2つ目は長期目線での投資スタイルです。ピクテでは運用ポートフォリオに関して、常に10年程度のスパンで捉えています。言うまでもなく投資の基本は、価格が安い時に買って高い時に売ることです。ただ、景気サイクルによっては買うべきものがなくなることもあります。その際にはじっと待つことが必要です。あるいは、安い時というのは金融市場ではその投資対象への人気がない時期であることも多いでしょう。こうした状況で粛々と投資を進めるには、短期的な成果が求められる経営体制では難しいものがあります。

3つ目は偏らない運用、つまり分散投資です。投資家であるお客様の希望によっても異なりますが、資産運用におけるリターンの8割は運用ポートフォリオの資産構成で決まると考えます。ピクテではマルチアセットによる分散投資を一貫して進めています。あわせて注意を向けているのが、ポートフォリオの価値が大きく下落するようなリスクを避けることです。自分たちが理解できない、あるいは納得できない対象には投資しないことに徹してきました。私が入社してから20年強の期間に限っても、数々の金融危機や経済危機での損失が限定的だったのは、運用対象への目利き力といった敏感な感性があったからだと思います。

もちろん、いかに分散投資を心がけていても市場全体が下落する局面では、ポートフォリオの価値を毀損するような逃れられない時期があります。ちょうど2022年は、世界的な金利上昇に伴い株式と債券の両方が軟調な難しい1年でした。ただ、こうした状況も10年スパンで見た場合、割安に投資できるチャンスだと捉えることもできます。実際、ピクテのファンド・マネージャーは、株や債券の価格が下落している時期、特に元気なのです。

長期目線での分散投資を通じて、大きな下落を避けながらリターンをしっかり獲得する。こうした運用への態度を誠実かつ徹底して継続することで、お客様からの信頼を得てきたのが、ピクテの歩みです。そして、長年の経験から培ってきた運用哲学を投資信託商品として日本のお客様に提供するのが、ピクテ・ジャパンの存在意義です。