ウエルスアドバイザーYouTubeチャンネル かんたんファンド検索 詳細条件でファンドを検索 ファンドの見直し

ファンドニュース

新NISA成長投資枠対象商品(非上場)は1722本に、信託報酬0.05775%の超低コスト商品も追加

2023/11/02 18:12

 投資信託協会が11月1日に更新した「NISA成長投資枠対象商品リスト」(非上場投信)で新たに40本の投信がリストアップされ、対象ファンド数は合計1722本になった。今回の更新では、新たな運用会社として「T&Dアセットマネジメント」と「アクサ・インベストメント・マネージャーズ」が加わった。

 「NISA成長投資枠対象商品リスト」は、6月21日から公表が始まり、今回で6回目のリスト公表になる。10月公表分から、9月、10月設定の新しいファンドがリストアップされることが目立ち始めたが、今回も追加された40本のうち25%にあたる10本が9月以降に新規設定されたファンドになった。ファンドリストの公表も6回目となり、運用会社各社が新NISAに向けて既存ファンドの登録は峠を迎え、これからは新NISAスタート以降を見据えた新ファンドが主にリストアップされていくものと考えられる。

 9月以降の新設ファンドは、新NISAスタート以降の投信マーケットを展望しての品揃えといえ、各社の戦略が垣間見えて興味深い。今回、新たにリストアップされた新設ファンド10本は以下の通り。

 「EXE−i グローバルサウス株式ファンド」(10月20日設定)は、公募投信で初の「グローバルサウス」を投資対象として着目したファンドだ。従来の新興国株式が、いわゆる「BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)」を軸にしたファンドだったことに対し、このファンドでは、ロシアと中国を除く、インド、ブラジルといった南半球に軸足をおいた国々に投資するファンドになっている。ちょうど、ロシアがウクライナ紛争を抱え、中国が米国との対立や不動産業界の行き詰まりで経済成長率が鈍化するタイミングであり、この2カ国を投資対象から外すことで、より高い成長が期待できる。

 「高成長ASEAN小型株式ファンド」(9月27日設定)は、今後成長期待の大きいASEAN(インドネシア、シンガポール、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア等)の小型の株式、REITを投資対象とする。実際の銘柄選定等はアジアに調査網を持つマニュライフ・インベストメント・マネジメント(香港)が担当する。

 「日本企業PBR向上ファンド」(9月25日設定)は、日本株市場の見直しのきっかけになったといわれているPBR(株価純資産倍率)1倍割れの上場企業などに対して東証が要請した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に対し、企業側の動きが顕在化し始めていることに着目したファンドだ。9月末時点においてもPBR1倍割れ企業はTOPIX構成銘柄の49%を占めており、PBR改善に向けた企業の取り組みは、企業価値の向上から株高につながっていくものと期待される。

 「<購入・換金手数料なし>ニッセイ・S米国株式500インデックスファンド」(11月13日設定)は、ドイツの指数プロバイダーが算出する「Solactive GBS United States 500インデックス」という米国上場株式の時価総額上位500銘柄で構成する株価指数に連動することをめざすインデックスファンドだ。構成銘柄は、「S&P500」とほぼ同じであり、投資比率も似通っていることから、「S&P500」と同じようなパフォーマンスになると考えられる。信託報酬率が年0.05775%(税込み)となり、米国株のインデックスファンドの中では最も低い水準になる。

 「DCニッセイ全世界株式インデックスコレクト」(9月15日設定)は、全世界株価指数であるMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスに連動するインデックスファンドだ。信託報酬率は年0.1045%(税込み)。

 「楽天S&P500インデックス・ファンド」(10月27日設定)は米S&P500に連動するインデックスファンドで、信託報酬率は年0.09372%。「楽天オールカントリー株式インデックス・ファンド」(10月27日設定)は、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスへの連動をめざすファンドで信託報酬率を年0.05775%(税込み)という業界最低水準に設定した。

 「りそな米国株式配当貴族インデックス(年1回決算型)」(10月16日設定)、「同(年4回決算型)」(10月16日設定)は、S&P500配当貴族指数への連動をめざす。25年以上増配を続ける米国の優良株を対象とした株価指数で、ハイテクグロース株の比率が高いS&P500と比較すると景気の影響を受けにくい生活必需品の構成比が高くなっている。

 そして、「MHAM J−REITインデックスファンド(隔月決算型)」(11月16日設定)がある。こちらは、「ビルオーナー」の愛称で残高が840億円を超える毎月分配型ファンドの隔月決算型になっている。

 これらの顔ぶれをみると、先進国を中心にした海外株式インデックスファンドは、信託報酬率が年0.05%台の戦いに突入していることがわかる。市場人気を獲得した「S&P500」と「全世界株式(オール・カントリー)」は、それぞれ信託報酬率が0.05775%という超低水準の手数料率になってきた。「つみたて投資枠」では、従来の「つみたてNISA」の限度額である年間40万円が年間120万円にまで拡大し、「成長投資枠」(年間240万円)と併用すれば、合計で年間360万円までの積立投資が非課税で可能になる。積立投資を長期にわたって行う際には、運用中にかかる信託報酬の水準が低い方が好まれる。この年0.05775%という水準に、どれほどの運用会社が追随するのか注目される。

 今後の発表予定は、12月1日、12月19日だ。今後、どのような新設ファンドがリストアップされるのか、今後の発表に注目していきたい。(イメージ写真提供:123RF)