半導体は、従来はエアコンやテレビなどの家電の部品としての需要が大半でしたが、社会のIoT(モノのインターネット)化の進展であらゆるモノに搭載されるようになり、ニーズが拡大してきました。いまやスマートフォン、パソコン、EV(電気自動車)・自動運転車や電力インフラまで多様な電子機器に搭載され、日常生活になくてはならない存在となっています。そして、現在は半導体市場拡大のけん引役が自動車などで使われる産業用の半導体へとシフトしつつあり、今後さらなる需要の成長が見込まれています。
さらに、パワー半導体と呼ばれる半導体がEVや省エネルギー化を実現するインフラなどに欠かせない部品となっていることから、グローバルな課題となっている社会の脱炭素化を進める上でも、半導体需要の拡大が加速しているのです。
もちろん半導体自体の性能も急速な進化を遂げています。そもそも半導体は、ウエハーと呼ばれるシリコン製のチップの盤面上に描かれた回路に形成される、トランジスタ素子の数が性能を左右します。
三井住友トラスト・アセットマネジメント株式会社
常務執行役員
大野 宏央氏
半導体の性能がいかに飛躍的に向上してきたのか。例えばiPhoneに搭載される半導体の素子数は、2010年ごろのiPhone4では約1.5億個だったのに対して、最近のiPhone15では約240億個まで増加。その回路の線幅は、なんと約3ナノメートル(100億分の1メートル)まで微細化されているのです。
こうした指数関数的な性能向上は、我々の生活を大きく変えることになったGAFAM*に代表されるIT企業群のイノベーションの根幹となりました。そして現在進行形で続く半導体の能力向上は、今後も新たなデジタル革命とビジネスチャンスを生み出していくと予想されます。そうした中、半導体の製造にかかわる会社はもちろん、それを使ってビジネスを展開する企業にも長期的に大きな投資妙味が生まれるとみられます。近年、投資家から半導体産業が熱い注目を浴び続けている背景がここにあると言えるでしょう。
*グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック=現メタ、アップル、マイクロソフトの5社の総称
図表1:半導体はあらゆる産業のイノベーションの根幹
出所:経済産業省
半導体を作る際には、極めて高度な工程が必要となるため、様々な企業が分業で、専門的知見を持ち寄って製造を行うことが近年の主流となっています。そのため、ひとくちに半導体製造の関連企業といっても、その役割は幅広く存在します。さらに、それら企業が所在する国・地域も分散が進んでいます。
それゆえ、半導体関連企業への投資を考える際には、グローバルに投資機会を捉えつつ、関連企業を一括りで見るのではなく、多岐にわたる各社の役割・専門性を見極めながら個別企業ごとに投資妙味を判断していくことが重要になります。つまり、半導体投資ではアクティブ運用が優位性を発揮すると当社は考えているのです。
加えて、半導体関連銘柄に投資する際に注意しなければならないこととして、「シリコンサイクル」の存在があります。
半導体は、その複雑な製造工程から製品化までに多くの時間を要するため、新たに製品を出すと、最初は需要がありますが、ひとたび需要がピークを迎えると、供給過多となってしまいます。半導体産業はこうした好不況のサイクルを数年おきに繰り返す傾向があることが知られています。半導体投資はボラティリティ(値動きの幅)が高いと言う投資家が多いゆえんです。
図表2:世界の半導体市場規模の推移と将来予測
出所:Statistaのデータを基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
※【民生用】スマートフォン、パソコン、民生用電子機器、【産業用】産業用電子機器、自動車、サーバ、データセンター、記憶装置、通信インフラ
※上記は次の定義に基づいたものです。1999年~2019年(年次):WSTS(世界半導体市場統計)、2020年、2030年:ASML(2030年はASML予想)
ただし近年、半導体が活躍する場面が増えていることに伴い、半導体の種類も多様化しています。つまり製品ごとに好不況の周期がずれることも多くなっているのです。そこで、アクティブな投資先への目利きを通じて各製品のシリコンサイクルを見極めて銘柄選定を行うことが、安定的な半導体銘柄投資のカギとなっています。
もちろん、業界動向や競争環境を踏まえながら、その時投資すべき関連企業を選ぶことは簡単ではありません。半導体産業に精通したアクティブ運用のプロフェッショナルに、ポートフォリオ管理を任せることが重要になるでしょう。
最近、日本でも資産形成の重要性が叫ばれていますが、優秀なアクティブ・マネージャーの下で運用を行うならば、長期の資産形成の投資先に半導体産業を検討しない手はないと信じています。「本当にお客様の長期投資に資する運用商品しか提供しない」ことをモットーとする当社としても、半導体は注目いただきたい分野です。IoT化、脱炭素化といったこれからの社会が達成しなければならないイノベーションの原動力となる半導体の成長を、ぜひプロフェッショナルの目利きを活用するアクティブ・ファンドを通じて享受いただきたいと思います。
図表3:半導体(ICチップ)の製造工程
出所:各種資料を基に三井住友トラスト・アセットマネジメント作成
※主な製造工程を示したイメージ図です。一部工程は簡略化・省略可しており、全てを網羅したものではありません。また特定の有価証券への投資を推奨しているものではありません。
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