インバウンド（訪日外国人観光客）関連銘柄の再評価機運が強まりそうだ。円安や海外での日本ブームを背景に、ＧＷ（ゴールデンウイーク）は日本各地の観光地が込み合った。１５日には４月の訪日外客数の発表も控え、百貨店株などに注目が集まる。

＜訪日客１−３月消費は前年比１．７倍に＞

　航空大手のＧＷ期間（４月２７日−５月６日）の国際線旅客数は、ＡＮＡホールディングス<9202.T>が前年同期比で１５％、日本航空（ＪＡＬ）<9201.T>が同１０％増加した。また、格安航空会社ピーチ・アビエーションは、関西国際空港発着の国際線旅客数が同７８％伸びたという。

　日本各地でインバウンド効果が顕在化しており、長崎県ではＧＷ中に県内の主要観光施設を訪れた人の数が前年の１．４倍の約３９万人に拡大した。東京も浅草などに人があふれた。

　円安も相まって、日本旅行中の消費額は急拡大している。観光庁が発表した調査によると、１−３月の訪日客の消費額は前年同期比７３％増の１兆７５０５億円となった。コロナ禍前の２０１９年１−３月比でも、１．５倍になっている。こうしたことの恩恵を受けやすいのが百貨店だ。

＜松屋有力、地方企業もマーク＞

　中でも銀座と浅草に店舗を持つ松屋<8237.T>には追い風が強まりやすい。実際、直近４月の売上高は前年同月比で３２％伸び、このうち訪日客消費を示す免税売上が、銀座店では全体の５割を超えた。

　同社は今２月期の連結営業利益予想を前期比１６％減の２５億円としている。前期に業績が大きく伸びた反動も想定し、慎重な見通しとなっているものの、上ブレの余力は十分に残されている。

　三越伊勢丹ホールディングス<3099.T>やＪ．フロント　リテイリング<3086.T>、高島屋<8233.T>、エイチ・ツー・オー　リテイリング（Ｈ２Ｏリテイ）<8242.T>といった大手に加え、地場色の強い大和<8247.T>や井筒屋<8260.T>、さいか屋<8254.T>もマークしたい。

　このほか、インバウンド関連では菓子大手の寿スピリッツ<2222.T>やＨＡＮＡＴＯＵＲ　ＪＡＰＡＮ（ＨＡＮＡＴＪ）<6561.T>、コメ兵ホールディングス<2780.T>、ビジョン<9416.T>、ｔｒｉｐｌａ<5136.T>、インバウンドプラットフォーム（インバプラト）<5587.T>などを押さえておきたい。

提供：ウエルスアドバイザー社

　ビジョン<9416.T>が急伸し、一時８５円高の１２８５円を付けている。２１日引け後、米ニューヨークに子会社を設立することを決議したと発表、材料視された。

　同社では、世界の旅行需要が回復するなか、「グローバルＷｉＦｉ」と「Ｗｏｒｌｄ　ｅＳＩＭ」の世界販売の好機と捉え、「第３ステージ：グローバル（海外から海外）展開」を加速させるため、ニューヨークに子会社を設立することを決めた。

　同時に、４月１９日付で自己株４１万株（消却前発行済み株式数の０．８１％）を消却することも明らかにしている。

　午前１０時２６分時点の株価は、前日比５９円高の１２５９円。

提供：ウエルスアドバイザー社

▽ビジョン<9416.T>、世界の旅行需要が回復するなか米ニューヨークに子会社を設立

▽西鉄<9031.T>、２４年３月期の連結純利益予想を上方修正、期末に記念配当５円を実施し普通配当１７．５円と合わせ２２．５円（前期は普通配当２０円）に

▽不二ラテ<5199.T>、２４年３月期の連結業績予想を引き下げ

▽ヤマザキ<6147.T>、２４年３月期の連結業績予想を下方修正、期末配当予想を従来の１５円から１０円（前期実績１０円）に引き下げ

▽ケアネット<2150.T>、ＭＩＪヘルスケア１号投資事業有限責任組合との資本提携契約解消

▽プレミアムＷ<2588.T>、ＤＲＥＡＭＢＥＥＲの転換社債型新株予約権付社債の第三者割当追加引受

▽じげん<3679.T>、連結子会社によるテイチャクの株式取得（完全子会社化）

▽ジーダット<3841.T>、配当予想の修正

▽ＳＹＳＨＤ<3988.T>、株式会社マリオンの株式取得（子会社化）

▽サンテック<1960.T>、自己株式の消却

▽クニミネ<5388.T>、自己株買い

▽メタリアル<6182.T>、連結子会社ＭＡＴＲＩＸがデジタルツインを自動生成するＡＩを活用した受託開発ソリューション提供開始

▽リンテック<7966.T>、新中期経営計画「ＬＳＶ２０３０−Ｓｔａｇｅ２」策定

▽第一商品<8746.T>、株主優待実施

▽売れるネット<9235.T>、新たな事業（ＣＲＭ事業）開始

▽ＩＮＦＯＲＩ<9338.T>、Ｅｚｙｃｈａｒｇｅ　Ａｕｓｔｒａｌａｓｉａ　Ｐｔｙ　Ｌｔｄの株式取得

▽イノテック<9880.T>、新中期計画策定

▽主な決算発表＝ツルハＨＤ<3391.T>

▽主な業績予想の修正＝エスクロＡＪ<6093.T>、神奈中交<9081.T>、ＪＡＬ<9201.T>、邦ガス<9533.T>

▽主な月次発表＝ソラスト<6197.T>、アドクリ<8798.T>

提供：ウエルスアドバイザー社

　ビジョン<9416.T>は６日、ＴＨＩＳＩＳ（東京都世田谷区）と、業務提携することで合意したと発表した。

　ＴＨＩＳＩＳは、ＷｅｂＲＴＣの技術によりインターネット回線上でＰ２Ｐの音声通話およびチャットが使用できる「ＴＨＩＳＩＳ」サービスを提供する。同社では、今回の提携により、同社が手がける各事業におけるサービスの拡張および拡充に多様な親和性を発揮し、顧客の利便性を高めることができるとしている。

　６日終値は、前日比１０円安の１１４２円。

提供：ウエルスアドバイザー社