2022-12-09
モーニングスターでは毎月、運用実績3年以上の国内公募追加型株式投信を対象にレーティングを付与している。2022年11月末時点でレーティング付与対象ファンドは4,564本と前月から11本増加した。このうち同月末時点における純資産残高が10億円以上、かつ前月とカテゴリーが同一のファンド(以下、同条件)は3,178本あり、その内訳はレーティング新規20本、上昇191本、変わらず2,794本、低下173本となった。以下、同条件でレーティングが5ツ星に上昇したファンド、及び同条件で運用開始から3年が経過してレーティングが初めて付与されたファンドの中から注目ファンドについて取り上げる。
レーティングが5ツ星に上昇したファンドは48本ある。今回は野村アセットマネジメントの「アジア好配当株投信」に注目したい。モーニングスターレーティングは前月の4ツ星から上昇し、2020年4月以来31カ月ぶりに5ツ星を獲得した。
同ファンドは、日本を除くアジア諸国・地域の企業の株式を実質的な主要投資対象とする。銘柄選択に際しては、配当利回りが市場平均を上回る銘柄を中心に、配当の安定性や成長性、企業業績などのファンダメンタルズ、株価の割安性などを評価・分析する。
2022年10月末時点のポートフォリオを見ると、組入銘柄数は83銘柄で配当利回りは5.3%。国・地域別配分は台湾22.7%、中国15.7%、シンガポール14.3%、組入銘柄上位はシンガポールの金融サービス大手『DBSグループ・ホールディングス』(組入比率6.0%)、台湾の半導体受託生産世界最大手『台湾セミコンダクター』(同5.6%)、中国の国有銀行大手『中国建設銀行』(同5.2%)となっている。
2022年11月末時点の過去10年間のトータルリターン(年率)は9.02%とモーニングスターカテゴリー「国際株式・エマージング・複数国(為替ヘッジなし)」平均を2.78%上回り、カテゴリー内上位14%(79本中11位)となっている。
(図表)「アジア好配当株投信」のレーティングの推移
※期間:2010年7月~2022年11月
出所:モーニングスター作成
2022年11月末時点で初めてレーティングが付与された20ファンドに5ツ星を獲得したファンドはなかった。今回は4ツ星を獲得したアセットマネジメントOneの「One 高配当利回り厳選ジャパン」を取り上げたい。
同ファンドは実質的に、「配当利回り」と「長期にわたる配当の持続性・成長性」に着目して厳選した国内企業20~40社程度の株式に投資する。前期末(2022年3月15日)時点の組入銘柄数は37銘柄。
2022年11月末時点の過去3年間のトータルリターン(年率)は9.28%とカテゴリー「国内大型ブレンド」平均を0.67%上回り、カテゴリー内上位25%(303本中75位)となっている。
ウエルスアドバイザーでは、3年以上の運用実績を有するファンド(注1)に対して、定量データに基づき5段階のファンドレーティングを付与している。具体的には、あるファンドが同じカテゴリー(「国内大型ブレンド」など)に属するファンド群と比較して、運用効率(シャープレシオ:注2)が高ければ星の数が多くなる仕組みで、最上位は5ツ星である。レーティングは、直近3年間、5年間、10年間のほか、それらのより長期のレーティングが重視されるよう加重平均した「総合」を公表している。
注1:国内公募追加型株式投信(確定拠出年金向けファンド及びラップ口座専用ファンド、ETF等を含む)が対象。
注2:リスク調整後のリターンを計る指標。2つのファンドが同じリターンであれば、リスク(リターンのブレ幅)が小さい方がシャープレシオの値が高くなる。同様に、同じリスク(〃)であれば、リターンが高い方がシャープレシオの値が高くなる。厳密には、弊社が独自に算出する「カテゴリー内リターン」と「カテゴリー内リスク」によってリスク調整後のリターンのスコアを測定し、レーティングを付与している。