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全世界株式インデックスのトータルリターンは1年間で31%、新NISAのスタートで投資の第一歩を

2024/01/12 18:33

 2023年を振り返ると、米国でハイテク企業の比率が高いNASDAQ市場の大勝利ということになった。ただ、米NASDAQは2022年は大幅なマイナスだった。ジェットコースターのように上下動が激しい市場といえ、投資するには値動きの大きさを覚悟して臨む必要がある。一方で、マイナスのパフォーマンスになった主要資産は少ない中で、「J−REIT(東証REIT指数)」や「中国」は2年連続のマイナスのパフォーマンスになった。今年から始まった「新NISA(少額投資非課税制度)」によって、新たに投資信託等の購入を考える人も少なくないと考えられるが、投資商品は選択した商品によって投資成果が大きく異なる。投資の開始にあたっては、投資する資産の過去の値動き等をしっかり確認した上で、投資対象商品を決定したい。

 資産別の1年リターンを調べると、主要なインデックスで最も大きなプラスリターンを記録したのは「NASDAQ総合(円ベース)」の54%だった。「MSCIアルゼンチン(配当込み、円ベース)」の79%などもあるが、国内で取り扱いのある投資信託で比較的購入しやすいことを考えると「NASDAQに上場する銘柄への投資」が大きな投資成果をあげたということになる。実際には、NASDAQ市場に上場する全銘柄を対象にした「NASDAQ総合」より、NASDAQ上場企業の中から時価総額の大きな100銘柄でつくられた「NASDAQ100」に連動するインデックスファンドが一般的に利用されている。たとえば、「インデックスファンドNASDAQ100 (アメリカ株式)」は、昨年1年間のトータルリターンが65%だった。

 次いで、米国株の中で主要な500銘柄を投資対象とした「S&P500(配当込み、円ベース)」が35%だった。「S&P500」に連動するインデックスファンドは、ここ数年間で人気を集めているが、その人気の背景は高い投資成果が期待できるというところにある。たとえば、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は純資産総額が3兆円を超え、個別の投資信託(ETF除く)としては最大規模の投資信託だ。この投資信託の昨年1年間のリターンは指数とほぼ同じ35%だった。

 そして、日本を除く先進国株式を広くカバーする株価指数「MSCIコクサイ(除く日本)(配当込み、円ベース)」が33%、新興国を含む全世界の株式を対象とした株価指数「MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)(配当込み、円ベース)」が31%などとなっている。これら年間で30%以上の投資成果を実現した株価指数や、それに連動するインデックスファンドに投資していた人は、過去の平均と比べても、1年間の投資成果としては非常に高い運用成績をあげることができたといえる。

 ただ、これらの株価指数は、2022年は軒並みマイナスのリターンになっていた。「NASDAQ総合(円ベース)」はマイナス23.4%、「NASDAQ100(円ベース)」はマイナス23.3%、「S&P500(配当込み、円ベース)はマイナス6.7%、「MSCIコクサイ(配当込み、円ベース)」はマイナス5.9%、「MSCI ACWI(配当込み、円ベース)」はマイナス6.1%などだ。NASDAQ指数は2022年のマイナス幅が大きかった分、2023年の上昇率も大きくなっているが、総じて、2022年の下落率よりも2023年の上昇率は大きかった。

 一方、「東証REIT指数」は2022年がマイナス8.34%で、2023年もマイナス4.6%と2年連続のマイナス。「MSCI中国(配当込み、円ベース)」は2021年から3年連続マイナスという非常に厳しい運用成果になっている。ただ、「中国」は今でこそマイナス成果になっているが、2003年〜2007年は年間30%〜80%超というような非常に高いパフォーマンスを残していた期間もある。パフォーマンスの良し悪しは、その投資したタイミングの良し悪しによっても印象が大きく異なってくる。

 このように、選んだ投資対象によって投資の収益が大きく異なるため、多くの人は「何を選べばよいのかよくわからない」ということになってしまい、結果的に投資に踏み切れないということになりがちだった。しかし、「新NISA」がスタートし、国策として「資産運用立国」ということもいわれている。「わからないから手を出さない」という姿勢を改めて、「わからないことについて理解することに努める」という姿勢も重要なのではないだろうか。その際には、米国株式単独(「NASDAQ100」や「S&P500」など)に投資するより、先進国株式に幅広く投資する「MSCIコクサイ(除く日本)」や「MSCIワールド」。さらには、新興国も含む全世界の株式を対象にした「MSCI ACWI」など、より広く分散された投資対象を選ぶことを考えたい。

 加えて、数十万円や数百万円を一括で投資するのではなく、10万円の投資資金であれば毎月1万円、100万円の資金は毎月10万円など、小分けした資金で積立投資するというやり方もある。株式市場が上昇しても下落しても、毎月コツコツと購入を続けることで、購入金額を相対的に低く抑えられる(ドルコスト平均法)効果もある。タイミングを計っていると、いつまでも購入できずにいて、結果的に値上がりした投資信託を買いそびれるということもある。毎月定期的に購入すると考えれば、最初は目をつぶって飛び込む思いをするかもしれないが、徐々に価格変動には慣れてくるものだ。まずは、投資の経験を積むことが大事なのではないだろうか。昨年1年間の投資成果は、一足早く投資に踏み込んだ方々の投資成果ともいえる。2023年は1年間で投資資金が30%も増えた方も少なくなかったのだ。(グラフは、主要資産の2023年のリターン)