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「循環社会」「森林資源」などサステナブル社会の実現めざすファンドが相次いで新NISA「成長投資枠」に

2024/04/12 18:06

 投資信託協会が公表している新NISA「成長投資枠」対象ファンドのリストが4月11日に更新され、新たに「野村ブラックロック循環経済関連株投信 Bコース」と「みずほサステナブルファンドシリーズ−LO・サーキュラー・エコノミー」が新たに採用された。4月9日には「iTrustティンバー」が新規採用されており、3本続けて環境関連のファンドが「成長投資枠」の対象ファンドに取り上げられている。新NISAと環境関連ファンドの関係について考えてみたい。

 「野村ブラックロック循環経済関連株投信 Bコース」でいう「サーキュラーエコノミー(循環経済)」とは、廃棄物の最少化およびリサイクルや再利用を活性化させるために製品やシステムの再設計を促進すること。サステナブルな社会(持続可能な社会)の実現のため、世界的な規模で循環型経済への移行が模索され、計画されている。従来のビジネスモデルであった、大量生産、大量消費、そして、破棄という一直線の流れを改め、製品の企画・設計の段階からリサイクルを意識して、リサイクル可能な材料から適量を生産し、流通させ、それを回収、再利用する仕組みを回していくことが求められている。その新しい経済活動による恩恵を受ける企業群に着目し、新興国を含む全世界株価指数を上回る運用成績をめざすファンドだ。実質的な運用は世界最大級の運用会社である米ブラックロック社が行い、サーキュラーエコノミーの調査においては循環経済推進団体である英エレン・マッカーサー財団と連携する。

 「みずほサステナブルファンドシリーズ−LO・サーキュラー・エコノミー」も同じくサーキュラーエコノミーに関連する企業に着目して銘柄選定を行う。ファンドに組み入れる銘柄の選定等は英国で最大級のプライベートバンクグループであるロンバー・オディエ・グループの「ロードマップ・リサーチ」やサステナビリティ評価などの知見を活かす。4月30日に新規設定される予定だ。

 そして、「iTrustティンバー」は、世界の森林や木材関連企業を投資対象としたファンドだ。森林資源についても、循環型経済の一翼を担う存在として近年、注目度が高まっている分野だ。同ファンドでは、森林・木材に関するバリューチェーン全体における成長要因(人口とGDPの増加、新興国の生活水準の向上、先進国の高齢化、eコマースの拡大、環境問題への対応の一環としてプラスチック材料から木質材料への代替が進展すると期待されること、森林の減少・木材の供給不足への対応として持続可能な形での森林管理の必要性が高まっていることなど)は、「長期的なメガトレンドに基づいたもの」とみている。

 循環経済やESG(環境・社会・ガバナンス)の視点は、経済の好不況とは関係なく、人類社会の持続的な成長を可能にするために、前進させることが求められている分野といえる。2024年の後半からは、世界経済の成長が鈍化するという見通しもある中で、経済成長とは関係なく、社会全体の意志として推進が図られるサーキュラー・エコノミーに関連したファンドが、相次いで、新NISAの対象商品にリストアップされるのは、意味のある動きといえる。

 新NISAのスタートによって、「全世界株式(オール・カントリー)」や米「S&P500」といったインデックスファンドによる積立投資がブームになっているが、その投資は継続しつつ、新たにリストアップされた環境保全に取り組む企業群に投資するファンドも分散投資の手段の1つとして運用に取り入れることも検討したい。(グラフは、2023年後半から大きく動き出した環境関連ファンド)