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iDeCo7月の新規加入者は3.7万人で加入者総数300万人突破

2023/09/01 14:57

 国民年金基金連合会が9月1日に発表したiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の業務状況によると7月の新規加入者数は3万7770人で加入者総数は302万6137人になった。2002年1月に個人型確定拠出年金がスタートして21年6カ月で、加入者が300万人の大台に達した。ただ、新規加入者数は、2023年2月から6カ月連続で前年同月比割れになっている。なお、従業員のiDeCoに企業が上乗せ拠出をするiDeCo+(中小事業主掛金納付制度)は、実施事業所数は6434事業所、対象従業員数は4万1289人になった。

 7月の新規加入者の内訳は、第1号加入者は4513人(前月4777人)、第2号加入者は3万1339人(前月3万585人)、第3号加入者は1598人(前月1632人)となった。第2号加入者の中で、企業年金なしの新規加入者が1万8325人(前月1万7874人)。共済組合員(公務員)の新規加入者は5777人(前月5296人)となった。第2号加入者の中で「企業年金あり」が7237人(前月7415人)と前年同月比18.2%増だった。

 第2号の「企業年金あり」だけが、加入者属性別の新規加入者で前年同月比でプラスになっている状況が続いている。この区分は制度改定によって加入手続きが容易になったため、2022年10月から加入者数が大幅に増大したもので、2022年10月から2023年2月まで5カ月連続で1万人を超える新規加入者となった。2022年10月以前は5000人ほどの新規加入者だったことから、この期間に月間の新規加入者数が倍増したことになる。7月にも7000人を超える新規加入があったことは、引き続き、加入手続きの簡素化がiDeCo加入に追い風になっている。

 iDeCo加入者300万人だが、うち第2号が256万人で全体の約85%を占める。そもそもiDeCoは、会社型確定拠出年金(企業型DC)に加入していた人が、DC制度のない企業に転職した際にも運用を継続できるようにという配慮からできた制度だ。企業に勤める会社員のためにできた制度ということはあるが、現在は働き方も多様化し、企業を出て自営(フリーランス)として働く人も増えている。さらには、世帯主の配偶者として家事等に専念している人も、今は婚姻カップルの3組に1組は離婚する時代であり、婚姻関係が崩れた場合に個人としての生活、特に、老後の生活を考えた場合、第3号がiDeCoに加入している意義も大きい。

 加入者300万人という節目を迎えて、改めて、iDeCoには第2号以外の加入者の拡大が課題として浮かび上がる。定時定額でつみたて投資をしていくというiDeCoや企業型DCの仕組みは、安定的な収入が期待でき、給与天引きでつみたて投資が可能な会社員や公務員に都合の良い制度といえる。自営業者や専業主婦(夫)にとっては、変動する収入や支出が不安定な場合には、定時定額のつみたて投資は難しい。定時定額つみたて投資のドルコスト平均法のメリットなどの投資教育をしっかり行った上で、毎月の掛金を変動してもかまわないようなコースを新たに設けることも1つの方法になるように思える。現在の国民年金(基礎年金)加入者総数6756万人の中で、第1号被保険者(自営業者等)は約21%、第3号被保険者(第2号被保険者の配偶者)は約12%だ。これに対し、iDeCoでは、第1号の加入者に占める比率は約11%、第3号は約4%に過ぎない。第2号以外の加入が進んでいないことは明らかだ。現在、iDeCoを含む私的年金制度の制度改定議論が進んでいる。国民全体が使いやすい制度になるような改定を望みたい。