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経済ニュース

FOMC、3会合連続で政策金利を据え置き―24年に3回利下げを予想

2023/12/14 09:03

<チェックポイント>
●経済鈍化や金融システム不安を引き続き警戒
 
●24年末の政策金利予想は4.6%―前回予測の5.1%から引き下げ
 
●パウエル議長、「利下げを長期にわたり遅らせるのはリスク」
 
 
 
 
 FRB(米連邦準備制度理事会)は13日のFOMC(公開市場委員会)会合で、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標を5.25−5.50%(中心値5.375%)に据え置くことを全員一致で決めた。市場の予想通りだった。政策金利を3会合連続で据え置くのは、22年3月に利上げサイクルを開始して以降では初めて。
 
 今回の会合では、FOMCメンバーが適切と考える最新の政策金利水準の分布図「ドット・チャート」が発表された。それによると、24年末の政策金利について、4.50−4.75%と予想したメンバーが最多の6人となったほか、次いで4.75−5.00%と予想したメンバーが5人となるなど、5%以下と予想するメンバーが16人となった。9月時点では5%前後に集中していた。今回、もっとも高い予測をしたのは現行水準である5.25−5.50%の2人、もっとも低い予測は3.75−4.00%の1人。
 
 政策金利のレンジ予想の中心値は24年末が4.6%(前回9月予測は5.1%)と、0.5ポイント引き下げられた。1回の利下げを0.25ポイントとして現在の水準から考えると、24年中に3回の利下げを見込んでいることになる。25年末も3.6%(同3.9%)に引き下げられた。エコノミストの大半は24年の利下げ転換時期については24年5−6月を予想。それまでは現在の高水準の金利のまま据え置かれると見ている。経済が過熱しすぎも冷えすぎもしないとされる中立金利(政策金利の長期予測)は2.5%(前回予測も2.5%)に据え置かれた。
 
 GDP(国内総生産)伸び率の見通しについては、23年は2.6%増(前回予測は2.1%増)、24年は1.4%増(同1.5%増)、25年は1.8%増(同1.8%増)、26年は1.9%増(同1.8%増)とした。
 
 失業率は23年が3.8%(前回予測は3.8%)、24年と25年は4.1%(いずれも同4.1%)、26年は4.1%(同4.0%)と、26年の引き下げを除き、いずれも据え置かれた。
 
 PCE(個人消費支出)物価指数でみたインフレ率の見通しは、23年のコア指数は3.2%上昇(前回予測は3.7%上昇)、24年は2.4%上昇(同2.6%上昇)、25年は2.2%上昇(同2.3%上昇)、26年は2%上昇(同2%上昇)と、26年を除き、いずれも引き下げられた。
 
 インフレの全体指数は23年が2.8%上昇(前回予測は3.3%上昇)、24年は2.4%上昇(同2.5%上昇)、25年は2.1%上昇(同2.2%上昇)、26年は2%上昇(同2%上昇)と、23年と24年、25年が引き下げられた。インフレは24年には物価目標を依然、オーバーシュートするものの、徐々に低下すると見ている。
 
 FRBは声明文では、今回の据え置きの理由として、最近の米経済指標から経済活動の鈍化がうかがえるほか、引き続き米金融システムに対する懸念もあげた。一方、インフレリスクに対する警戒感も示しており、再利上げの可能性も明確には否定しなかった。
 
 パウエルFRB議長は会合後の会見で、「経済の先行きは不透明なため金融政策を慎重に進める」としたうえで、「金利は利上げサイクルによりピークに達した可能性が高い」と述べ、利上げサイクルが終了した可能性を指摘した。また、「利下げを長期にわたり遅らせるのはリスクがある」と述べ、高い金利水準を長期間維持しないことに重点を置き、金利の高止まりの長期化への懸念も示している。ただ、インフレについは「インフレ(低下)に進展が見られるのは良いことだが、もっと見守る必要がある」とした。
 
 次回会合は24年1月30−31日に開かれる予定。
 
(イメージ写真提供:123RF)