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景気減速により先行き不透明、「今は慎重になるべき時」にアムンディ「インカム・オポチュニティ」戦略

2024/01/24 18:12

 米「S&P500」や「NASDAQ100」が史上最高値を連続して更新する動きとなっている。年初の動きを見ていると、今年から来年にかけて予想される米欧中央銀行の複数回にわたる利下げへの期待を背景に、2023年に続いて2024年も米国株式を中心に堅調な市場が続きそうに見えている。しかし、アムンディ・ジャパンのインベストメント・ソリューション部副部長の中島範明氏は、1月24日に開催したオンラインセミナーで、市場の過度な楽観論に与せず、「今年は世界人口の40%が投票するといわれる選挙の年、イベントリスクや地政学リスクがさまざまに存在し、今は慎重になるべき時」という見方を示す。そして、このような不透明な時期に対応するソリューションとして「インカムゲインに着目し、最適な資産でポートフォリオを組みながら柔軟に組み入れ比率を調整するマルチアセット戦略」を紹介した。

 中島氏が指摘したのは、現在の米国株高は、「一部の銘柄によって株価指数がけん引されて上昇しているのであって、いわゆる『マグニフィセント7(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、メタ・プラットフォームズ、エヌビディア、テスラ)』を除く米国株価の推移は、他の市場(MSCIワールド、除く米国大型・中型株)と同水準にある。『S&P500』の上位5銘柄のウエイトは2000年のITバブル時を大きく超え、2020年の社会のデジタル化を先取りしたIT相場の24%をも超えて24.3%にまで高まり過去最高の水準にある。行き過ぎた集中投資は是正され、過去に上位銘柄への集中が起こった時には10年から15年をかけて調整局面を経験した。また、米欧の利上げの結果を反映した景気減速は今年前半に避けられない。既に、米ISMサービス雇用指数は景気減速を示す50割れの水準に低下し、欧州のユーロ圏製造業PMIも1年くらいの期間にわたって50割れになっている。決してリスク資産への投資に楽観できるような環境ではない」とくぎを刺した。

 そこで、慎重な運用を行う上でポイントになるのが「インカム収益」として、「米国の国債をはじめ世界の債券市場で比較的高い利回りで債券のポートフォリオを組むことができる」としてインカム重視の運用を提案する。ただ、日本の投資家にとって魅力的なインカム収益が得られる投資機会を世界の市場に求めてみたところ、「伝統的なアセットクラスである『世界株式』や『米国国債』『米国投資適格債』などでは為替ヘッジをするとマイナスのリターンしか得られない」という。そのため、さらに細分化してマイクロ・アセットクラスで探すと『日本金融株』『バンクローン』『米国MLP』などに為替ヘッジ後も魅力的なリターンが期待できる資産がある。中島氏は、「年率4%程度のインカムゲインが狙え、かつ、キャピタルゲインも期待できる資産でポートフォリオを構築することは可能だ」として、『インカム・オポチュニティ戦略』を提案した。

 アムンディの「インカム・オポチュニティ戦略」は、「バリュエーションに基づく長期的な分散投資アプローチとダイナミックな資産配分を組み合わせることで、長期にわたってインカムと適度なキャピタルゲインの両方を追求する」という戦略だ。第一目標として年4%以上程度のインカムを獲得することをめざし、第二の目標として適度なキャピタルゲインを狙う。米国拠点の株式運用チームが2012年から運用を行っている同戦略のパフォーマンスは、設定来の年率リターンが7.9%(報酬控除前)であり、過去7年で同7.1%、過去5年で同7.4%、過去3年で同7.2%と安定的に年率7%超のリターンを残している。

 同戦略の特徴の1つは、インカムを軸に投資対象を特定し、インカムやアップサイド・ポテンシャル、ボラティリティ、流動性などを評価して最適なポートフォリオを構築。そして、そのポートフォリオの組み入れ比率を短期的なリスク評価に対応して機動的・柔軟に変更する。たとえば、2012年時点では「米国ハイ・イールド債」がポートフォリオの40%程度を占める中心の資産クラスだったが、2015年頃からは「エクイティリンク債」への組み入れ比率が徐々に高まり、利上げによって金利が上昇した2022年頃からは国債の組み入れ比率が高まってきている。

 日本で同社のインカム・オポチュニティ戦略を採用した投資信託は「アムンディ・みらい定期便」がある。同ファンドは2019年8月の設定だ。2023年12月末現在で過去3年(年率)のトータルリターンは16.87%となり、「安定成長」にカテゴライズされる266本のファンドの中でトップの運用成績を収めている。過去1年のトータルリターンも15.23%だ。同ファンドは、2029年7月に償還される予定になっているため新NISAの投資対象ファンドではない(新NISAの投資対象は信託期間が20年以上必要)ものの、安定した運用実績のあるファンドとして注目したい。(グラフは「アムンディ・みらい定期便」の過去3年間のパフォーマンス推移)