年金だけでは老後資金は不十分 インフレでお金は目減り
- 河本:
- 日本人の平均寿命は、健康の増進や医療技術の発達などによって延び続けており、2020年時点では女性が約88歳、男性は約82歳となっています(出所:内閣府「令和4年版高齢社会白書(全体版)」)。男女の平均寿命である84歳から、多くの方が定年を迎える65歳を引いた約20年間は、勤労による収入なしで生きていかなければならない現実があります。
- 一方、日本の労働生産人口は減り続けています。日本の年金制度は「賦課方式」と呼ばれ、現役世代が支払う年金は将来の自分のために積み立てるのではなく、今の高齢者に支払われる仕組みです。1950年には、現役世代12人で1人の高齢者を支えるという人口構成でした。これが時代とともに大きく変わり、2020年には2.1人で1人を支える状況となりました。そして2065年には、現役世代1.3人で高齢者1人を支えることになると予測されています。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社
投信営業部 アソシエイト
河本 瑞貴氏
- 「老後2,000万円問題」が2019年に話題になりました。これは65歳以上の夫婦のみの無職世帯が、家計収支で毎月5.1万円ほどの赤字になるという試算から来ています。仮に100歳まで生きるとしたら、35年間で必要なお金は2,000万円を超えることになります。ただし、この2,000万円は生きるために必要なぎりぎりの金額でしかありません。
- リタイア後に旅行やゴルフ、グルメを楽しんだり、お孫さんの教育資金を用意したりと、豊かな生活を送りたいのであれば2,000万円では足りないという声も聞きます。「ゆとりある老後生活費」には毎月15.9万円が不足し、100歳まで生きる場合には6,600万円以上が必要になるという試算もあります(出所:公益財団法人生命保険文化センター)。
- さらに、今の日本では物価上昇の話題が絶えません。インフレは世界的なトレンドですが、日本固有の要因として円安があります。日本は天然資源が乏しく、その多くを輸入に頼っています。貿易の決済に使われる通貨の大半が米ドルのため、輸入価格は米ドルの為替レートと連動します。足元の円安ドル高は輸入コストを上げる要因となり、物価上昇を招いているのです。
- これまでの30年間はほとんど物価が上がらず、デフレの期間が長く続きました。しかし、状況は明らかに変わりました。お金の価値に関する考え方も、今までと変える必要がありそうです。例えば手元資金が1,000万円あり、年2%ずつ物価が上昇していくと、20年後には、1,000万円の実質的な価値は673万円程度になってしまいます。わずか2%のインフレでも、時間が経てばお金が大きく目減りしてしまう現実があります。
ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント株式会社
投信営業部 ヴァイス・プレジデント
神原 新太郎氏
ヘッジ・コストを抑えながら安定的なリターンを目指す
- 神原:
- これまでの30年間は物価が上がらなかったので、資産を現金で持っていても、その価値は下がりませんでした。しかし、状況は大きく変わりました。これからは、お金にもしっかり働いてもらわなければならない時代だと思います。
- 日銀は以前から、物価上昇率の目標を年2%としてきました。当面は、この2%が資産運用の目標となるでしょう。そのためには、どのような資産に投資すればいいのでしょうか。図表①は国内外の債券における、過去20年間の年率リターンです。世界の投資適格社債は年平均3.6%のリターンで、インフレ目標の2%を上回っています。ハイ・イールド債(高利回りで格付けが低い債券)のリターンは年平均6.7%でした。
図表1:内外債券の年率リターン(現地通貨ベース)
期間:2003年7月末~2023年7月末 出所:ブルームバーグ
日本国債:FTSE日本国債インデックス 世界国債:FTSE世界国債インデックス 世界社債(投資適格):ブルームバーグ・グローバル総合社債インデックス
世界社債(ハイ・イールド):ブルームバーグ・グローバル・ハイ・イールド社債インデックス
上記は過去のデータであり、将来の動向を示唆あるいは保証するものではありません。
- 神原:
- また、2022年以降の世界的な利上げの影響もあり、米国の投資適格社債の利回りは2023年9月末時点で6.04%と、過去10年で最も高い水準にあります(出所:ブルームバーグ)。これから債券投資を始める方にとって、魅力的な水準といえそうです。
- しかし、外国通貨建ての社債に投資する場合、為替の影響を考慮する必要があります。足元では為替は円安ですが、円高に転じたら、損失が生じてしまいます。
- 為替変動の影響を抑える手法に「為替ヘッジ」があります。ただし、為替ヘッジを行うためにはヘッジ・コストと呼ばれるコストがかかります。最近では米国の金利上昇に伴い、対米ドルでヘッジ・コストは大きく上昇しました。2023年9月末時点のヘッジ・コストは5.97%です。先ほどの米国の投資適格社債の利回り6.04%と比較すると、為替ヘッジ後の最終利回りはわずか0.07%となります(図表②)。
図表2:米国投資適格社債の利回りと米ドル/円のヘッジ・コスト、最終利回りの推移
米国投資適格社債の利回りにはブルームバーグ・米国投資適格社債指数を、米ドル円ヘッジ・コストには米ドル円3ヵ月ヘッジ・コスト(年率)を使用
期間:2003年9月末~2023年9月末
出所:ブルームバーグ
過去のデータは将来の動向を示唆あるいは保証するものではありません。
- 神原:
- このような事態を打開するために、私たちが提案するのが「パーシャルヘッジ」という、部分的に為替ヘッジを行う戦略です。具体的には、全体の70%程度ヘッジを行います。
- 図表③はグローバル短中期社債指数の推移に対して、為替ヘッジなし、100%ヘッジと、70%ヘッジの3つの値動きの試算を比較したものです。70%ヘッジは、100%ヘッジと同様に穏やかな値動きでありながら、ヘッジ・コストの上昇局面でもリターンが確保できたという結果になりました。過去20年間の平均リターンは年2.1%となりました。
図表3:グローバル短中期社債指数のヘッジ比率別の値動きの推移
期間:2003年7月末~2023年7月末(上図はグラフ始点を100として指数化)
出所:ブルームバーグのデータを基にゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント作成
グローバル短中期社債:35% ブルームバーグ・グローバル総合社債インデックス1-3年+35% ブルームバーグ・グローバル総合社債インデックス3-5年+30% ブルームバーグ・グローバル・ハイ・イールド社債インデックス1-5年Ba/B(すべて円ベース)
指数値は実際の運用による結果ではありません。指数に直接投資することはできません。指数の試算は、一定の仮定に基づいており、運用者の投資判断に影響を与える市場要因や経済要因は考慮されておりません。上記は経済や市場等の過去のデータであり、将来の動向を示唆あるいは保証するものではありません。
- 神原:
- パーシャルヘッジは、皆さまの資産運用における「安定運用資産」に向けた運用戦略です。安定性を重視するため、投資対象は先進国の債券のみとしています。
- 海外の資産に投資する際は、今までは為替ヘッジなしか、100%ヘッジの2つの選択肢しかありませんでした。3つ目の選択肢として、私たちが提唱するパーシャルヘッジを、ぜひ検討していただきたいと考えています。
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