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30代以下の投信保有は80%以上が積立投資、投信保有は全世代に定着=投信協の調査

2024/02/05 17:18

 投資信託協会が毎年実施している投資信託の保有実態・意識について聞く「投資信託に関するアンケート調査」の結果を振り返ると、投資信託の利用が世代の違いなく広がっていることがわかる。2000年代も前半は60代、70代という退職世代が投資信託を利用するメインの世代で、20代、30代という若い世代は、投資信託をほとんど購入していなかった。それが、2020年以降に急速に利用が進むようになってきた。その背景には、2018年1月から始まった「つみたてNISA」の存在が大きいと考えられる。今では、30代以下の世代で投資信託購入者の8割超が積立投資によって投資信託を購入している。

 「投資信託に関するアンケート調査」は、全国の20歳〜79歳の男女を対象に実施され、2023年9月に実施された最新調査では2万件の回答を分析している。2008年当時は全サンプル数が2000に満たないものだったが、投資信託の利用実態を把握するという同じ目的で定期的に実施されてきた。2008年から3年ごとの調査結果を振り返ると、「投資信託を保有していますか?」という問いに対し、30代以下の世代の利用率は5%程度でしかなかった。特に、20代はほぼゼロといえる状態だった。これに対し、60代、70代という高齢者の利用率は20%前後となり、投資信託のメインの利用者層だった。

 ところが、2017年以降になると20代、30代の利用者数が拡大に転じ、2020年以降は、投資信託利用者の中心は20代、30代の若い世代が中心を占めるようになった。最新の2023年9月調査の結果では、年代別の投資信託の保有者比率では30代の28.7%がトップ、次いで、40代の26.1%、60代の24.9%が続く。20代でも22.5%が投資信託を保有していると答えており、これは、70代の22.8%とほぼ変わらない水準になっている。20代から70代までの全ての世代で20%を超える人が投資信託を保有しているという結果になった。

 このような全世代が投資信託を利用するようになったきっかけは、2018年1月に始まった「つみたてNISA」の影響が大きいと考えられる。それまでは、50代以降の高齢層が投資信託の利用者の中心だったが、2018年以降は急速に20代、30代という若い世代が投資信託を利用するようになる。特に、「つみたてNISA」は、「長期・分散・積立投資」を制度利用のコンセプトとして、運用コストも低い「株式インデックスファンド」の利用を呼び掛けた。結果的に、2020年以降の米国株価の上昇に引っ張られた世界的な株高によって、「つみたてNISA」を使った積立投資の運用成績は良好な結果になった。それによって「長期・分散・積立投資」に対する信頼度を高めたと考えられる。その経験は、SNS等を通じて共有され、若い世代の間で積立投資の利用が急速に広まっていった。

 2023年の調査結果で投信保有者に占める積立投資の利用率は、20代が82.5%、30代は82.4%と、30代以下の投資信託の購入は、ほぼ積立投資によるものになっている。そして、積立投資の利用は、それ以外の高齢世代へも波及し、40代の利用率は77.2%、50代で65%と半数以上の人が積立投資を実施。これは、60代でも47.4%、70代でも34.2%を占めるなど、「積立投資」が投信購入の王道になっていることがわかる。

 現在、投資信託の利用率は全体で24.6%と4人に1人が利用するようになっている。投資信託を購入しない理由として挙げられているのは、「投資の知識がないので」(51%)、「そもそも興味がないので」(35.8%)、「損をしそうで怖いので」(25.9%)、「まとまった資金がないので」(22.8%)などとなっている。このうち、「まとまった資金がないので」や「損をしそうで怖いので」という理由については、積立投資によって成果を出している人が増えている現実によって、徐々に抵抗感が薄れていくものと考えられる。「投資の知識がないので」という最大の非購入理由については、今、国を挙げて投資教育を実践する機関が整備拡充しようという動きが進んでいる。

 「つみたてNISA」が提唱した「長期・分散・積立投資」の実践というメッセージは、若い世代に受け入れられ、それが国民の広い世代にも広がりつつある。そして、2024年1月にスタートした「新NISA」は、1人当たりの非課税限度額が1800万円となり、非課税期間も生涯と大幅に延長された。このような政策による後押しも、今後の投資信託利用者のすそ野拡大を後押しすることになるだろう。(図版は、投資信託「現在保有している」回答者の推移、出所:投資信託協会の調査資料)