長期視点で今後の世界経済や金融市場の変化を考えた際、大きく2つの資産がポートフォリオに寄与すると私たちは考えています。それが資産株と金(ゴールド)です。背景をお伝えしましょう。
世界経済は今、長期的な環境変化にさらされています。1つはグローバリゼーションの終焉です。これは過去60年以上に渡る世界の鉱工業生産額に占める輸出額と米国の関税率の推移を見れば一目瞭然です。米国はこれまで関税率を徐々に引き下げながら貿易の門戸を開き、世界のグローバリゼーションを推進してきました。ただ、トランプ大統領の登場とともに変化が訪れ、米国は自国第一主義に傾いていきました。最適地生産によりインフレ圧力を抑え、平和と経済成長という恩恵を与えてきたグローバリゼーションという「恵みの雨」が止んでしまったことにお気づきの方は多いのではないでしょうか。
2つ目は人口動態の変化です。長期的なトレンドで生産年齢人口は減少傾向にあります。特にその傾向は先進国で顕著で、生産性も徐々に低下傾向にありますので、これからの経済成長率は低位にとどまる可能性が高まっています。今後5年間の実質GDP成長率予測を見ると新興国が年間で平均約4%であるのに対し、米国やユーロ圏は約1%に留まります。
ピクテ・ジャパン株式会社
運用・商品本部 投資戦略部長
塚本 卓治氏
これらの変化は、貿易抑制や生産の減少などを通じて先進国経済の成長を鈍化させ、ひいては株式市場が低迷する要因になり得ます。ただ、そうは言っても米国株の堅調さを指摘する声も多く聞かれます。ここでは投資の基本的な法則に立ち返っていただきたいのです。米国の代表的な株価指数であるS&P500の過去10年間のリターンと、投資時点における同指数のバリュエーションを示すPER(株価収益率)の間には逆相関の関係が明確に見て取れます。つまり、現在の株高は過去割安な水準で投資をした成果に他なりません。そして現在、PERは比較的割高な水準にあります。
為替の動向にも注意が必要です。米国はいずれ利下げに踏み切ると予想されています。その際には、たとえ長期的な円安トレンドにあったとしても、一時的にドル安圧力が働く可能性も否定できません。
これまで円安の恩恵を受けてきた資産についてじっくりと見守る必要が出てくるかもしれません。
ピクテ・グループのお客様である世界の富裕層の方には、世界の代表的な資産の長期的な収益率予想を交えながら、基本ポートフォリオの見直しといった投資戦略について定期的にお話をさせていただきます。例えば、株式3割、ヘッジ債券7割といった安定的なポートフォリオの長期の期待リターンは1.5%となる可能性があり、仮にインフレ率が2%だとすれば、インフレに勝てないという試算になります。そこで、インフレに勝つためにはより高いリターンが期待でき、異なる動きを示す資産を組み入れるといった工夫が求められます。新興国の株式や割安に放置されている株式、インフレに強い金なども有効な選択肢だと考えています。
ポートフォリオに工夫が求められる状況で、今回は資産株に注目していただきたいと思います。資産株とは、資産形成の手段として長期の保有に耐えうる株式を指します。株式投資の最大のリスクであるデフォルト(倒産)の割合が過去一番低かった業種が公益で、電気やガス、水道といった生活に密接に関係した事業を行う企業の株式は、安定的な配当収入が期待できる面でも資産株の代表格です。
私たちピクテでは、世界の高配当利回りの公益株に投資する投資信託を提供しており、この3年間、平均して年11%の成長を遂げてきました。
図表1:今後5年間のマクロ経済予想
*長期トレンドは潜在成長率をベースに、景気循環の要因を加味して推計
出所:リフィニティブ an LSED businessのデータを使用し、ピクテ・アセット・マネジメント作成
図表2:値動きの安定性
※2022年についてはロシア企業のデフォルトを除いた集計
※ 業種はMoody’sによる分類、建築・建設とREITの間にある18業種は省略
出所:Moody’sのデータを基にピクテ・ジャパン作成
※当資料中のデータ・分析等は過去の実績や将来の予測に基づくものであり、運用成果や市場環境等を示唆・保証するものではありません。
公益企業は景気の良し悪しに関わらず、安定した需要が見込める点が強みで、景気減速が予想される足元の世界経済でも堅調な業績が期待できます。加えて、欧米で利下げが意識される状況では再評価される可能性が高まります。特に米国の規制下の公益事業は、将来生み出すキャッシュフローの可視性が高いことから債券と同様に金利上昇局面では敬遠されてきた傾向にあり、そのため足元では割安となっています。さらに今後は政策上、クリーンエネルギーへのシフトが進み、公益企業の増益が進むと考えられている点も追い風です。
注目していただきたいもう1つの資産がゴールド(金)です。金は有史以来、無価値になったことが一度もなく、資産保全における重要な役割を果たしてきました。過去100年以上、ドルとの相対価値を比較しても、通貨供給量の拡大やインフレといった影響でドルの価値は大幅に下落してきました。金は、長期的に物価上昇を上回る価格上昇を示しているのも特徴です。資産保全やインフレへの備えの観点でも金をポートフォリオに組み入れていただきたいと思います。その手段として投資信託は利便性が高いものです。私たちが提供する投資信託では実質的に現物の金に投資しピクテの金庫等で管理する仕組みを取っています。
図表3:金の主な特徴と価格変動の要因
※イラストはイメージです。
※各要因の変動に対する金価格への影響は、あくまでもイメージであり、必ずしもこのように影響を与えるとは限りません。
ピクテ・グループは、1805年にスイスのジュネーブで誕生し、富裕層向けに資産運用や資産管理サービスを提供してきた世界最大級の独立系プライペートバンクを中核にしています。パートナーによる共同経営は、外部の圧力にさらされることなく投資家の皆様と同じ目線での持続的なビジネスを可能にしています。200年以上に渡る歴史において、世界の大きな変化に対峙してきたピクテの知見を、皆様の資産運用に活かしていただけますと幸いです。
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