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運用期間10年の「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」の人気再燃=ネット証券の投信積立契約件数ランキング23年11月

2023/12/06 17:57

 大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次)2023年11月のトップには、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」と「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が同点で並んだ。「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は前月の2位から1位に返り咲いた。第3位は前月同様に「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」だった。なお、トップ10には「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」が第5位で再ランクインした。同ファンドは、今年8月にトップ10から陥落していた。

 ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。

 投信の積立契約は、2018年1月にスタートした「つみたてNISA」が普及の大きなきっかけになり、2024年1月スタートの「新NISA」で大きく成長することが期待されている。現在は、「新NISA」に向けた前哨戦のようなタイミングにあると考えられるが、ネット証券3社の投信積立契約の上位ランキングが動き始めていることがわかる。その新たな動きの方向性は、「原点回帰」といえるような動きだ。その象徴として考えられるのが、「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」の人気再燃に見える。

 「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」は、低コスト・インデックスファンドの初期の人気を集めていたファンドだ。設定は2013年12月でちょうど10年前だが、ネット証券3社の積立契約ランキングをスタートした2019年12月のランキングでは、「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」はトップを獲得している。その後、2020年になると「S&P500」のパフォーマンスの良さと、そのインデックスファンドのコスト低下が話題となり、投信積立契約のトップは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」になることが多くなっていった。それでも、「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」は、長らくトップ10にとどまり続けたファンドだった。

 同ファンドが連動をめざす株価指数(インデックス)は、先進国株式の代表的な株価指数である「MSCIコクサイ・インデックス」(配当込み、円換算ベース)。日本を除く主要先進国の株式を投資対象としている。現在の運用コスト(信託報酬率)は、年0.09889%(税込み)になっている。「MSCIコクサイ」に連動するインデックスファンドの中では、最も低い水準に並んでいる。現在のところ、主要なインデックスファンドで最も低い水準の手数料率になっているのは、「全世界株式(オール・カントリー)」に連動する年0.05775%(税込み)。「S&P500」連動型も年0.09372%(税込み)になっているため、手数料の低さだけでは、先進国株式インデックス・ファンドは業界最低水準ではないが、投資対象が米国を中心とした先進国株式で安定的に良好なパフォーマンスを残している。

 直近のパフォーマンスでは、過去1年間のトータルリターンが9.98%で、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) 」の10.66%には及ばないものの、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」の9.23%を上回っている。また、過去3年間(年率)トータルリターンは21.85%で、「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」の23.08%には及ばないものの、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) 」の19.70%には勝っている。そして、過去5年(年率)では15.21%で、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) 」の13.90%を上回るなど、相対的に優れた成績になっている。

 中長期のパフォーマンスを確認した上で投資できるというのも、運用の歴史が長いファンドの特徴の1つといえる。「新NISA」では、これまで投資してこなかった人が、初めて投資信託を購入するということも増えると予想されている、初めて投資する人にとって、設定されてから1年程度の運用成績しか確認できないファンドの良し悪しを判断することは難しいだろう。やはり、10年程度の運用成績を振り返って、パフォーマンスの特徴等を確認したいということはあると考えられる。伝統的なインデックス・ファンドの人気が再燃するのには、そのような運用の実績を長期で知りたいという投資家ニーズがあるのかもしれない。