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新NISAのスタートでグローバルバランスファンドは根付くか? 成長投資枠の対象として新規登録続く

2024/01/15 17:54

 投資収益非課税枠が1人当たり1800万円に拡大された新NISAがスタートした。この制度をきっかけに、新たに投資を始めようと考える人も少なくないだろう。また、この制度を通じて新たな投資商品を提案するという動きも投信会社や投信販売会社から積極的な情報発信も始まると考えられる。その中で、昨年末から年明けに目を引くのが成長投資枠の対象ファンドとして「グローバルバランスファンド」がセットで登録されている動きだ。これらは、世界の株式、債券、リート(不動産投信)などに幅広く分散投資して、想定されるリスク水準に応じて「安定型」「成長型」などいくつかの投資コースを設けている。資産を広く分散することによって安定的な運用成果を求める投資商品として、これまでも数多く設定され、企業型確定拠出年金の運用商品としては代表的な商品カテゴリーになっている。新NISAで一般の投資商品として市場で一定の人気を得られるのか注目されるところだ。

 グローバルバランスファンドは、今年1月9日に成長投資枠の対象ファンドとして「グローバル資産分散投資ファンドAコース(安定)〜Eコース(積極)」の5ファンドが登録された。1月5日は「楽天・資産アロケーション・ファンド(標準型)〜(成長型)」の3本、2023年12月19日には「スタイル9(4資産分散・保守型)〜(8資産分散・積極型)」の9本が登録されている。それぞれのシリーズによって資産分散の対象や方法は異なるものの、複数の資産に分散投資して、投資資産の組み入れ比率を変えることによってリスク水準の異なるポートフォリオをセットして提供している点では同じようなファンドのシリーズといえる。

 「グローバル資産分散投資ファンド」は、日本株式、海外株式、日本債券、海外債券、日本リート、海外リート、コモディティ等に分散投資するファンドで、資産の配分比率を調整して、それぞれのコースの目標リスク水準を「Aコース(安定)」で年率5%、「Bコース(やや安定)」で7.5%、「Cコース(標準)」で10%、Dコース(やや積極)」で13%、「Eコース(積極)」で16%にしている。概ね3カ月ごとに資産配分比率を見直す。信託報酬率(投資一任事業者報酬を含む)は、年1.793%(税込み)。投資一任業者として証券ジャパンと投資一任契約を結んだ投資者(受益者)のみが購入できる。

 「楽天・資産アロケーション・ファンド」は、「標準額」「成長型」「積極成長型」の3コースがある。日本株式、先進国株式、新興国株式、日本債券、先進国債券、新興国債券を投資対象としている。それぞれの資産カテゴリーの中でも、たとえば日本株式であれば「iシェアーズ・コアTOPIX・ETF」「ストラテジック・バリュー・オープンF(適格機関投資家専用)」「スパークス・集中投資・日本株ファンドS(適格機関投資家専用)」など複数のファンドを投資対象としており、各ファンドの資産配分についてはマーサー・インベストメンツの投資助言サービスを受ける。たとえば、「標準型」の基本的な資産配分比率は、日本株式20.50%、先進国株式24.06%、新興国株式7.50%、日本債券6.66%、先進国債券33.28%、新興国債券7.50%などとなっている。信託報酬率は年1.6125%(税込み)〜1.6425%(税込み)。

 「スタイル9」は、「日本株式」「先進国株式」「日本債券」「先進国債券」(以上が4資産)、「国内リート」「海外リート」(以上が6資産)、「新興国株式」「新興国債券」(以上が8資産)を投資対象としている。「4資産分散・保守型」「4資産分散・バランス型」「4資産分散・積極型」「6資産分散・保守型」「6資産分散・バランス型」「6資産分散・積極型」「8資産分散・保守型」「8資産分散・バランス型」「8資産分散・積極型」という9つのファンドシリーズ。それぞれ以下の目標リスク水準で組入れ資産の比率を決定する。「保守型」は年率5%程度〜7%程度、「バランス型」は年率9%〜11%程度、「積極型」は年率14%程度〜16%程度。組み入れ比率の決定は大和証券から助言を受ける。信託報酬率は年0.825%以内(税込み)。

 このようなグローバル分散ファンドは、市場の変動にかかわらず安定的な収益が期待できるファンド群といえる。ただ、実際の運用実績を長期で確認してみないと、それぞれのファンドがめざしている目標リスク、また、期待できるリターンの水準もわかりにくいというネックがある。市場に定着するかどうかは、運用実績等によって安心して投資ができるファンドであるということが広く知られることが必要になるだろう。

 「新NISA」では、「つみたて投資枠」の対象ファンドの多くが低コストのインデックスファンドになっている。一般的に活用されているのは、基本的に株式に100%投資するファンドだ。それに対し、グローバル分散ファンドは、債券やリートといった株式とは異なる資産に投資することによって、株式市場で株価が下落するような局面でも、その他の資産によって資産の下落をマイルドにする効果が期待される。結果的に、その安定的な運用成績が中長期的に投資することを可能にし、資産形成を成功に導くこともできると考えられている。「つみたて投資枠」では株式のインデックスファンドに投資し、「成長投資枠」ではグローバルバランスファンドに投資するというのが、1つの投資手法として考えられる。安定的な運用成績が期待できるグローバルバランスファンドは、換金が必要になった時などに大きな資産価値の目減りなく換金できる期待も持てる。投資は初めてという方が、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を使って投資するということは少ないかもしれないが、徐々に投資に慣れてきた段階で、新NISAの2つの投資枠を上手に使い分けるやり方も覚えたい。(イメージ写真提供:123RF)