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「全世界株式(オール・カントリー)」など株式インデックスに加えバランス型が浮上中=ネット証券の投信積立契約件数ランキング23年2月

2023/03/02 19:03

 大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次)2023年2月のトップは前月と同様に同ポイントで「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」になった。第3位は同ポイントで「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」と「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」になった。トップ10には前月と同様に新興国株式を含む全世界株式を対象としたインデックスファンドが目立っているが、トップ10圏外には、「楽天・資産づくりファンド(しっかりコース)/(なかなかコース)」、「マネックス資産設計ファンド<育成型>」、「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」などバランス型ファンドが浮上してきている。世界的な超低金利が終了し、債券への投資価値が高まっているというマーケットの変化とともに、投信積立のすそ野が拡大したことによって積立対象ファンドが多様化していることが感じられる。

 ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。

 投信の積立は、低コストの株式インデックスファンドを使って行うことが常態化してきている。中でも、三菱UFJ国際投信が設定・運用する「eMAXIS Slim」シリーズ、また、SBIアセットマネジメントが設定・運用する「SBI・V」シリーズは、インデックスファンドの中でもコストが低いシリーズとして、投信積立契約ランキングの上位にランクインしてきた。両シリーズの中で、最も信託報酬率が低いのが「S&P500」に連動するファンドで、次に、「eMAXIS Slim」シリーズでは「先進国株式」、そして、「全世界株式」のインデックスであり、「SBI・V」シリーズでは「全米株式」のコストが低い。同じ「eMAXIS Slim」シリーズでも国内株式のインデックスファンドの利用が少ないのは、パフォーマンスへの期待感の違いだけではなく、国内株式インデックスファンドの信託報酬率が0.15%程度であり、0.10〜0.11%という水準の「S&P500」や「全世界株式」などと比較すると割高感があると感じられるからだろう。

 ただ、2018年1月の「つみたてNISA」のスタートを機に広がった投信積立の人気は、既に5年目を迎え、投信積立を行う人が急速に膨らむとともに、積立投資の経験を重ねて様々な投資の考察もされるようになってきているように感じられる。その結果として、「最初は最もコストが安い株式インデックスファンドから」とスタートした人の中でも、追加で別のファンドで積立投資を始める。あるいは、「多くの人がやっている安心感よりも、より自分の投資の考えに近いファンドに投資対象を切り替える」という人もでてきていることだろう。

 併せて、運用会社の方からも新しい切り口のファンドを新規に投入している。たとえば、「SBI・V」シリーズには21年6月に「米国高配当株式インデックス」が加わり、「eMAXIS Slim」シリーズの姉妹ファンドシリーズである「eMAXIS」シリーズには23年1月から「S&P500クオリティ高配当インデックス」が加わった。この「S&P500クオリティ高配当インデックス」の信託報酬率は年0.33%であるが、23年2月のランキングでは第12位とベスト10に届きそうなくらいの人気を集めている。このような動きは、「手始めに、低コストの代表的な株式インデックスを使って積立投資を始めよう」というステージから一歩進んだステージを感じさせる動きといえる。

 また、第14位には「楽天・資産づくりファンド(しっかりコース)」と「マネックス資産設計ファンド<育成型>」が同ポイントで入っている。「楽天・資産づくりファンド(しっかりコース)」は、国内外の株式・リート・債券を投資対象として「目標リスク水準」で5つのコースがあるファンドだ。「しっかりコース」は、目標リスク水準が年率約11%程度に設定されたコースになる。リスク水準は5つのコースのうち、上から2番目に高いコースであり、株式への投資比率が60%を超える水準にあり、比較的しっかりとリスクを取った運用をする。実質的な運用コストは年0.49%になる。「マネックス資産設計ファンド<育成型>」は世界の6資産(国内外の株式・リート・債券)を投資対象とし、各資産のリターン、リスク等を推計し、証券投資理論に基づいて最も効率的な資産配分になるように運用するファンドだ。信託報酬は年0.55%だ。これらは、投資資産を広く分散させることで比較的安定的な運用をめざすファンドといえる。コストも一般のバランス型ファンドと比較すると低いが、株式インデックスファンドのように極端に低いというわけではない。

 マーケットが一本調子に「株高」が続くわけはなく、また、投信積立を行う人が増え続けている中にあっては、投資対象になるファンドもまた様々に広がっていくと考えられる。まして、2024年からは「新しいNISA」がスタートし、非課税投資枠が大幅に拡充され、かつ、投資期間も無期限になる。より一層多くの投資家が誕生し、投信積立を開始すると考えられる。投信の品ぞろえが充実したネット大手3社は、引き続き投信積立を行うプラットフォームとして活用されると考えられる。今後、ベスト10以外のファンドに、どのようなファンドが入ってきているのかについてもしっかりウオッチしていきたい。