ウエルスアドバイザーYouTubeチャンネル かんたんファンド検索 詳細条件でファンドを検索 ファンドの見直し

株式ニュース

【GW特集】激動の日本株・注目セクターの行方は?(3)電子部品――景気回復に先駆ける

2024/05/05 09:06

 半導体とは似て非なる日本のお家芸が電子部品だ。活躍の場はスマートフォンをはじめとする民生機器から自動車、産業機械、医療機器までグローバルに幅広く、その動向は世界景気を先駆ける。足元で発表が始まった主要企業の決算の株価反応は良好だ。

<前期の苦境は一転も>

 前2024年3月期は、電子部品メーカーにとって苦しい局面となった。スマホやパソコン(PC)の在庫調整が長引き、主要13社の営業利益の合計(5月1日時点で決算発表前の場合は会社計画)は前々期比20%減の約1兆228億円にとどまる見込み。期中の業績予想の下方修正も多く、5月1日までに決算を発表した企業の中で増益は構造改革効果のあったニデック<6594>と2次電池で稼いだTDK<6762>など数少ない。

 ただ、それでも事業環境は徐々に改善してきている。車載部品の需要が底堅く推移する中で、スマホも中華圏の市場が息を吹き返しつつある。主要企業の四半期ベースの営業利益の合計は、今年1〜3月(前期第4四半期)に6四半期ぶりに前年同期比で増加に転じたとみられる。

 5月7日には、iPhone(アイフォーン)を展開する米アップルがスペシャルイベントを開催する。タブレット端末のiPad(アイパッド)の新機種が発表される可能性があり、秋には次のアイフォーン投入も見込まれる。また、円安も海外売上比率が高い日本の電子部品メーカーには追い風だ。

 マーケットにも今後の期待が顕在化している。その一端を示すのが各社の決算発表後の値動きだ。25日までに開示された電子部品メーカーの今期業績見通しの内容はまちまちだが、株価は好反応が目立つ。

 今期の営業利益の計画が市場予想を上回った日本航空電子工業<6807>は急騰し、コンセンサス並みだったKOA<6999>も大きく上昇した。さらに、市場予想を下ブレしたニデックも決算翌日はプラスで引け、その翌日も買われて年初来高値を更新している。なお、為替前提は時価より10円程度円高寄りの145円が多い。

<MLCCや生成AI焦点に>

 TDKや村田製作所<6981>、太陽誘電<6976>にとっては、MLCC(積層セラミックコンデンサー)の動向が重要となる。MLCCは日本メーカーが競争力を持つ部品で、電流を一時的に蓄え放出する役割を担う。スマホなどに使用される。

 財務省の貿易統計の中の、MLCCに相当する「セラミックコンデンサー・多層」という品目の輸出額は、昨年11月に13カ月ぶりに増加に転じ、その後プラス幅を広げている。単価も上昇傾向にあり、各社の業況の好転を示唆している。

 また、中・長期的な電子部品セクターの銘柄選別の決め手となる要素が、やはり生成AI(人工知能)だろう。半導体の場合はデータセンター向けの高性能品が中心となるが、電子部品に関しても、AIを搭載したPCやスマホの本格普及がカギを握る。

 5月は7日にヒロセ電機<6806>、8日にローム<6963>や太陽誘電、イリソ電子工業<6908>、9日にはアルプスアルパイン<6770>などが前期決算を発表する。アルプスアルパインは、自動車向けの好調に加えて、スマホ向けの回復が業績予想にどれだけ反映されるかが焦点となる。

(イメージ写真提供:123RF)