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インデックスファンドの信託報酬の水準を一段と引き下げるステート・ストリートの新ファンド登場

2024/01/09 17:42

 ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズは1月11日に、新たな低コスト・インデックスファンドシリーズを新規設定し、運用を開始する。「TOPIX(東証株価指数)」や「MSCIコクサイ・インデックス」など代表的な指数に連動するインデックスファンドを7本設定するが、「TOPIX」連動型のファンドでは信託報酬率を業界最低水準の年0.098%(税抜き)に設定するなど、投信業界の動きに一石を投じるラインナップになっている。国内株式のインデックスファンドについては、「S&P500」や「全世界株式(オール・カントリー)」などと比べて信託報酬率の引き下げ競争が穏やかに進んできただけに、今回の新設ファンドによって年0.1%を割り込むような競争に発展するのか注目される。

 新たに設定されるのは、以下の7ファンドだ。7本とも、新NISAの成長投資枠の投資対象とすべく準備している。『ステート・ストリートTOPIXインデックス・オープン』<ライトTOPIX>は、中長期的に「TOPIX(東証株価指数、配当込み)」の動きに連動した投資成果の獲得を目指して運用を行う。信託報酬は年率0.1078%(税抜0.0980%)。TOPIX連動型のインデックスファンドでは、2023年7月12日に設定された「SBI・iシェアーズ・TOPIXインデックス・ファンド(愛称:サクっとTOPIX)」が税込み年率0.1133%(税抜き0.103%)で最も低い水準だったが、この水準を引き下げて税抜きの信託報酬では年率0.1%を下回った。

 『ステート・ストリートS&P500インデックス・オープン』<ライトS&P500>は、「S&P500(配当込み、円換算ベース)」に連動をめざし、信託報酬は年率0.0748%(税抜0.0680%)。「S&P500」連動型としては、2023年11月13日に新規設定された『<購入・換金手数料なし>ニッセイ・S米国株式500インデックスファンド』が年率0.05775%(税抜き0.0525%)が信託報酬の最低水準になっている(このファンドは連動する株価指数をSolactive GBS United States 500インデックスとしているが、実質的にS&P500と同等の値動きが期待できる)。また、S&P500をベンチマークにしたインデックスファンドでは2023年11月17日に新設された『つみたてiシェアーズ 米国株式(S&P500)インデックス・ファンド(愛称:つみたてS&P500)』が2026年5月7日までは0.0586%(税抜0.056%)になっている。期間限定ではないファンドでは2023年10月27日設定の『楽天・S&P500インデックス・ファンド(愛称:楽天・S&P500)』が年率0.077%(税抜き0.07%)であり、この水準を下回る信託報酬を実現している。

 『ステート・ストリート・グローバル株式インデックス・オープン』<ライト・グローバル株式>は、先進国株価指数である「MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)」への連動をめざし、信託報酬は年率0.0748%(税抜0.0680%)。「MSCIコクサイ」に連動するインデックスファンドには、2030年12月31日までの信託報酬を0%とした『野村スリーゼロ先進国株式投信』があるが、期間限定等の条件がないファンドでは、2023年12月22日設定の『楽天・先進国株式(除く日本)インデックス・ファンド(愛称:楽天・先進国株式(除く日本))』が年率0.088%(税抜0.08%)が従来の最低水準であったため、これを下回る業界最低水準の信託報酬になった。

 『ステート・ストリート全世界株式インデックス・オープン』<ライト全世界株式>は、中長期的に新興国を含む全世界株価指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)」に連動する値動きをめざす。信託報酬は年率0.0748%(税抜0.0680%)。「MSCIオール・カントリー」に連動するインデックスファンドは、2023年4月26日設定の『Tracers MSCIオール・カントリー・インデックス(全世界株式)』が年率0.05775%(税抜0.0525%)を出してから、年率0.5775%に追随するファンドが現れたが、2023年10月27日設定の『楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド(楽天・オールカントリー)』が年率0.0561%(税抜0.051%)でリードしている。

 この他は債券ファンドで、各債券カテゴリーにおいて業界最低水準の信託報酬を実現した。『ステート・ストリート米国投資適格社債インデックス・オープン(隔月分配型)』<ライト米国投資適格社債隔月>は、「ブルームバーグ米国社債(1−10年)インデックス(円換算ベース)」に連動をめざし、信託報酬は年率0.2838%(税抜0.2580%)。『ステート・ストリート・グローバル債券インデックス・オープン(隔月分配型)』<ライト・グローバル債券隔月>は、「FTSE世界国債インデックス(除く日本、円換算ベース)」に連動をめざすファンド、信託報酬は年率0.0638%(税抜0.0580%)。『ステート・ストリート国内債券インデックス・オープン(隔月分配型)』<ライト国内債券隔月>は「NOMURA−BPI総合」に連動をめざし、信託報酬は年率0.1078%(税抜0.0980%)にした。

 日経平均株価が新年早々にバブル後の最高値を更新するなど、国内株式市場への注目度が高まる中、新NISAの長期の積立投資という投資スタイルにおいて利用されるファンドとして本命視されている低コスト・インデックスファンドにおいて、世界的なインデックスファンド提供者として存在感のあるステート・ストリートが業界最低水準のファンドを新規投入するというアグレッシブな動きに出てきたことは注目される。今後、新NISAの進展に伴って国内株式インデックスファンドの残高が増えることが期待され、国内運用会社が国内株インデックス分野での競争を座視しているとは思えない。2023年は年後半に「全世界株式」などのカテゴリーで激しい信託報酬の引き下げがあったが、今年は、その流れが国内株式インデックスファンドに波及しそうだ。

 一方、債券ファンドの分野についても、新NISAが1人当たり1800万円と大きな金額の非課税枠が付与されたことで、今後の活用が期待される分野だ。この分野の低コストインデックスファンドとしては、2023年6月に『SBI・iシェアーズ・米国投資適格社債インデックス・ファンド(愛称:サクっと米国適格債(1-5年)』、『SBI・iシェアーズ・米国ハイイールド債インデックス・ファンド(愛称:サクっと米国ハイイールド債)』、『SBI・iシェアーズ・米国短期国債ファンド(愛称:サクっと米ドル)』、『SBI・iシェアーズ・米国総合債券インデックスファンド(愛称:サクっと米国総合債券)』が設定されている。今後、債券インデックスファンドの分野も品揃えの拡充とともに信託報酬の引き下げが進むと期待される。(イメージ写真提供:123RF)