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新NISAの「成長投資枠」にも適格か? 「ティー・ロウ・プライス 米国中小型株式ファンド」が新規設定

2023/04/14 18:00

 ティー・ロウ・プライス・ジャパンは4月14日、「ティー・ロウ・プライス 米国中小型株式ファンド」(Aコース(為替ヘッジあり)/Bコース(為替ヘッジなし))を新規設定した。つみたてNISAの活用などによって米国株価指数「S&P500」や先進国株価指数「MSCI−KOKUSAI(除く日本)」に連動するインデックスファンドの残高がここ数年で急増しているが、その投資対象銘柄は各国を代表する「大型株式」だ。「大型株式」とは異なる特性がある「中小型株式」については、手当てがされてこなかった。また、個々に有望銘柄に選別投資するアクティブファンドとして、購入時に買い付け代金の3.3%(1億円未満)、信託報酬率は年1.738%が必要になる。ノーロード・低コストのインデックスファンドとは大きく異なる運用コストの水準だ。2024年から始まる新NISAを考えると、「成長投資枠」では「本当に中長期投資で大きな成長が求められる魅力的な商品」が求められる。投資コストをかけてでも運用に取り入れたい資産クラスとして「米国中小型株式」は、十分に選択肢に入る魅力があるのではないだろうか。

 「成長株運用の祖」といわれるトーマス・ロウ・プライス・ジュニア氏が1937年に創業したティー・ロウ・プライスは、主として成長株を見極めて長期に保有することで資産をつくることをサポートしてきた。米国中小型株についても、1960年から投資を続けてきた経験がある。まだまだ規模は小さいものの、特定の分野で抜群の競争力を持つような新興企業は、その成長の初期段階から投資することによって、将来的に何倍、何十倍の大きな投資成果を得ることも可能だ。今回新規設定した「ティー・ロウ・プライス 米国中小型株式ファンド」と同じ運用を行う米国のファンドは2001年7月から運用実績があり、かつて、ネットフリックスやテスラなどといった現在の米国を代表するような企業の初期段階で投資していたという。ネットフリックスは2010年頃までは株価が1ケタ(5ドル〜7ドル程度)だったが、2021年には680ドルを超えた。テスラも2016年頃までは株価が20ドルを超えることがなかったが、2021年には400ドルを超えている。

 「中小型株」のパフォーマンスは、長期で「大型株」を大きく上回る成績を残している。たとえば、米国中小型株の代表的な株価指数「ラッセル2500」は、1978年12月末から2022年12月末まで44年間で66.3倍になった(米ドルベース)。この間、米国大型株で構成される「S&P500」は39.9倍という成績だった。「中小型株」は、内需比率が高い(売り上げの90%以上を米国内に依存している企業が58.8%、大型株では31.5%)ため、米国景気が低迷するような時には先行して大きく株価が下落する傾向などがある。ただ、ティー・ロウ・プライスの検証によると、株価が下落した後の反発局面では、大型株を上回る上昇率を記録しており、中長期に見ていくと大型株を上回る運用成果が得られることになっている。

 米国は2022年に大幅な利上げを実施し、金余りで流動性のある資産が幅広く買い上げられるという状況が一変した。今後は、個別銘柄の優劣を見極めた投資が主流になっていくと考えられる。個別企業を十分に調査し、今後の成長企業に選別投資していく米国中小型株式のアクティブファンドは、今後の活躍が期待される。その中で、長年にわたる成長株投資で、中小型株式の目利きにも定評があるティー・ロウ・プライスが運用するファンドは注目されよう。実際に、新規設定された「ティー・ロウ・プライス 米国中小型株式ファンド」と同じ戦略をとる米国のファンドは2001年7月の設定月を100とすると2022年12月末に633と6.33倍に上昇した(米ドルベース)。これは、同期間の「S&P500」の482、中小型株価指数「ラッセル2500」の586を大きく上回る成績だ。

 新NISAのスタートを控えて、「つみたて投資枠」の主たる対象銘柄になるインデックスファンドでは、信託報酬率の一段の引き下げ競争のような動きが出ている。一方、「成長投資枠」での投資を期待するファンド群としては、今回の「ティー・ロウ・プライス 米国中小型株式ファンド」のような、中長期で大きな運用成果が期待できるファンドという視点からのファンド開発があるようだ。4月に新規設定される予定のファンドにも「ピクテ・グローイング新興国株式(1年決算型)」、「グローバル食料株ファンド」などが予定されている。これらは、それぞれ信託報酬率が年1%を大きく超えるファンドになっているが、運用成績として中長期の成長が見込まれると考えられるファンド群といえるだろう。新NISAの投資枠を有効に活用するという考え方でも中長期に大きな成長が見込める資産に投資するということは理に適っている。今後の新規設定ファンドからも、新NISAに関連するような動きに注目していきたい。(イメージ写真提供:123RF)