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プラチナ講演
ピクテ・ジャパン株式会社

金(ゴールド)を組み合わせる選択肢を、
長期の資産形成に

  • ピクテ・ジャパン株式会社シニア・フェロー
     塚本 卓治氏

米ドルは100分の1以下に

 世界最大級の独立系プライペートバンクを中核とするピクテ・グループは、1805年にスイスのジュネーブで誕生し、以来200年以上に渡り、お客様の資産を守り、そして育ててきた歴史があります。振り返ると世界恐慌や世界大戦など数々の動乱や混乱を経た200年余りにおいて、お客様の資産を保全する大切な役割を果たしてきたのが金(ゴールド)でした。資産の一部に金を組み入れる有効性について、お話したいと思います。

 金の価値はどこから来るのか―。基本的な疑問について、3つの点からご説明します。

 1つ目は、金そのものが持つ通貨としての性質です。かつては通貨の価値は金本位制として、各国の金保有量によって決定されていました。金を通貨として捉えれば、為替レートと同様に金の値動きも理解しやすいと思います。後ほど、詳しく説明します。

 2つ目は希少性です。金という鉱物は産出量が限られ、2023年の産出量はわずか3,646tに過ぎません。人類がこれまで掘り起こしてきた金の総量ですら、オリンピックプールに換算して約4.4杯分です。今のペースで掘り続けると、あと16年で埋蔵量の底が付くといわれています。

 3つ目は確かな需要です。金が購入される対象としては大きく、宝飾品と中央銀行、投資、工業用品の4つがあります。うち、宝飾品は49%を占めます。インドや中国の方々が宝飾品として金を好まれるといった話を聞かれたことがあると思います。私もインド人の友人に、どれくらい金に投資しているのか尋ねたことがあります。いわく、金は投資対象ではなく資産そのものだと。インドや中国は、今後も堅調な経済成長が予想されています。可処分所得が増加する国民が好んで購入する宝飾品の需要は、注目したいポイントです。

塚本 卓治氏

ピクテ・ジャパン株式会社
シニア・フェロー
塚本 卓治氏

 中央銀行は2022年あたりから年間で約1,000tもの金を買い始めています。米ドルと並ぶ通貨としての分散や地政学リスクへの備え、さらにはインフレへの備えといった観点が指摘されています。

 世界経済について米ドルを中心に物事を考えるだけではなく、金を中心に据えるとガラリと見え方が変わってきます。2000年以降の金価格を金利はないものとして米ドルや円と単純に比較すると、約25年間で米ドル建てでは約10倍、円建てでは約14倍になったと判断できます。ただ、金の価値は普遍的であり、金を固定の軸にして考えると、通貨価値の方が大きく下落したと捉えることができます。これは世界の中央銀行や政府が景気刺激策のために通貨の量を大幅に増やした結果だと言えます。

 こうした傾向は過去20年に限ったことではありません。1900年以降、金を100として米ドルの相対価値の推移を見てみると、世界恐慌の後やベトナム戦争などをきっかけに米ドルの価値が大きく下がる、すなわち金の価格が大きく増加するタイミングがあるのが分かります。120年余りで米ドルの価値は100分の1以下に下落しています。資産運用ではよく米ドルを中心に据えるといった話が聞かれますが、米ドルそのものの価値が減り続けているのです。米ドルの下落をヘッジする方法は分散投資として金を持つことが非常に有効で、だからこそ、ピクテでは200年の歴史において富裕層などのお客様に金の保有を推奨し続けてきたのです。

図表①金の需要シェア(2023年)

図表①金の需要シェア(2023年)

米国株式と金を50%ずつ保有

 1959年末から2023年末の63年間で、米ドルの通貨量は130倍に増えた一方、金価格の上昇は78倍です。物価上昇でインフレが進み米ドルの通貨量は大幅に増えたものの、金の生産量はそこまで増えていません。米ドルと金、双方の累計差によって金の「通貨としての希少性」は高まっています。仮に過去と同様に通貨量に金価格が追随していくのであれば、66%ほどの上昇余地が残される計算です。この先すぐにそうなるという話ではありませんが、意識していただきたい数字です。

 短期的な動向についても少しお話を加えます。米国では第二次トランプ政権が始まります。経済政策として減税と移民規制、通商、規制緩和の4つが挙げられます。それぞれの政策には副作用も伴います。例えば、減税は経済成長率にプラスですが、インフレ率を高め財政赤字を拡大させるもの。通商についてもインフレや景気への悪影響が懸念されます。これらは株にとってマイナスですが、金にはむしろプラスの要素です。

 加えて、東西冷戦や米中対立に始まる近年の分断の時代では物価が上がりやすく、トランプ政権の政策次第ではありますが、試算では今後10年でインフレ率は1.4%ほど上振れするシナリオを想定しています。とはいえ、第2次世界大戦後以降、最悪の水準を超える債務比率になっている米国は、簡単に金利を上げられるものではありません。

図表②「金」の歴史=「通貨価値下落」の歴史

図表②「金」の歴史=「通貨価値下落」の歴史

 こうした不透明な市場環境で強みを見せるのが金であり、株とは異なる値動きをする傾向が強いことから、資産を守る上でも金を組み入れることは大切です。株価が大きく下落する金融市場の混乱時に金価格が上昇するといった局面は過去に幾度となく起こっています。

 では、どの程度、金を保有するのが適切なのか―。円換算で米国株式と金を保有した前提で、過去20年のリスク・リターンを計算しました。その結果、米国株式と金を50%ずつ保有する割合がリスクを抑えながら、リターンを確保できたことが分かります。金を組み入れたポートフォリオで、長期での資産形成を実践していただければと思います。

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