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S&P500は避け、中小型株や大型割安株、日本株などに分散投資を=フィデリティ投信が2024年を展望

2023/12/11 17:51

 フィデリティ投信は12月7日に「2024年 市場展望」と題してメディア向けのブリーフィングを行った。フィデリティ・インスティテュート首席研究員マクロストラテジストの重見吉徳氏(写真:左)が「2024年のトピック」として市場全体の注目ポイントを語り、取締役副社長運用本部長の鹿島美由紀氏(写真:右)が日本株式市場の見通しを語った。

 重見氏は2024年の全般の見通しについて、「政策金利が高止まりしていることによって、経済成長率が鈍化し、それにともなってインフレ(物価上昇)も鈍化していく。高い金利水準が市場のボラティリティ(価格変動)を生んでいる。来年は米大統領選挙や日銀の金融政策変更など様々なイベントがあり不確実性が高い。このため、投資資産の分散が重要になる」と語った。ただし、「分散するにしても割高な資産に分散することは危ない」とし、現在の米「S&P500」指数は極端に偏った価格形成をしているため、分散投資の対象としてはふさわしくないのではないかと語っていた。

 今年の米国株式市場で良く聞かれた「マグニフィセント・セブン」という超大型7銘柄(アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、エヌビディア、テスラ、メタ)への集中投資を取り上げ、「S&P500は分散されていないポートフォリオ」と切り捨てた。今年の年初から11月22日までの「S&P500」の上昇率のうち80%は、7銘柄の株価上昇で説明できるほどに資金が集中されている。今後、投資家が換金する必要がある時には、当然、投資ウエイトの大きな銘柄を売却することになるため、この集中投資された株価指数は今以上に上昇することは難しいのではないか」とした。同様の理由で「NASDAQ100」などの大型成長株指数も難しいと指摘した。そのため、分散投資する先としては、「中小型株」、あるいは、「大型割安株」などに安心感があるとした。

 そして、市場が注目している来年の「米国の利下げ転換のタイミング」については、2007年当時の利下げ転換の事例を引き合いに出し、「2006年6月に、それまで上がってきた米国の政策金利が据え置かれ、その後、利下げを見越して2年、3年金利が低下する動きに転じた。その動きを手掛かりに株価は上昇していたのだが、2007年になると2年、3年の金利が上がり始めて長短金利の逆転現象も解消した。すなわち、次の利下げを織り込む動きが止まって、景気後退はないというムードが強くなった。そこが当時の景気のピークで、その後は、リーマンショックなども起こるような不況に突入していった」と当時を振り返った。「今回も、景気後退の可能性はいわれながらも、足元の景気指標がなかなか景気失速を予感させるものにならないのだが、この動きによって、もはや景気後退はない、一段の利上げがあってもおかしくないというような市場の見方が出て来るようになった時が景気のピークで、そこから景気後退に進むのではないか」との見方を示した。

 鹿島氏は、昨年も年末の時期に2023年は日本株に対する評価が大きく変わるという話をしていたが、実際に日本株が上昇した今、「日本株への再評価の見方は、未だに道半ばであると感じる」とした。多くの海外投資家が日本株を「アンダーウエイト」としているものの、「あるタイミングで、日本株を持たざるリスクに慌てだすようなことがあるのではないだろうか」と語っていた。たとえば、過去10年間のパフォーマンスでは、現地通貨ベースで比較すると日本株は米国株と匹敵するほど良い運用成績になっているが、バブル崩壊後にマイナス80%という大幅な下落を経験した海外投資家の中には、それ以来日本株を見ていなかったという投資家も少なくないという。そういう投資家にとって、過去10年間の日本株の上昇は意外な結果と感じられ、日本株に対する問い合わせが増えているという。

 一方、今年3月に東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)1倍割れの企業に対して改善策を開示・実行することを求めたことをきっかけに、日本株に対する評価が変わったという見方があるが、鹿島氏は「東証の要請はタイミングが良かった。デフレ経済の日本では、キャッシュ・イズ・キングで、何もしないでいることが結果的に勝ち残る方法といえたが、インフレに転換する中にあっては、目標を掲げてクリアしていくことが企業価値を高めることに直結する。日本ではようやく企業が、商品やサービスの値上げに慣れてきて、それを賃金の引き上げにつなげる循環が起き始めている。賃金の上昇によってマイルドなインフレが定着すれば、20年間にわたって続いてきた投資抑制が解かれて、持続的な成長が見えてくる」と語っていた。

 そして、「日本経済を長期で展望すると、人口減少社会だから成長が期待できないということを懸念する声が聞こえるが、日本の人口は2008年をピークに減少に転じているにもかかわらず、2011年以降はアベノミクスによって株価が上昇した。政策が重要だ」と語り、日本市場の魅力が高まっていると語っていた。