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低リスクで3年年率16%のリターン「アムンディ・みらい定期便」、実質的な運用者は米国市場見通しに強気

2024/05/09 14:33

 アムンディUSのCIO(運用・調査部門の最高責任者)であり、「Amundi Funds Income Opportunities(国内では「アムンディ・みらい定期便」)」の運用責任者も務めているマルコ・ピロンディーニ氏(グラフの組み込み写真)が来日し、5月7日にメディア向けに米国市場の見方やファンドの運用状況等について解説した。ピロンディーニ氏は、米国経済について「力強い成長を維持しているが、1年前と比べるとスローダウンしている。一部のセクターは鈍化した成長を回復させる力強さがあるが、肝心の個人消費は完全には回復していない。強気の経済見通しを維持しつつも慎重な態度で臨むべきだ。特に、米国の債務水準がGDP比120%に膨れ上がっていることは市場の波乱要因。また、時価総額トップ10の成長銘柄は、非常に集中投資されて割高な水準にあり注意が必要だ。むしろ、トップ10以外の銘柄にチャンスはある。また、債券も社債のスプレッドが狭くなり、ハイ・イールド債券など割高になっている。視野を広くとって分散投資を心掛けたい」と語っていた。

 アムンディ・ジャパンが設定・運用する「アムンディ・みらい定期便」は、ピロンディーニ氏が運用する「Amundi Funds Income Opportunities」に主に投資するファンドオブファンズだ。同ファンドは、2019年8月の設定で4年以上の運用実績がある。過去3年間のトータルリターン(2024年4月末現在)は年率16.58%で、バランス型ファンド「バランス」カテゴリー内の運用ファンド数249本中で第3位の成績。運用の効率性を測るシャープレシオは1.76でカテゴリーで第2位という非常に優れた運用成績を残している。このパフォーマンスの水準は、トータルリターンでは米国株指数「S&P500」の年率22.04%には及ばないものの、「S&P500」が年率15.71というリスクを取っていることに対し、「みらい定期便」は同期間で年率9.44という1ケタ台のリスクで高いリターンを実現している。

 ピロンディーニ氏は、「Amundi Funds Income Opportunities」の企画の段階から関係し、2011年に米国で同ファンドが設定された時から運用責任者を務めている。この米国籍ファンドは、リスク許容度が比較的低い投資家向けの「グローバル・アセット・アロケーション・ファンド」だが、その設計時にはグローバルで金利で安定的な収益をあげることが非常に難しい局面だったと振り返る。そこで、「市場のメインの投資対象ではない『マイクロ・アセット・クラス』にきめ細かく投資することで収益を積み重ねようと考えた」という。2011年の設定当初は、「ハイ・イールド債券」に資産の40%程度を投資し、シンガポールやドイツのREIT(不動産投信)などにも積極的に投資していたというが、その後の市場の変化に伴って投資対象を変更。現在では「ハイ・イールド債」への投資は3%程度と限定的な投資となり、代わって、「エクイティ・リンク・ノート」に資産の20%程度を投資し、エネルギーインフラ資産である「MLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)」や「カタストロフィーボンド」などに投資をしている。

 たとえば、「MLP」については、「MLPとしてイメージされやすいのは、ガスパイプラインのようなエネルギーインフラだが、このようなインフラを使う化石燃料の採掘・輸送については、風力や太陽光など再生可能エネルギーの比率を高めようという時代の要請を考えれば、不要な資産と見なされがちだが、実は、パイプラインを使ってガスの代わりに、新しいエネルギーとして期待される水素を流すこともできる。将来においても利用価値のある資産として評価できる。それが、配当利回り9%という割安な水準で取引されているので、魅力的な資産クラスであると私たちは評価した」と語っている。

 ピロンディーニ氏は、現在の米国株式市場について「一部の大型成長株に集中し過ぎている」とみている。「過去100年で6度しか起きなかったほどの極端な集中投資になっている。過去に集中投資が起こった場合は、必ず、その集中度合いの緩和が起こっている。今回も、大型成長株への過度の集中が緩和される方向に動くのではないかとみている。実際に、時価総額上位10銘柄のPERは30倍近くに上昇してしまっていて割高だ。その上位10銘柄を除いたS&P500のPERは17倍台で過去平均と大きな違いはない。時価総額上位10銘柄以外に、投資チャンスがあると考えている。また、投資スタイルとして『グロース』に偏り過ぎているようだ。向こう3年間程度は『バリュー』にチャンスがあるとみている」と語った。「Amundi Funds Income Opportunities」の株式ポートフォリオもバリューに軸足を置いたポートフォリオになっていると語っていた。

 一方、米国の大統領選挙については、「米国民は夏以降に大統領選挙への関心を強くするが、米国は分断されていて、今後、米国民は候補者から極端な政策立案の話を聞かされることになるだろう。現在の財政赤字の状態を考えれば、そうした極端な政策が語られることは危険な方向であり、これが市場のボラティリティ(価格変動率)を高めることにつながろう。ただ、『コーポレート・アメリカ』は非常に強いので、ボラティリティの高まりは、オポチュニティ(好機)でもある。視野を広くとって、魅力的な投資対象の投資チャンスを狙っていきたい」と語った。