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アムンディの2024年マクロ経済展望は株式に慎重で債券に強気、「年前半の緩やかな景気後退により、金融政策が緩む」

2023/12/08 11:03

 アムンディ・ジャパンは12月5日、東京・大手町で「アムンディ・アウトルック・セミナー<東京>」を開催した。アムンディ・ジャパン代表取締役社長兼CEOの藤川克己氏(写真:左)は、「2024年は経済成長の潮目が変わる。米国はいよいよ金融引締めの影響で経済が鈍化し、ユーロ圏の厳しい状況は続く。その中で、日本は堅調な経済が続き、新興国も全体として強い経済が続くだろう。また、従来に増してESG投資の重要度が高まると考えられる」と方向性を語り、難しい投資環境となるが「アムンディは変化する多様なニーズに応えられる」と語った。その後、アムンディ・インベストメント・インスティテュートのグローバル・マクロ経済調査ヘッドのマフムード・ブラダン氏(写真:中央)が「2024年のマクロ経済・金融市場の見通しと投資戦略」をテーマに、アムンディ・ジャパンのチーフ・レスポンシブル・インベストメント・オフィサーの岩永泰典氏(写真:右)が「2024年におけるESG投資の流れ」をテーマに講演した。

 ブラダン氏は、「2024年の世界経済の成長率は低下する。米国は年前半に緩やかな景気後退に陥るだろう。英国を含む欧州圏も厳しい。世界経済が回復するのは2025年以降になる見込みだ。ただ、新興国市場には回復力があることは注目できる」と全般を見通した。特に、米国市場については急速な金融引締めにもかかわらず堅調な経済が続いた背景にあった労働市場が「賃金が下がりつつあり、求人件数も下がってきた。労働市場の緩みが、今後の緩やかなリセッションにつながっていくとみている」とした。また、欧州はエネルギーを輸入に頼っているため、エネルギー価格の高騰によってダメージを受けた経済の成長率が戻るには時間がかかるだろうとみている。

 日本については、2024年年初にマイナス金利の解除に動くだろうとした。賃金上昇の行方がポイントになるものの、2023年の回復基調は24年も継続するというのが基本的な見方だ。そして、中国については「年5%成長から3%程度の成長の水準に2〜3年をかけて調整していくだろう」とみている。不動産に依存した成長が終わり、不動産以外の成長を促す政策をとり、「低成長だが、その成長は持続可能な成長だ」とした。新興国は全般に堅調な見通しだが、保護主義が強まっていることと地政学的な緊張があることから、個々の国によって成長率は異なる見通しになるとした。

 全般的な投資戦略としては、世界経済が2024年前半に緩やかなリセッションに陥り、その後は金融政策が緩む方向に向かうとして「株式には慎重に臨む。回復力の強いクオリティ銘柄にシフトしたい。債券にはプラスの環境になる。多くの投資家が債券40対株式60の投資配分に疑問を持つような環境になっていたが、株式と債券の相関が下がり、債券の価値が戻ってくるだろう」と見通していた。新興国については投資先の選択が重要とした。

 ESG投資の見通しについて岩永氏は、「気候戦略が企業経営、投資判断にとっても不可欠な要素になってきた。低炭素社会に向けて労働市場も含めた経済の構造的な変化が起こっている。また、脱炭素への移行には、新興国の取り組みがポイントであり、資金の担い手としてのアセットオーナーにも期待がかかる」と語った。気候変動への対応は、景気サイクルに左右されない喫緊に取り組むべき重要な課題として位置付けられ、脱炭素に関係する資金ニーズは拡大する見通しだ。「脱炭素に関係する産業に成長機会がある一方、脱炭素の取り組みが経営コストを引き上げる要素にもなる。各国が移行に向けてより踏み込んだ取り組みに動くとより厳しい規制が製品やサービスに適用され、『座礁資産』の領域が広がる可能性もある。ESGの観点で調査することは、ファイナンシャルリスクを管理する上で重要だ」とし、持続的な運用を行っていく上でESG投資の重要性は一段と高まっていると語っていた。