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プラチナ講演
アムンディ・ジャパン株式会社

「国策に売りなし」
60年ぶりの東証改革が追い風に!

  • アムンディ・ジャパン株式会社リテールビジネス本部 マネージングディレクター
    リテールビジネス本部長 兼 リテール営業部長
     吉田 泰造氏

外国人投資家主導の日本株相場 上昇の余地はまだあり

 2023年から始まった東京証券取引所の主導する市場改革、そして岸田政権が目指す資産運用立国プランなどを追い風に、日本株式市場は大きく上昇しています。しかしそれでも、株価の割高・割安を測るPER(株価収益率)は、2012年に始まったアベノミクス相場時の19倍に対し、足元では14倍。東証による市場区分替えなどの影響で当時と比べて構成銘柄が変化しているとはいえ、過去対比、そして他の先進国対比でもまだ割安といえるでしょう。

 現在の日本株の上昇は、アベノミクス当時と同じく、外国人投資家が主導しています。今回の外国人投資家による買い越し額は、2023年3月末以降で6兆円とアベノミクス当時の20兆円と比べると小さく、今後さらなる買いの余地が期待されます。

 その理由の一つは、円安の今、手持ちのドルを円に換えて日本株に投資する外国人投資家にとって、ドル建てでみたTOPIX(東証株価指数)は依然として2021年初頭と同程度の水準であることです。もう一つは、企業の純資産に対する株価の評価を表すPBR(株価純資産倍率)も、企業の解散価値以下とされる1倍割れの水準にある企業が半数近くにのぼる点です。このPBRの低さを改善しようと東証が改革に乗り出す中、PBRの低い銘柄、特に外国人に知名度の高い大型株式が特に買われています。

吉田 泰造氏

アムンディ・ジャパン株式会社
リテールビジネス本部 マネージングディレクター
リテールビジネス本部長 兼 リテール営業部長
吉田 泰造

図表1:外国人投資家にとっての日本株

図表1:外国人投資家にとっての日本株

(左図)期間:2022年1月4日~2023年8月25日、日次
出所:Bloomberg、Factset、東京証券取引所のデータを基にアムンディ・ジャパン株式会社が作成

 しかし、PBR1倍割れの銘柄はまだ多数あり、なかでも中小企業にはいい技術、いいビジネスを持っていながら分析対象とされていない企業が多数あります。我々は、そうした企業にいち早く目をつけて発掘することでダイヤの原石を見つける運用を23年前から行っています。

図表2:ダイヤの原石とは

図表2:ダイヤの原石とは

2023年9月末時点 出所:Fact Set のデータを基に、アムンディ・ジャパン株式会社が作成
個別の銘柄を推奨するものではありません

YDK=やればできる企業を選別し、改善を働きかける

 この戦略には3つのポイントがあります。まず1つ目が「国策に売りなし」。低PBRという日本株市場の構造問題にメスを入れる東証改革は当戦略にとっても直接的な追い風といえます。

 ただし、PBRが低い企業には企業自身に問題があるケースもあります。そのため、2つ目のポイントとしてYDK、つまり「やればできる企業」を選別し、改善の働きかけをしていくことが重要です。では、「やればできる企業」をどのように探すのか。事業面での技術や着実な収益源、財務の健全性など光るものは持っているが、「やり方」、つまり資本効率が悪いがために市場からの評価が停滞している企業に対し、PBRが1倍を超える経営を目指すことを働きかけます。当戦略では、特にROE(自己資本利益率)の向上を通じてPBR1倍超えを達成することを重視します。このためにはROEの式(図表③)における分子に相当する、当期純利益を着実に上げられる技術や収益源をもった企業に対し、自社株買いや配当等の株主還元によって自己資本(株主資本)、つまりPBRの分母を減らすことでROEの改善を目指すことが可能な企業を選別します。本来の資産価値より低い株価で評価されていた企業がPBR1倍を取り戻すことで、リターンを得られるわけです。

図表3:YDK(やればできる企業)になる、株価再評価の条件

図表3:YDK(やればできる企業)になる、株価再評価の条件

上記はイメージ図です 出所:アムンディ・ジャパン株式会社

 投資銘柄の一例が、自動車メーカーのホンダ系列の自動車シート部品メーカーであるテイ・エステックです。同社はもともと親会社であるホンダからの安定的な受注を中心とした経営でPBRも1倍を大きく下回る水準でしたが、経営陣の交代を機に我々が同社に提案してきたシート部品製造の内製化やホンダへの90%の利益依存度を引き下げを進めるなどの動きを通じ、経営が徐々に変化、当戦略での組入れ時から着実に株価が上昇してきています。当戦略では、このような働きかけを通じたPBRの向上と株価の上昇を追求しているわけです。

 また、3つ目は「やればできる企業」の選別が、結果的に下値リスクの抑制にも繋がるという点です。特に、当戦略で注目する株主還元を行う余力のある財務の健全な企業への投資は、過去においては2008年のリーマン・ショック時や、最近ではコロナショック後のインフレの亢進やウクライナ問題を受けた市場全体の下げ相場においても下落幅の抑制を達成してきました。近年、特に投信市場ではグロース寄りの株式投資が特に人気だったことから、このようなPBRの面からのバリュー(割安度)重視で、財務状況の健全な企業への投資は、市場下落時の影響を抑制する効果が期待できます。

 当戦略に基づく国内公募投資信託は、2009年の運用開始以来15年近くの間に、基準価額が3万7000円まで上昇しています。足元の東証改革もあり、当社の運用する同様の運用手法による他の国内公募投資信託も含めた合計の運用残高は、2023年1月の50億円程度から、直近では800億円を超える水準までに増加しています。当社は、外資系の運用会社ながら日本最古の運用会社をルーツとしています。このような実績が示すとおり、長い歴史に裏付けられた運用手法を継承しつつ、東証改革などのブームに乗るだけではなく本質的に割安でPBRの改善が見込まれる、ダイヤの原石を発掘する運用を行っています。

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