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ファンドニュース

新NISAを使った投資の第一歩に、ゆうちょ銀行が低リスクの債券ファンド「ますますグロタ」募集開始

2024/01/26 14:21

 ゆうちょ銀行は、HSBCアセットマネジメントが設定・運用する「HSBCグローバル・ターゲット利回り債券ファンド 2024−01(愛称:ますますグロタ)」を1月29日から募集開始する。当初募集期間は3月4日まで。同ファンドは償還まで5年以内の社債を投資対象とし、社債の償還まで持ち切る運用をする。約5年間を1投資サイクルとし、5年ごとに購入・解約ができる仕組みを設け、最長で約20年間を同ファンドで運用し続けることができる。預貯金の金利にプラスαするような年率1%程度の利回りを安定的に獲得できる商品として人気を集めてきた「HSBCグローバル・ターゲット利回り債券ファンド」が、信託期間20年を実現したことで、新NISAの成長投資枠の対象ファンドにもなった。同ファンドの魅力と活用法について、HSBCアセットマネジメントの執行役員投信営業本部長の石田朗氏(写真)に聞いた。

 ――『ますますグロタ』は、約20年間の信託期間を4つに区分し、残存期間5年以内の投資適格債に投資して償還まで持ち切る運用を4回繰り返すという運用を行います。なぜ、このような仕組みのファンドを作ったのでしょうか? 

 ひとつには、新NISAの投資対象ファンドとして信託期間が20年以上必要だったということがあります。HSBCでは「ますますグロタ」と同じように、組み入れ債券を満期まで持ち切る運用を行い安定的なリターンをめざすファンドをグローバルで提供し、約20年間で運用資産残高が約16兆円に達しています。国内でもこれまで同様のファンドを5本設定しましたが、その中には運用資産残高が1本で1000億円近い水準になったファンドもあります。リスクを抑えた運用を行うファンドへのニーズは世界的にも一定水準であります。

 また、「5年間」という運用期間は、資金を一定期間待機させておく期間として適当な期間と考えられます。1年、2年ですとすぐにでも使うというイメージに近く、10年を超えるような期間になると「長期」に寝かしておくイメージになりますが、5年間程度という期間は、その中間にあって、明確な目的がなく資金を置いておける期間としてちょうどいいのではないでしょうか。

 「ますますグロタ」は、このような5年間という運用期間を区切った運用商品を4回連続して並べて最長で20年間の投資ができる仕組みにしています。5年間の持ち切り運用が終了するたびに、5年分の運用収益をまとめて分配します。そして、1カ月程度の「安定運用期間」を設け、「安定運用期間」には解約も新規購入もできます。解約はいつでもできますが、「安定運用期間」中の解約には換金額の0.3%に相当する信託財産留保額が不要になります。

 そして、約5年間の投資サイクルを4回繰り返すことで、第2投資サイクル目以降は、新たな購入時手数料を支払う必要なく、新たに5年間の単位型投信を購入したと同じことを購入時手数料なしで継続することができます。低リスクの安定運用商品を求める投資家の方には、トータルでかかる運用コストが低減できます。

 「ますますグロタ」が提供するのは、預貯金プラスαの利回りの魅力です。日本も少し金利が上がってきたとはいえ、たとえば、5年定期貯金の金利が0.002%から0.07%に上がったというような変化でしかありません。「ますますグロタ」では現状年1%前後の利回りが期待できます。しかも、債券に投資し、為替リスクも取らず、限定的なリスクで預貯金よりも高いリターンを実現します。預貯金金利が低く、資産運用の必要性は感じていても、株式に投資するようなファンドは怖くて手が出ないという方は決して少なくありません。「ますますグロタ」のように、非常に低いリスクで投資できるファンドで投資の第一歩を踏み出すということでも使っていただけると思います。

 ――これまでの「グローバル・ターゲット利回り債券ファンド」ではハイ・イールド債券も組み入れ対象としています。今回は、投資適格債だけでポートフォリオを組むということですが、その理由は?

 過去設定してきたファンドでも投資対象銘柄の範囲はまったく同じではありませんでした。これまでは、ポートフォリオの平均格付けが投資適格(BBB以上)になるという信用リスクの基準で投資対象の範囲を決めてきました。ハイ・イールド債は信用格付けが「BBB」未満の債券ですが、「BBまで」のハイ・イールド債にしたファンドもあれば、「Bまで」のハイ・イールド債を組み入れ可能にしたファンドもありました。傾向的には、徐々にリスクの低いポートフォリオになるように組み入れ対象債券の信用リスクを小さくする方向にありました。今回は、投資適格債だけでポートフォリオを組みます。

 投資適格債だけに限定していますが、現状では、想定利回りで年1%程度のリターンが期待できます。このリターンの水準は、これまで提供してきた「グロタ」シリーズの想定リターンとそん色ありません。

 ――債券投資において「5年」という期間は、どのような意味合いがあるのでしょう? 5年持ち切りとしたのは、現在のグローバル債券のイールドカーブ等から「5年」が良いという判断があったのでしょうか?

 今回の「グロタ」は米ドル建ての世界の企業が発行する社債を投資対象にしています。米ドル債券のイールドカーブ(投資年限と利回りの関係を示すグラフの曲線)をみると、現在は「逆イールド」といわれる傾きで、短期の方が利回りが高く、長期になると低くなっているのですが、その利回りが5年くらいからフラット(水平)になっています。

 そして、「グロタ」では為替リスクを取らないために、期間固定の為替ヘッジをします。そのヘッジコストは「米ドル金利−円金利」ですので、現在は短期のヘッジコストが非常に高いのです。それが、5年くらいで米国のイールドカーブがフラットになっていくため、5年くらいでヘッジすると為替ヘッジコストが低くなります。いわゆる社債のスプレッド(上乗せ金利)は年限が長くなるほど高くなっていきますので、ちょうど5年くらいのところは、利回りが魅力的で、かつ、為替ヘッジコストも安いという、魅力的なゾーンということができます。

 ――「ますますグロタ」は、どのような活用法がありますか?

 「グロタ」シリーズは、投資リスクを極力取らないで、預貯金の利回りにプラスαの利回りを提供してきました。「ますますグロタ」は、そのシリーズの中で、投資適格債だけを投資対象にして投資リスクを一段と低くしたファンドになります。債券に投資する主なリスクである「デフォルト(利払いの遅延や停止、発行体の倒産など)リスク」は、過去の40年ほどのデータでみると5年間保有した場合の累積デフォルト率は投資適格の信用格付け「BBB」では1.5%でした。これが、ハイ・イールド債になると「BB」で8.1%、「B」で20.5%などとだんだん高くなります。「ますますグロタ」は、「BBB」以上の債券を投資対象としていますので、このようにデフォルトリスクは非常に限定的です。

 しかも、厳選して約100の社債に投資します。単純に1社だけの社債に投資した場合は、統計的には1.5%の確率でデフォルトとなり、もし、デフォルトになった場合は投資した資金の大半は戻ってこないという計算になります。ところが、「ますますグロタ」の場合は、同じデフォルト率を用いて、各銘柄に均等投資したと仮定すると約100分の1の資産がダメージを受けるだけという言い方ができます。これが、投資信託を使う「分散投資」の効果です。投信の仕組みを知っていただくことで、より安心して投資していただけるのではないでしょうか。

 「ますますグロタ」は、購入した社債は原則償還されるまで持ち続けます。デフォルトがなければ100で購入した社債は償還時には100で戻りますから、償還まで持ち切ることによって途中の金利動向による価格変動リスクは気にする必要はありません。為替リスクも全期間固定ヘッジして回避しています。

 これまで「グロタ」を購入していただいたお客様は、「投資は怖いけど、この商品なら買える」と言ってくださる方が多くいらっしゃいます。これまで預貯金しかしてこなかったという方にとって、元本保証のない投資信託を購入することは、思い切った決断が必要になります。「ますますグロタ」は、徹底してリスクを抑えることで、その決断をするハードルが低くなっていると思います。

 そして、「ますますグロタ」を購入していただくことで、投資信託を経験し、また、「分散投資」の効果について理解を深めていただいた後で、次のステップとして株式を組み入れた投資信託等をご検討される方も出て来ると思います。新NISAは生涯使える制度ですから、一歩ずつ、ご自身のペースで進めていかれてはいかがでしょう。「ますますグロタ」は、その最初の一歩としてご検討いただける投資信託です。