ウエルスアドバイザーYouTubeチャンネル かんたんファンド検索 詳細条件でファンドを検索 ファンドの見直し

新興国ニュース

<新興国eye>トルコ3月CPI、前年比50.51%上昇に減速、予想下回る(1)

2023/04/11 09:45

 トルコ統計局が先週(3日)発表した3月CPI(消費者物価指数、03年=100)は前年比50.51%上昇と、前月(2月)の同55.18%上昇を下回り、24年ぶりの高い伸びとなった22年10月の同85.51%上昇をピークに5カ月連続で減速した。22年1月(48.69%上昇)以来1年2カ月ぶりの低い伸びとなり、市場予想(51.3%上昇)も下回った。

 同国のCPI伸び率はウクライナ戦争の勃発(22年2月24日)と、それに伴う西側の対ロ経済制裁により、エネルギー価格の高騰と、中銀の利下げに伴う通貨トルコリラの急落が加わり、インフレ率は21年6月(前年比17.53%上昇)以降、22年10月まで17カ月連続で急加速したが、同11月にようやく1年6カ月ぶりに伸びが減速に転じている。

 伸びが減速したのは、引き続きエネルギーや食品の価格の伸びが減速したことに加え、前年同期のインフレ率が高かったため、低目の数値が出る、いわゆるベース効果が大きい。1年前(22年3月)のインフレ率は61.14%上昇と、その1年前(21年3月)の16.19%上昇から急加速している。また、トルコのエネルギー輸入価格、特に天然ガス価格はロシアのウクライナ侵攻で急騰したあと、22年初めの水準にまで下落している。

 3月の統計結果について、ヌーレッディン・ネバティ財務相はツイッターで、「最も重要なことは、インフレ率の低下の一方で、投資や雇用、生産が減少しなかったことだ。それどころか、雇用と輸出は過去最高を記録した。生産と雇用の減少を引き起こさず、インフレを徐々に持続的に引き下げるため、断固たる措置を講じ続ける」と述べている。

 市場では今後のインフレ率はベース効果により、前年比で伸びが減速し続けるが、前月比では全体指数もコア指数も伸びが加速すると見ている。2月6日に南東部を襲った大規模地震(死者数約5万人)からの災害復旧で政府が多額の財政支出を講じることや、5月14日のトルコの大統領選と国会総選挙に向けて、政府が財政支出を拡大する傾向があるため、インフレ圧力が高まる懸念があるからだ。

 震災前、インフレ率は6月までに35−40%上昇にまで低下し続けると予想されていたが、大統領選挙と議会選挙に向けて、40%上昇を超えると見ている。中長期的には市場の一部はインフレ率は年末までに50%上昇、24年に24%上昇に緩和すると予想している。

 ちなみに、中銀が1月26日に発表した最新の四半期インフレ報告書では23年末時点の見通しは22.3%上昇、24年末時点は8.8%上昇、25年末時点は5%上昇と、予想、3カ月前の前回予想(22年10月)を据え置いている。また、政府が22年9月に発表した新中期3カ年経済計画でも23年末時点は24.9%上昇、24年末時点は13.8%上昇、25年末時点は9.9%上昇を予想している。

 3月CPIは前月比が2.29%上昇と、2月の3.15%上昇から伸びが2カ月連続で減速、これも市場予想(2.85%上昇)を下回った。(2)へつづく

<関連銘柄>
 上場MSエマ<1681>

提供:ウエルスアドバイザー社 
(イメージ写真提供:123RF)