと思う人も多いと思います。

事実、一見そのようにもみえますが、そのお金を投入、回収するのは人なのです。人間的原理が働いても決しておかしくはありません。

ちょっと話は変わりますが、経済では景気循環は幅広く認められていて、50年前後の長期波動をコンドラチェフの波、20年周期の中期的循環をクズネッツの波、あるいはクズネッツの建設循環、10年程度の循環をジュグラーの波、設備投資循環、3年強の循環をキチンの波、在庫循環といいます。

キチンサイクルは在庫循環ですが、この背後には個人消費が波打っているのが透けてみえます。また、ジュグラーサイクルは設備投資の波です。つまり個人消費などの動き、在庫の動きの裏側の心理だけでなく、ジュグラーサイクルには、経営者の心理なども含まれます。

クズネッツサイクルは人が成長し、家庭を作り、子育てをしという、人の営み(大多数の人の心理という意味でもあり、団塊の世代のように国や時代による人口のばらつき=当然人間心理なども入っています)に基づきます。

コンドラチェフサイクルとなると、個々の人の心理というよりも直接的には時代、国などの影響といえるでしょうが、もちろん長期的な意味では人間心理が基底をなしているでしょう。イノベーション(技術革新)がこのサイクルの主動因との見方もあります。

これは分かりやすくするために、経済(GDPや個人消費などとしてまとめられた数字だけみていると人間心理は隠れてしまいます)を例にとりましたが、相場も同様です。

楽観的心理や恐怖心など人間ぽさがあり、上昇、下落のスピードや次の展開予測などいろいろ複雑に交じり合います。

その結果あたかも息を吸い、吐き、呼吸を止めたりする息継ぎのようなサイクルが生じるのだと思います。波動理論に与(くみ)する人のなかには生物的循環として7年サイクル説などを力説しますが、現実の経済を考える上ではそう明確に期間を決めずにもう少しファジーであってもいいと思います。

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