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新NISAスタート直前対策! 投信の運用コスト(信託報酬等)はどこまで下げられるのか?

2023/11/22 18:36

 2024年1月にスタートする新しいNISAをきっかけとして、初めて投資をするという方も少なくないと考えられる。初めての投資で気を付けるポイントはいくつかあるが、その1つとして「できるだけ運用コスト(信託報酬等)の低い商品を選ぶ」というのがある。将来の運用成績は未確定だが、運用コストは確実にマイナス要因となる。運用成績からマイナスされることになるコストは、できるだけ低く抑えた方が良いということだ。ただ、実際の運用コストがどの水準にあるのかがわからなければ「高い/安い」の判断ができない。実際の投信の運用コストが、どのような水準にあるのかを知っておきたい。

 投信の運用コストの目安として参考にしたいのは、金融庁が定めた「つみたてNISA対象ファンド」の手数料基準だ。たとえば、インデックスファンドの場合、国内資産のみを対象としたファンドの場合は年0.5%以下、外国資産を組み入れたファンドでは年0.75%以下となっている。そして、アクティブファンドの場合は、国内資産のみで年1.0%以下、そして、外国資産を含む場合は年1.5%以下という基準を示している。「コストの低いファンドに投資したい」と考える場合は、少なくとも、このつみたてNISA対象ファンドの水準を下回る手数料率のファンドを選びたい(注意:つみたてNISAの対象ファンドは、株式への投資を必須としている。債券のみを投資対象とする場合は、この限りではない)。

 主要な投資対象別に、手数料率が最も低い水準にあるファンドを見ていく。まず、「国内株式」については、インデックスファンドで「SBI・iシェアーズ・TOPIXインデックス・ファンド」と「SBI・iシェアーズ・日経225インデックス・ファンド」がともに、0.1133%(税込み)程度で最も低い。これに続くのが、0.143%だ。

 新興国も含む全世界の株式を対象とした「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス」への連動をめざすインデックスファンドの最も低い信託報酬率は年0.05775%(税込み)だ。国内株式インデックスファンドの最安値から、さらに半分程度の水準になっている。しかも、この水準では、複数の運用会社がインデックスファンドを設定・運用している。

 次に、先進国株式(日本を除く)を対象とした「MSCIコクサイ・インデックス」に連動する運用成績をめざすインデックスファンドでは、期間限定ながら、手数料ゼロで提供されている「野村 スリーゼロ先進国株式投信」がある。2030年12月31日までの信託報酬率が0%だ。この次には、投資銘柄数を概ね123銘柄として「MSCIコクサイ」にほぼ連動する運用成果をめざす「SOMPO 123先進国株式」が年0.077%だ。そして、「MSCIコクサイ」に類似した「FTSEディベロップド・オールキャップ・インデックス」に連動する「PayPay投資信託インデックス先進国株式」が0.0906%などとなっている。

 先進国の中で、米国の「S&P500」に類似した「Solactive GBS United States 500インデックス」というインデックスに連動する「ニッセイ・S米国株式500インデックスファンド」は年0.05775%(税込み)だ。「S&P500」に連動するインデックスファンドでは「つみたてiシェアーズ 米国株(S&P500)インデックスファンド」が0.0586%になっている。

 新興国株式では「FTSE エマージングマーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)インデックス」に連動することをめざす「SBI・V・新興国株式インデックス・ファンド」が年0.1438%(税込み)程度になっている。

 このように、投資対象とする資産によって最低手数料率は異なっているが、先進国株式のインデックスファンドでは年0.1%以下の水準にまで手数料率が低下している。「つみたてNISA対象ファンド」では年0.75%以下とされていたが、現在は、そこからはるかに低い水準にまで低下していることがわかる。

 一方、アクティブファンドは、インデックスを上回る運用成績をめざすという点で、それぞれに付加価値を乗せているため、手数料率の水準はインデックスファンドよりも高くなっている。また、アクティブファンドの場合は、運用成績は各ファンドで異なるため、インデックスファンドで手数料を比較するような単純な比較は難しい。アクティブファンドは、手数料控除のパフォーマンスで価値を判断するしかない。手数料が多少高くても、その手数料を控除した後でのパフォーマンスが優れていれば、高い手数料を払う価値があるということになるからだ。

 インデックスファンドの手数料率は、同じインデックスに連動するインデックスファンドであっても、運用する会社やインデックス・シリーズ(名前)の違いによって手数料率が異なる場合がある。信託報酬率という運用コストは、毎日日割りで純資産残高から差し引かれていくものなので、運用成績が同じ場合でも運用コストの高いファンドの成績がコストの分だけ劣後することになる。購入を決める前に、手数料の水準については必ずチェックするようにしたい。

 なお、ウエルスアドバイザーでは、個別ファンドの紹介ベージにおいて、個々のファンドごとに「フィー・レベル」を表示している。同じカテゴリーに所属するファンドの信託報酬率について「安い」「平均より安い」「平均的」「平均より高い」「高い」の5段階で分類している。フィー・レベルで「安い」に区分されているファンドを選べば、同種のファンドの中でコストが「安い」商品であるということになる。参考にしていただきたい。(グラフは、先進国株式インデックスファンドの信託報酬率の違いによる差。過去3年(年率)のトータルリターンは、「野村スリーゼロ先進国株式」が22.01%に対し、信託報酬率0.11%が21.88%、同0.22%が21.77%、同0.55%が21.47%だった)