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ピムコジャパンリミテッド

人生100年時代に備える資産運用のヒント
PIMCOの世界経済見通しと債券投資の魅力

  • ピムコジャパンリミテッド投資信託営業部 シニア・バイス・プレジデント
     木村 総一氏

良いニュースは、悪いニュース

 PIMCOは262兆円(2023年12月末時点)の運用規模を誇る世界最大級の運用会社です。公募・私募両市場の高い専門性を有し、特に債券アクティブ運用においては設立以来50年、市場をリードしてきました。年4回発行する独自の経済見通しは、サブプライムローン問題、欧州債務問題を事前に予測した実績があり、世界中のメディアが注目しています。

 2024年経済予測のキーワードは「良いニュースは、悪いニュース」です。良いニュースは、米国経済にソフトランディング(軟着陸)が期待されていることです。2023年はグローバル経済に対して米国経済の堅調さが際立ち、市場は2024年も米国経済がプラス成長を続けると見ています。堅調な経済の背景にあるのが、底堅い個人消費です。個人消費は米国経済の約70%を占め、新型コロナ禍での失業保険給付金などの貯蓄が好調な消費につながりました。また、コロナ後、堅調な経済を受けて労働需要が回復した一方で、高齢者などが労働市場から退出し労働者が減少した結果、失業率は過去40年で例を見ない水準にまで低下しました。そのため、労働者の奪い合いから賃金が上昇し、これも消費の伸びにつながる要因となりました。

木村 総一氏

ピムコジャパンリミテッド
投資信託営業部 シニア・バイス・プレジデント
木村 総一

 対して悪いニュースとは、FRB(米連邦準備制度理事会)がインフレ抑制のために進めてきた利上げです。インフレ率は、先ほど良いニュースとして挙げた失業率の低さ、賃金増加の影響で下がりにくくなっています。失業率は2024年2月にわずかに上昇に転じたものの、足元のインフレ率(コア米消費者物価指数)は前年同月比3.8%(2024年3月)と、FRBの目標2%を相応に上回っており、FRBがいつ、どの程度利下げに転じるかに注目が集まっています。

 一方、利下げに転じても利下げのスピード、幅は緩やかなものに留まり、高金利環境は当面続く可能性があります。金利の高止まりはローン利払いの増加など家計の負担増となります。さらに、2024年は既存債務の借り換えを行う米企業が多く、資金調達コストの上昇が企業収益を圧迫することが懸念されています。こうしたことから2024年の米国経済は、当面レジリエンス(強靭性)を見せる可能性はあるものの、2024年内には他の先進国と足並みを揃え、徐々に減速していくリスクも高いでしょう(図表①)。

図表1:主要国の実質GDP成長率

(2022年の実績値、2023/2024年は予測値) 図表1:主要国の実質GDP成長率

※2023年9月末時点
出所:Bloomberg

図表2:米国の債券(社債)と株式の利回り比較

図表2:米国の債券(社債)と株式の利回り比較

期間:2013年9月~2023年9月
出所:Bloomberg、BBB格社債はBloomberg BBB格コーポレート指数、株式はS&P500種株価指数を使用

 また、過去の事例はハードランディング(景気後退)の可能性を軽視すべきではないという警鐘を鳴らしています。過去60年間のデータによるとインフレ率が低下する局面は失業率の上昇を伴うことが多く、計算上、インフレ率がFRBの目指す2%まで低下すると失業率3.8%(2024年3月)は4.6%に上昇する可能性があります。しかしながら、FRBの2024年失業率予想は4.1%(2023年12月時点)に留まっており、市場関係者と中央銀行がともにハードランディングのシナリオを楽観視しているという点には注意をする必要があるでしょう。

 一方、悪いニュースは投資にとって良いニュースにもなりえます。今後景気が減速して中央銀行が利下げに転じれば、債券の価格は上昇します。悪い経済シナリオは、実は債券投資には好材料にもなりえるのです。

資産運用のヒント1:外貨保有の意義

 コロナ以降、日本は長く続いたデフレから、久しぶりにインフレに向かっています。エネルギーや農産物などの価格上昇だけでなく、輸入への依存度が高い日本にとって、円安も物価上昇の大きな要因となっています。インフレは、実質ベースで貯蓄と投資リターンの価値を逓減させるものであるため、投資家にとっては隠れた脅威です。インフレに勝てる資産運用を行う上で、円以外の通貨に資産を分散することが重要であるというのは、この市場環境から学べることの一つであり、今後の投資に生かしていただければと思います。そうした中で世界の基軸通貨である米ドルは、有力な選択肢の一つになるでしょう。

図表3:米国10年国債利回りの推移

図表3:米国10年国債利回りの推移

期間:1989年12月~2023年9月
出所:Bloomberg、米10年国債利回りはBloomberg米10年国債ジェネリック指数を使用

資産運用のヒント2:約16年ぶりの高金利水準にある債券への投資機会

 この環境での魅力的な投資先について、米国の株式と債券(BBB格社債)を比較してみると(図表②)、米金利が上がり、債券価格が下がったことで、足元の債券は、株式と比べて16年ぶりの割安水準にあります。こうした相対的な割安感も債券投資をお勧めする理由の一つです。

 また、投資においては投資対象資産の価格がどのような情報を織り込んでいるのかを考えることも大切です。現在、市場が株価に織り込んでいる基本シナリオは、2024年の企業収益が11%から14%も伸びるというもので、これはかなり楽観的な見通しと言えるでしょう。一方、債券についてはインフレへの悲観的な見通しが金利を押し上げてきました。ただし、過去を振り返ると、金利が高い局面からの債券投資はその後得られるリターンも高くなる傾向があります。足元の金利が約16年ぶりの高水準にあることを踏まえれば、債券には16年ぶりの投資タイミングがきているとも言えるのです(図表③)。

 ただし、一口に債券といっても様々な種類があり、異なる「個性」を持っていますので、選別が重要です。債券投資に伴うリスクは主に2つ、金利リスクと信用リスクです。金利リスクは金利が上下することで価格が上下するリスクです。信用リスクは、債券投資はいわば国や企業といった発行体にお金を貸すことですが、貸したお金が返ってくるかというリスクで、格付けが指標になります。個性の違う債券を“混ぜて”保有すること、つまり分散投資には、リスクを抑制しつつ、リターンの引き上げを図る効果が期待できます。

 とはいえ、多岐にわたる債券の種類のすべてを理解するのは困難ですので、投資目的に応じた投資信託をご活用いただければと思います。PIMCOでも様々な債券に幅広く投資する一般投資家の皆様向けの戦略などをご提供しています。

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