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「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」が純資産残高で全ファンド(ETF除く)でトップに

2023/02/07 13:39

 三菱UFJ国際投信が設定・運用する「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の純資産残高が2月6日に国内の全公募投資信託(ETF除く)でトップになった。残高は1兆8065億円で、これまで1位だった「アライアンス・バーンスタイン 米国成長株投信Dコース予想分配金提示型」の1兆7977億円を抜き去った。ETFを除くと公募のインデックスファンドが純資産残高でトップに立ったのは初めてのことだ。つみたてNISAの導入によって本格化した投信を使った積立投資が定着してきたことを示す象徴的な出来事になった。

 「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の設定は2018年7月3日。設定時の信託報酬率は年0.16%(税抜き)だったが、「業界最低水準の手数料率をめざす」という「eMAXIS Slim」シリーズの特性を発揮し、競合に同ファンドよりも低い利率のインデックスファンドが投入されると、その水準と同率程度に信託報酬率を引き下げ、2019年6月14日に年0.15%(税抜き)に引き下げ、その後、「SBI・V S&P500インデックス・ファンド」が年0.1%を下回る水準で登場すると、19年11月12日に、同ファンドの信託報酬率は年0.088%(税込み0.0968%)という年0.1%を下回る水準にまで引き下げた。信託報酬率が年0.1%をも下回る超低コストを実現したことで、「eMAXIS Slim」シリーズが掲げる「業界最低水準の手数料を提供する」という信頼のブランドが確立したと考えられる。

 そして、同ファンドは2022年2月10日にインデックスファンドとして初の純資産総額1兆円を突破し、同年9月8日には残高が1兆5000億円を突破した。この間、米国は2021年末までは、コロナ対策としてのゼロ%金利と大規模な量的緩和を併用する歴史的な金融緩和策を実施してきたこともあって米国株価の上昇という恩恵があった。しかし、2022年3月に米国が利上げに転じ、米国株価が軟調になる中にあっても、同ファンドに対する資金流入は継続した。結果的に、米国「S&P500」指数は、2022年にマイナス19.44%(米ドルベース)と大幅安になったにも関わらず、同ファンドには1年間で純設定額が7364億円と業界最大規模の設定額(買付金額)を記録した。このような対象資産の値下がりにも関わらず資金流入が止まらないのは、毎月など定時定額で投資を継続する積立投資の普及のたまものといえる。

 三菱UFJ国際投信が大手ネット証券5社にヒアリング調査した結果、2022年12月末時点で同ファンドを保有している投資家の人数は5証券合計で246万人を超え、21年12月末時点と比較して約90万人増加した。ネット証券には投資勧奨してくれる営業担当者がいないため自ら進んで投資を開始する必要があり、しかも、ネット証券の投信の取り扱い本数は多いにもかかわらず、同ファンドを選んで投資するという動きが継続している。従来の大規模ファンドが、大手証券など強力な販売力を持った販売会社が関わって、時には数千万円や億円というまとまった資金を積み上げて販売した結果だったことと比較すると、毎月5000円や1万円の積立投資が数百万人という規模で重なって1兆8000億円を超える残高を実現したのは、時代の変化を感じさせる。積立投資を継続するために、「eMAXIS Slim」シリーズが実現した超低コストのインデックスファンドは必要不可欠だったといえる。

 「eMAXIS Slim」シリーズとしては、公募投信残高ランキング(ETF)の第4位に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」が残高8974億円で続いている。このファンドの信託報酬率も年0.104%(税抜き)と、全世界株式を対象としたインデックスファンドの中では最低水準となっている。こちらも月次での資金流入が継続し、その資金流入額も2022年12月には600億円に迫る規模に拡大してきた。このファンドも積立投資の対象ファンドとして根強い人気があり、このペースで資金流入が継続すれば、残高1兆円突破は年内の前半にも実現できそうな勢いだ。(グラフは「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」設定来の基準価額と純資産総額の推移)