株式と債券の同時安に見舞われた異例の2022年
- 神谷:
- 医療をはじめとする様々な技術の急速な進歩で私たちの寿命は延び、100歳まで生きることが当たり前の時代が到来しつつあります。人生100年時代を豊かに生きていくためには、健康に気を遣うだけでなく、老後資金もしっかりと準備する必要があります。
- 医療に関しては、医療技術や医療機器、医療制度などが、テクノロジーの力で日々向上していることを見聞きする機会が多いのではないでしょうか。ウェアラブル端末による測定機能を日常的に活用している方などは、最先端の医療をより身近に感じているはずです。
- 一方、テクノロジーを活用した資産運用事例を聞かれて答えられる方はそう多くはないでしょう。そこで今回は、最先端技術を資産運用に取り入れた投資モデルを開発しているAHL社を傘下に持つ、マン・グループの日本拠点で運用第三部長を務める大石佳敬氏に、昨今の市場動向と、それを踏まえた次世代の運用手法のあり方、システムやAI(人工知能)がどのように資産運用に活用されているのかをご説明いただきます。
野村アセットマネジメント株式会社
資産形成ソリューション部 マーケティング・マネージャー
神谷 脩士氏
- 大石:
- まずは2022年の市場の特殊性から解説します。2021年末から2022年9月にかけて、世界株式指数と米国株式指数は2割程度下落しました。この大きな要因の一つとしてロシアによるウクライナ侵攻が挙げられます。同時期に、世界債券指数と米国債券指数も2割超の、歴史的に異例な下げ幅を記録しています。この背景には、米国のインフレとたび重なる利上げがあります。
- 株式と債券は一般的に異なる値動きをする傾向にあるため、双方に分散して投資することでそれぞれの価格変動リスクをカバーするのに役立つとされています。ところが2022年は株式と債券の価格が同時に下落しました。手軽に分散投資を可能とするバランス型ファンドを保有されている方などはパフォーマンスの悪化を経験し、分散投資の有効性に疑問を抱かれたかもしれません。
- 実のところ、分散投資が機能しなくなったわけではなく、2022年が異例だったという見方も可能です。過去50年を振り返ると、米国株式と米国債券がともにマイナスリターンだった年は2022年だけです(図表①)。とはいえ、長期にわたって資産を形成するとなると、特殊な相場環境に直面することもあるでしょう。
図表1:1年を通じての株・債券の同時下落はまれな現象
米国株、米国債ともマイナスリターンだったのは過去50年間で1度(2022年のみ)
出所:マン・グループ、ブルームバーグ
年齢に合わせて変えるのは投資配分比率ではなく投資金額
- 大石:
- 長期の資産形成で重要なポイントの一つは、「分散投資」です。従来のポートフォリオでは、株式や債券など異なる資産クラスに投資を行うことを分散投資と呼びます。これを“横の分散”とします(図表②)。
図表2:新たな分散投資のかたち:「横の分散」と「縦の分散」
次世代型:市場環境に合わせ、投資配分比率を調整することがポイント(売りも活用)
出所:マン・グループ
マン・グループ・ジャパン・リミテッド
東京支店 運用第三部長
大石 佳敬氏
- 大石:
- 対して次世代型の分散投資ポートフォリオは、各資産への投資配分比率を固定とするのではなく、市場環境の変化に応じ、投資金額を調整することで安定的な利益の追求を目指します。これを“縦の分散”とします。縦の分散では、状況に応じて、資産を買うだけでなく、売り持ち(価格が下がると利益が上がる取引)も組み合わせることで、下落局面も含めた様々な市場変化に順応していきます。
- 資産運用においてリスクとは、リターンの振れ幅を指します。一般的に、高いリターンが期待できる商品ほどリスクも高くなる傾向にあります。若い世代はリスク許容度が高いため株式などリスクの高い資産を中心とした運用が、リタイアを見据えた世代はリスク許容度が低くなるため債券など安全資産の比率を上げた運用スタイルが望ましいといわれることがあります。
- これを食事に例えると、若い時はお肉ばかり食べて、リタイア前後からは野菜ばかり食べることになり、栄養が偏ってしまうとは思いませんか。バランスのよい食事で、その年齢に見合ったカロリーに応じて食べる量を調整していくほうが健康的です。資産運用も同様に、次世代型分散投資ポートフォリオではライフステージによって投資配分比率(食べるもの)を変えるのではなく、最適なバランスを維持したまま投資金額(食べる量)の増減で対応していきます(図表③)。
図表3:「縦の分散」を食事で例えると…
出所:マン・グループ
- 大石:
- このように投資金額を調整する上で重要なポイントが、「リスクコントロール」です。どの程度のリスクを許容できるのかをしっかりと見極めた上で、そのリスクに見合った投資対象・金額を適切に選択していくことが重要です。
- しかし、リスクコントロールは容易ではありません。そこでテクノロジーの出番です。マン・グループのシステムは、世界中の多用な市場を24時間365日休まず監視してリスクコントロールを行っていきます。また、投資している資産の売買に際しては、人間にはさばき切れない大量のデータを独自のAI(人工知能)で処理し、コスト削減に役立てています。
- これらのAIやシステムを開発するのが人間です。マン・グループでは金融工学の研究者集団が、新薬の開発のように慎重かつ厳正な管理体制のもとでシステム開発を行っています。
- 神谷:
- この最先端の技術を駆使したリスクコントロールの徹底で、市場の下落局面において損失を抑えるマン・グループの戦略を当社はファンドに採用しました。特徴は、①システムが24時間休まず世界中の動きを観測して投資判断していること、②AIなどの次世代テクノロジーを活用した売買執行をしていること、③「リスクコントロール戦略」と、市場の上昇局面だけでなく下落局面でも収益の獲得を狙う「トレンド戦略」が相場の異変を察知して対応していることです。この3つで長期の経済成長を捉え、世界中の市場へ徹底的に分散投資し、チャンスを逃さずリスクを見逃さない運用を目指します。
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