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「全世界株式(オール・カントリー)」を軸にした投信積立が一段と進展=ネット証券の投信積立契約件数ランキング23年1月

2023/02/03 14:45

 大手ネット証券3社の投信積立契約件数ランキング(月次)2023年1月のトップは同ポイントで「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」になった。第3位は「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」で、前月と同じ結果だった。トップ10には前月から新興国株式を含む全世界株式を対象としたインデックスファンドが目立ってきているが、今月は「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」が前月の6位から5位にランクアップし、前月から強まった全世界株式を中心とした積立投資の傾向が一段と強まったようだ。

 ランキングは、定期的に月次の投信積立契約件数トップ10を公表しているSBI証券、楽天証券、マネックス証券の公開情報を使用。各社ランキング1位に10点、以下、順位が落ちるたびに1点を減点し、第10位を1点として、3社のランキング10位までのファンドの点数を集計した。

 「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」のトップに続き、「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」が前月から獲得ポイントを4ポイント上げて第5位にランクアップした。前月同様に第7位には「SBI・V・全世界株式インデックス・ファンド」と「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」が入り、前月同様にトップ10のうち4本を全世界株式を対象としたインデックスファンドが占めている。昨年までは、「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」を中心に、米国株式を投資対象としたインデックスファンドが投信積立の主流だったことと比べると、グローバル株式に投資する投資範囲が横に広がって分散されてきたことが感じられる。

 一方、米国株式については根強い人気がある。ランキングの第10位には、前月と同様に「auAMレバレッジ NASDAQ100」が入っている。同ファンドは、米国の「NASDAQ100指数(米ドルベース)」の値動きの2倍程度の値動きをめざすファンドで、2021年頃に人気を集めた「レバナス」という投資手法のファンドだ。米国成長株の代表的な指数である「NASDAQ100」は、米国の急速な利上げによって経済の過熱感が強く意識され、それとともに株価の割高感が指摘されるようになったことから下落した。それでも、レバレッジをかけて(大きなリスクをとって)米国NASDAQに投資することを選択する投資家が少なくないということだ。

 「NASDAQ100」は2020年3月に7000ポイント割れの水準だったが2021年11月には1万6500ポイントを超えた。そこをピークに2022年11月には10000ポイント程度に下落したものの、現在は1万2800ポイント台にまで回復してきている。「auAMレバレッジ NASDAQ100」の信託報酬率は年0.43%で、レバナス型ファンドの主流だった「iFreeレバレッジ NASDAQ100」の信託報酬率(0.99%)の半分以下になっている。

 なお、「eMAXIS Slim 国内債券インデックス」がランキング圏外から第9位にジャンプアップしてきた。国内債券は超低金利政策が継続してきた関係で価格の上昇余地が無いような状況が続いてきた。また、日銀は2016年1月に「マイナス金利政策」に踏み切った後、16年9月から長期金利の利回りを抑制する「イールドカーブコントロール(YCC)」を実施し、10年国債利回りの上限0.25%を維持してきたため、債券価格は経済環境の変動を横目に概ね横ばいの推移となってきた。ただ、2022年になって世界的なインフレが国内にも波及する動きになると、YCCの範囲から外れた超長期国債の利回りが上昇(価格下落)し、同ファンドの基準価額も値下がり傾向が強まった。そして、2022年12月に日銀がYCCの枠組みを変更し、0.25%の上限を0.5%に引き上げたため、10年国債価格は急落した。その結果として、同ファンドの22年12月末現在のトータルリターンはマイナス5.34%となり、過去5年の年率リターンもマイナス0.88%になっている。今後も一段と利上げ(債券価格にとっては下落圧力)が予想されている中、なぜ、積立投資の対象として選ばれているのか、理解が難しい動きになっている。