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ファンドニュース

10月27日新規設定の楽天のインデックスファンドがトップ10入り=ネット証券の投信積立契約件数ランキング23年10月

2023/11/06 14:03

 大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次)2023年10月のトップには、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が返り咲いた。23年6月のトップから4カ月ぶりのトップに立った。前月トップだった「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」は第2位に後退。そして、第3位は前月同様に「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」だった。トップ3の顔ぶれは変わらないものの、トップ10の中に、10月27日に新規設定したばかりの「楽天・S&P500インデックス・ファンド」と「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」がランクインした。

 ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。

 投信の積立契約は、2018年1月にスタートした「つみたてNISA」が普及の大きなきっかけになったが、その際に、口座開設の第一候補として使われたのがSBI証券や楽天証券といったネット専業証券だった。「つみたてNISA」については、対象ファンドが代表的なインデックスに対応した「指定インデックス」に連動するインデックスファンドを軸として利用する制度となっており、「日経平均株価」や「TOPIX]、あるいは、「S&P500」、「MSCIコクサイ」など、専門家から詳しく説明を受けるまでもなく投資対象が理解できる商品だったことも、ネット証券利用を促す要因だったろう。また、積立投資においては、「低コスト」が強調され、「つみたてNISA」だけを考えるのであれば、ノーロード(販売時手数料無料)、かつ、運用時の手数料(信託報酬率)が低コストという点では、銀行や証券会社での店舗でも手数料率に変わりはないのだが、「低コスト」としてイメージされるネット証券が第一の選択肢になった。

 運用会社の間でも「ネット専用投信」として、ノーロード、かつ、低コストのインデックスファンド・シリーズを投入していた。その代表格が「業界最低水準の手数料率をめざす」と宣言し、競合ファンドが手数料率を引き下げるたびに料率の改定を繰り返して「業界最低水準」への本気度を見せつけた「eMAXIS Slim」シリーズだ。特に、人気を集めた「S&P500」と「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」の両指数に連動するインデックスファンドで圧倒的な人気を獲得することに成功した。ネット専用の低コストインデックスシリーズは、他の大手運用会社も品揃えを拡充して「eMAXIS Slim」シリーズに対抗したが、今までのところ「eMAXIS Slim」シリーズがトップブランドの地位を盤石なものにしている。

 一方、「楽天」シリーズは、そのような大手投信会社の代表的なインデックスに連動するインデックスファンドシリーズとはやや異なるラインナップを維持してきた。「楽天」のインデックスファンドシリーズの主軸は「楽天・全米株式インデックスファンド」で、これは、米国の「S&P500」でも「NASDAQ100」でもなく、「CRSP USトータル・マーケット・インデックス(円換算ベース)」に連動するインデックスファンドだった。これに次ぐ残高がある「楽天・全世界株式インデックスファンド」も「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」ではなく「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス(円換算ベース)」に連動するインデックスファンドになっている。これらは、いずれも組み入れるETFの関係で、そうならざるを得なかったといえるものだが、結果的に最も競合の激しいインデックスとは重ならない影響もあって、信託報酬率は「全米」が年0.162%(税込み)、「全世界」が0.192%(同)と、「S&P500」で求められている0.09%や「全世界」の0.06%という水準とは違う基準で通用していた。

 それが今回、いわばインデックスファンドの主戦場になっている「S&P500」と「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」に連動するインデックスファンドを相次いで投入した。このため「楽天・S&P500」の信託報酬率は年0.09372%と「0.09%水準」に合わせた。「楽天・オールカントリー」も0.05775%という業界最低水準に合わせている。投資家は、この動きに応えるように、喜んで投資対象に加えて見せたというのが10月の動きだった。

 「楽天」シリーズが「S&P500」や「MSCIオール・カントリー」を品揃えしたのは、24年1月にスタートする新NISAへの意識が大きいと考えられる。これまでの「つみたてNISA」であれば、年間の投資限度額が40万円(毎月約3.3万円)という投資金額だったが、新NISAでは毎年360万円、毎月30万円までの投資が可能になる。投資金額の上限が約10倍に引き上げられた格好だ。比較的大きな金額で積立投資を考えている投資家も少なくないといわれており、そのような資金に対して正面から対応するのは、主戦場での戦いを避けてはいられないということだろう。

 一方、積立投資の潮流は、「SBI・iシェアーズ・インド株式インデックス・ファンド」や「iFreeNEXTインド株インデックス」に代表されるような「サブブランド」のインデックスファンドに広がりつつある。メインとして「S&P500」や「MSCIオール・カントリー」で積立投資していても、それに加えて「インド株インデックス」を組み合わせ投資するという選択だ。これは新NISAで投資可能額が拡大することで、一段と進むものと考えられる。

 新NISAを控えて、旧入り乱れてランキングが動き出した。今後の展開に注目していきたい。(当初の原稿では、「楽天・全米株式インデックスファンド」と「楽天・全世界株式インデックスファンド」が連動をめざす株価指数の表記が間違えていました。お詫びして修正します)