ウエルスアドバイザーYouTubeチャンネル かんたんファンド検索 詳細条件でファンドを検索 ファンドの見直し

ファンドニュース

先進国株式に月間500億円を超える過去最大の資金流入=DC専用ファンド(2024年2月)

2024/03/08 17:12

 DC専用ファンドの2024年2月の純資金流出入額(速報値)は約816億円の資金流入超過になった。資金流入超過は2020年12月以降39カ月連続になり、800億円を超える流入額は2023年10月(837億円)以来、4カ月ぶりのこと。流入額のトップは前月と同様に「先進国株式」で資金流入額は前月の約420億円から約519億円と拡大した。先進国株式に500億円を超える資金流入があったのは、2015年1月以来で初めて。次いで「国内株式」で、流入額は前月の約133億円から約214億円に増えた。一方、「国内債券」は7カ月連続の資金流出、また、「REIT」も4カ月連続の資金流出になっている。

 DC専用ファンド全体の純資産総額は約12兆7219億円と前月から約5211億円増加して前月に続いて4カ月連続で過去最高を更新した。残高の内訳は、株式ファンド54%、債券ファンド12%、バランスファンド32%という割合で、前月と比較して株式ファンドが1%ポイント拡大し、債券ファンドとバランスファンドが1%ポイントずつ減少した。株式ファンドへの資金集中が目立っている。 (※個別のDC規約では、DC専用ファンド以外のファンドを制度に採用している場合があるため、DC専用ファンド全体の純資産総額は、国内DC制度全体で運用されているファンドの残高とは一致しない)

■資金流入額のトップは9カ月連続「野村外国株式インデックスF(確定拠出年金)」

 DC専用ファンドの過去1カ月間の純資金流入額ランキングのトップは、9カ月連続で「野村 外国株式インデックスファンド・MSCI−KOKUSAI(確定拠出年金向け)」となった。第2位に「三井住友・DC外国株式インデックスファンドS」、第3位は「野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI−KOKUSAI」など、トップ10のうち、8銘柄を先進国株式インデックスファンドが占めた。第7位に「One DC国内株式インデックスファンド」、第10位に「三菱UFJ DC国内株式インデックスファンド」が入った。

 DC市場において、現在の最強ファンドは、日本を除く先進国株式インデックスである「MSCIコクサイ」に連動するファンド群だ。すでに、「野村 外国株式インデックスファンド・MSCI−KOKUSAI(確定拠出年金向け)」の残高は6938億円、「野村DC外国株式インデックスファンド・MSCI−KOKUSAI」は3144億円と野村アセットマネジメントの主力2ファンドだけで残高が1兆円を超える。ただ、DC以外の一般の公募投信で積立契約件数が多いのは、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、または、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」になっている。「全世界株式(MSCI ACWI)」、または、「S&P500」に連動するインデックスファンドだ。「MSCIコクサイ」に連動するインデックスファンドは、昨今の日本株の大幅な上昇から、避けられる傾向が強まっている。

 一般の公募投信市場とDC市場で人気銘柄が異なるのは、DC市場は、主に企業型DC制度において、選択できるファンドの本数が限られていること。そして、投資可能なファンドのラインナップは固定的で、新規の追加がそれほど行われないことがある。最近でこそ、一般の公募投信市場においてインデックスファンドの運用コスト(信託報酬率)の大幅な引き下げが行われた関係で、古い手数料率を採用しているファンドを入れ替える動き等が起きているが、既存ファンドの手数料引き下げという動きもあり、ラインナップの抜本的な見直しを行うような動きにはなっていない。良くも悪くも、DC市場は「長期投資」(投資対象のファンドラインナップは固定的であり、かつ、加入者も一度投資対象を指定すると投資対象の見直しを積極的には行っていない)になっている。

 新NISAで投信積立などを始めた方々が、「そういえば会社で企業型DCもやっていたんだ」と改めて認識し、そのラインナップの状況に注目し、個々のファンドの信託報酬率の水準をも確認するようになると、眠ったようなDC市場に刺激を与えるきっかけになるかもしれない。企業型DCは動きの鈍い制度ではあるものの、加入者からの要請があれば。制度内容の見直しに前向きに取り組むことになるだろう。

■トータルリターンは2カ月連続「<DC>トヨタ自動車/トヨタグループ株式F」

 個別ファンドの過去1年間のトータルリターンランキングトップは、前月と同様に「DCトヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンド」になった。前月の第2位から再びトップを奪い返した格好になった。第2位の「野村DC世界株式トレンドファンド」、第3位の「DC次世代通信関連 世界株式戦略ファンド」も前月と同じだった。(グラフは、過去3カ月間のDC専用ファンドの資産クラス別資金流出入の状況)