10年後の基準価額が半値でも運用成果がプラスになることも
- 松村:
- 新しいNISA(少額投資非課税制度)を最大限活用するポイントは、「①損失を抑えること」と、「②期待リターンを上げること」の大きく2つあります。
- まず「①損失を抑えること」について説明します。NISA口座は売却益などの運用益が非課税になる制度です。つまり、利益を出すことで初めて有効活用できるため、損失は可能な限り抑えるべきといえます。
- 井上:
- 損失を抑える方法の1つに、分散投資があります。「卵を1つのかごに盛るな」という投資格言があるように、投資対象の「資産分散」は資産運用の王道です。例えば1社の株式だけに100万円を投資した場合、その1社が業績不振に陥って株価が下落したら資産が目減りしてしまう可能性が高いです。一方、5社の株式に20万円ずつ分散して投資した場合、1社の業績が悪化しても残りの4社が成長して株価が上がっていれば、トータルでは資産が増えていることが期待できます。
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
投信営業第二部
松村 歩氏
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
投信営業第二部
井上 裕也氏
- 松村:
- ほかにも、投資するタイミングをずらす「時間分散」という考え方があります。投資信託の購入方法は、主に「一括投資」と「積立投資(=時間分散)」の2つです。一括投資とは、投資を予定していた資金まとめて投資する方法です。これに対して積立投資は、投資のタイミングを複数回に分けます。
- 井上:
- なぜ積立投資が重要なのかをイメージしやすいようにクイズを用意しました。図表①は、毎月1万円の積立投資をスタートしてから7年目に投資信託の基準価額が当初の5分の1の2,000円までに下落し、その3年後に当初の半値の5,000円まで持ち直したケースです。投資金額は計120万円。10年後にどのような結果を迎えたのでしょうか。
- 松村:
- 選択肢のAは約60万円、Bは約96万円、Cは約139万円です。ちなみに、運用開始時に120万円を一括投資した場合の10年後の運用成果は、投資金額の半分の60万円と元本割れしてしまったこともご留意ください。
図表1:Question :10年後における運用成果は?
〈ある投資信託の基準価額の動き〉
※投資金額は合計で120万円です。投資にかかる費用等(販売手数料、信託報酬、税金等)は考慮していません。
井上:
正解は、Cの約139万円です。なんと元本の120万円を上回りました。運用成果は投資信託の評価額、つまり売却時の「基準価額×口数」で決まります。口数とは、投資信託を購入できる数量です。一括投資の場合、基準価額が1万円の投資信託に100万円投資したら、100万円÷1万円×1万口=100万口(口数)になります。基準価額が15,000円の場合、運用成果は15,000円×100万口÷1万口=150万円の計算です。
松村:
積立投資の場合、毎月同じ金額で投資しても投資信託の基準価格は日々変動するため、時期によって購入できる口数が異なります。1カ月目に1万円で1万口購入できても、2カ月目に基準価額が上がっていれば購入できる口数は1万口以下になり、下がっていれば1万口以上購入できるというわけです。
図表②をご覧ください。投資信託の基準価額が投資開始から7年目に2,000円まで下落した結果、右図の通りより多くの口数を積み立てることができています。また、その後に基準価額が投資スタート時の半値とはいえ5,000円に回復したことも、口数が増加したことでリターンの向上に寄与しているのです。
図表2:Answer
※上記は一定の前提条件に基づき試算したものであり、実際の投資成果ではありません。投資に係る費用等(販売手数料、信託報酬、税金等)は考慮していません。また、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものでもありません。
松村:
通常、基準価額が下がると不安に思われる方が多いですが、積立投資であれば「口数」を増加させる良い機会。ご覧の通り、基準価額がスタート時の水準まで戻らなくても、運用成果がプラスになることがあるのです。
株式以外に分散投資するタイプや身近な日本企業に投資する商品も
- 井上:
- 次に、新しいNISAを最大限活用するための2つ目のポイント「②期待リターンを上げること」に関する考え方をご紹介します。
- NISA口座で初めて投資をする方は、低コストで指数連動型のインデックスファンドを選ぶ傾向がみられます。では、インデックスファンドがどのくらい運用成果を上げられるのかをシミュレーションしてみましょう。図表③の通り、日経平均株価に連動するファンドの過去20年間の年率リターンは約5.7%で、仮に100万円を一括投資した際の運用成果は約304万円となります。
図表3:日経平均、年率リターン7%、8%で運用した場合のシミュレーション
(2002年12月末~2022年12月末、月次)
(出所)Bloombergのデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
※上記は過去のデータを基に三井住友DSアセットマネジメントが⾏ったシミュレーションおよび過去の実績であり、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
シミュレーションは一定の前提条件に基づくものであり、経費等は考慮されていません。
- 松村:
- 他方、年率7%を目指して運用したファンドは20年後に約404万円、年率8%を目指して運用をしたファンドは20年後に約493万円の運用成果を上げています。このように、市場の上昇と下落の両局面でインデックスファンドを上回るリターンを目指すのが、アクティブファンドです。
- 井上:
- インデックスファンドの期待リターンだけでは目標金額に届かないといった皆様には、市場平均より高いリターンを目指すアクティブファンドは有望な投資先となるでしょう。ただし、アクティブファンドは手数料がインデックスファンドより高い傾向がある点や、運用によってはパフォーマンスがインデックスファンドに届かない点には留意が必要となります。
- 松村:
- アクティブファンドは数多くありますが、例えば株式以外の資産にも分散投資したい場合は、バランス型ファンドから選ぶとよいでしょう。なじみのある日本企業に投資したいときは、様々な日本株に分散投資する日本株ファンドが選択肢となりえます。世界中の様々な国や地域に分散投資して幅広い成長機会を享受したいケースでは、世界株式ファンドがマッチしているかもしれません。
- 井上:
- 新しいNISAの非課税メリットを最大限に活かしたい個人の方は、インデックスファンドだけでなく、長期的に良好なリターンを上げるアクティブファンドに積立投資するのも有効な手段といえます。本日の講演が、皆様の資産形成のお役に立つことができれば幸いです。
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