資産間の相関が上昇すると“横の分散”投資が機能しない
- 川嶋:
- 資産運用においてリスク管理が大切な理由を、世界有数のオルタナティブ(代替)運用会社マン・グループの大石氏とともに3つのポイントで説明します。1つ目のポイントは、「市場の予測と資産運用」です。世界経済は人口増加や技術革新などを背景に拡大してきました。特に労働人口の増加は経済成長に寄与するとされ、2000年と比べて2023年の人口は約1.3倍に、経済規模は約2.1倍に伸びています。また、2060年に人口は約1.2倍に、経済規模は約1.9倍になると推定されています。
- 過去20年の国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、外国リート、新興国債券、米国ハイ・イールド債券の資産別推移を見ると、最も伸びているのが外国株式で、次点に米国ハイ・イールド債券、そして外国リートと続きます。いずれも堅調に推移していますが、伸び率には大きな差が出ています。このことから、資産運用では日本の資産のみならず世界の資産に目を向ける必要があるといえます。今後の世界経済の成長がもたらす恩恵は、世界の株式や債券など多様な資産への長期投資によって、享受することが期待できるでしょう。
野村アセットマネジメント株式会社
資産形成ソリューション部長
川嶋 昭臣氏
- ところで、なぜ長期投資が重要とされるのでしょうか。世界の大手金融機関各社が毎年公表するS&P500指数の予想値と実績値を比較すると、ほとんどの年で大きく乖離していることが分かります。つまり、短期で市場のリターンを予測することはプロでも難しいのです。予測困難な市場変動への一般的な対応策として、投資の基本である分散投資で値動きの安定化を図っていくことが有用とされていますが、分散投資によるリスクの低減にも実は限界があります。
- 大石:
- 図表①は、2010~2023年までの期間において、国内債券、国内株式、外国債券、外国株式、世界リートの各指数と、5つの資産を合成した指数の年間リターンの推移を示しています。例えば2022年のようにすべての資産が同時に下落した局面では、5資産に分散投資していても年間リターンは-6.2%となりました。このように資産間の相関が上昇して従来型の分散投資が効かない場面の解決策として、マン・グループは次世代型の分散投資ポートフォリオを提唱しています。これが、資産運用におけるリスク管理の2つ目のポイント「一歩先行く分散投資」です。
図表①各指数と合成指数の年間リターンの推移<円ベース>
- 従来型の分散投資は、株式や債券など異なる資産クラスに投資していきます。ここでは“横の分散”とします(図表②)。一度購入したらしばらく保有し続けて値上がりを待つような運用スタイルです。対して次世代型は、市場環境の変化に応じて資産を買うだけでなく売り持ち(価格が下がると利益が上がる取引)も組み合わせた“縦の分散”という考え方で、市場が下落した際もリターンを追求するのが特徴です。
図表②新たな分散投資のかたち:「横の分散」と「縦の分散」
システムなら24時間365日825超の市場をモニタリング可能
マン・グループ・ジャパン・リミテッド
執行役員 クライアント・リレーション部長
大石 佳敬氏
- 大石:
- これまでの資産運用では、「資産成長期」「資産安定成長期」「資産安定期」の3つに分けて、ライフステージが進んでいくごとに株式比率を下げて債券比率を上げることが王道とされてきました(図表③)。しかし食事に置き換えると、若い時はお肉ばかり食べて、リタイア前後からは野菜ばかり食べることになり、栄養が偏っている状態でとても理想的とはいえません。マン・グループは、どのライフステージでも栄養バランスを考えて食事をとり、代わりに食べる量でカロリーを調整するほうが有用と考えています。資産運用でいうと、投資配分比率ではなく投資金額の増減を調整することで収益向上を目指すという考え方です。
- 川嶋:
- しかし、食事の量や栄養バランスを調整することはそこまで難しいことではありませんが、資産運用で市場環境やライフステージに応じて各資産の投資金額を調整することは非常に負荷の高い作業といえます。この課題を解決するのが、「システムの力を借りて、ラクをする時代に」という資産運用におけるリスク管理の3つ目のポイントです。
図表③「縦の分散」を食事で例えると……
- 大石:
- マン・グループの投資対象市場は、株式や債券・金利、通貨、そしてトウモロコシや原油、金などコモディティなどを含め計825超の市場に投資を行っています。人間がこれら825超の市場をすべてモニタリングするのは現実的ではありません。
- そこでマン・グループではシステムが24時間365日、世界の多様な市場をモニタリングし、1秒間に数十万から数百万のデータを処理して取引を執行しています。年間の取引金額は1000兆円超で、これは米国の国家予算よりも少し上回る規模です。日本の名目GDP(国内総生産)が約600兆円ですので、非常に大規模な取引が行われていることがイメージいただけると思います。
- 川嶋:
- このような最先端の技術を駆使するシステムの開発を手掛けるマン・グループと連携し、野村アセットマネジメントは次世代型の分散投資を自社の投資信託に反映させています。投資にはリスクがつきものといわれますが、システムの力を借りることで、適切なリスク管理が実現できる時代がやってきたのです。
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