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乱立する「S&P500」、インド株が後退し、消えた「MSCIコクサイ」=ネット証券の投信積立契約件数ランキング24年2月

2024/03/06 10:06

 大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次)2024年2月のトップは、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」に、そして、第2位には「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」、第3位も前月と同様に「iFreeNEXT FANG+インデックス」が入った。新NISAがスタートした2024年の滑り出しは、「全世界株(オール・カントリー)」と米国株のインデックスファンドが先行されている。特に、史上最高値を更新している米国株式への注目度が高く、トップ10の中で、「S&P500」に連動するインデックスファンドが4本もランクインし、合計6本が米国株インデックスファンドになっている。この米国株人気に圧されて昨年後半に人気が高まっていたインド株インデックスファンドがやや後退している。

 ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。

 2018年1月にスタートした「つみたてNISA」を契機に普及し始めた投信のつみたて契約だが、当初の人気銘柄は、先進国株式インデックスである「MSCIコクサイ(日本を除く先進国株式)」に連動するインデックスファンドだった。「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」に人気があり、「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」にも人気が回っていた。当時の投信積立契約件数ランキングのトップ10は、「MSCIコクサイ」に連動する先進国株インデックスファンドが上位を占め、そこに、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」や「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」などが絡む展開だった。

 その後、徐々に「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が頭一つリードするようになってきた。パフォーマンスの面で米国株式の優位性が際立ってきたためだ。米国株のパフォーマンスの高さを評価する動きは、「iFreeNEXT FANG+インデックス」に引き継がれている。米「S&P500」に代わって、現在のトップに立った「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の人気の背景には、第5位に後退したとはいえ根強い人気がある「iFreeNEXT インド株インデックス」の高いパフォーマンスに期待するような新興国の成長を取り逃したくないという新興国への期待がある。新興国株式のリーダーであった中国が失速したため、「全世界株式(オール・カントリー)」の人気は、ランキングでトップに立つ「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」以外への波及が小さくなっているのは残念なところだ。

 一方、一時期は投信積立契約件数でトップにもなっていた「MSCIコクサイ」に連動するインデックスファンドは、トップ10から姿を消した。前月までは、「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」が第10位に入っていたが、今月は第13位タイにまで後退してしまった。「MSCIコクサイ」から人気が離散してしまった要因は、日本株の復調があると考えられる。日経平均株価がバブル期の高値を34年ぶりに更新するほどに値上がりしている日本株を、「MSCIコクサイ」は除外している。「eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)」が第10位にランクインするなど、日本株への評価が高まってくると、日本株を除く「MSCIコクサイ」には逆風だ。

 投信積立契約ランキングの主役交代は静かに進んでいるが、米国株「S&P500」や日本株「日経225」という日米株式市場の主要株価指数が既に史上最高値に買い進められた後であるだけに、ここから追撃することは高値掴みのリスクもある。最高値を更新した後だけに勢いがついて上伸するという見方もできるが、果たして投資家の積立投資の流れは、どのように動くのだろうか。引き続き動向に注目していきたい。