コンテナ船のスポット運賃が上昇している。中国発のＳＣＦＩは足元で、欧州向けが３カ月半ぶりの水準を回復。堅調な荷動きを背景に北米向けも上向いている。海運株への注目度が高まりそうだ。

＜空コンテナ不足や港湾混雑＞

　コンテナ船運賃はコロナ禍の物流混乱で２０２１年に大きなピークを付けたが、その後は正常化している。海運各社の連結経常利益も、特需で膨らんだ２０２２年３月期と２３年３月期に対し、前期は反動で大きく落ち込んだ。

　ただ、日本海事センターによれば、アジア発のコンテナ荷動き量は米国向けが今年１−３月で前年同期比２３％増、欧州向けが１−２月で同１１％増と好調だ。直近では「アジア方面の空コンテナ不足や、港湾混雑が市況を押し上げている」（業界関係者）。

　ＳＣＦＩは５月１０日時点で欧州向け（２０フィートコンテナ当たり）が１月以来の高値の２８６９ドル、北米向け（４０フィートコンテナ当たり）が西海岸で４３９３ドル、東海岸で５５６２ドルとそれぞれ２月以来、３月以来の水準に値上がりした。１月からの平均は各２４２２ドル、３９２９ドル、５３１６ドルとなっており、いずれも昨年１年の平均の２倍以上の水準となっている。

＜今期計画は慎重＞

　海運大手３社の日本郵船<9101.T>、商船三井<9104.T>、川崎汽船<9107.T>は今３月期、コンテナ船部門の利益を前期比で小幅な拡大か減益と予想している。このため、市況が今後も堅調に推移した場合は業績が計画を上ブレする要因になる。

　もっとも、コンテナ船は新造船の大量しゅん工期に入っており、中期的には海上輸送の需給が緩む可能性もある。

　世界の新造船の昨年のしゅん工量は、船腹ベースで過去最高の２２５万ＴＥＵ（２０フィートコンテナ換算）となり、２２年（１０１万ＴＥＵ）の２倍超に拡大した。その勢いは一段と強まり、今年は３月までに７３万ＴＥＵがしゅん工。計画では年間２５０万ＴＥＵに達する見通しだ。この水準は１０年代までのピークである１５年（１６８万ＴＥＵ）の約１．５倍に相当する。

提供：ウエルスアドバイザー社

　中国発コンテナ船運賃のスポットレート「ＳＣＦＩ」が１０日、４月２６日比約１９％高の２３０５．７９ポイントに上昇した。航路別は欧州向け（２０フィートコンテナ当たり）が１月以来の高値の２８６９ドル（同２５％高）、北米向け（４０フィートコンテナ当たり）が西海岸で４３９３ドル（同２２％高）、東海岸で５５６２ドル（同１９％高）とそれぞれ２月以来、３月以来の水準に値上がりした。郵船<9101.T>、商船三井<9104.T>、川崎汽<9107.T>には追い風か。

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　ＳＢＩ証券は２日付で、商船三井<9104.T>の投資判断「買い」を継続した。目標株価は４５７０円から５４５０円に引き上げた。

　同証券では、コンテナ運賃が中東情勢の緊迫化による航路変更で回復傾向にあることや、損益の上ブレにより投資余力が拡大していることなどに注目している。

　午後１時７分時点の株価は、前日比１１３円高の４７７３円。

提供：ウエルスアドバイザー社

　５月１日午前１１時すぎの日経平均株価は、前日比２７０円程度安い３万８１３５円前後で推移する。朝方から売りが先行。午前１０時２０分には、同３６９円４２銭安の３万８０３６円２４銭を付けた。その後は、やや下げ渋る動きにあるもよう。ドル・円相場は１ドル＝１５７円８０銭前後で、朝方の水準からもみ合いが続いている。

　日経平均採用銘柄では、値下がり率上位には、日揮ＨＤ<1963.T>、東武<9001.T>、商船三井<9104.T>、川崎汽<9107.T>、東電力ＨＤ<9501.T>がランクイン。値上がり率の上位に、レーザーテク<6920.T>、ＪＲ西日本<9021.T>、東ガス<9531.T>、資生堂<4911.T>、アドバンテス<6857.T>が入っている。

提供：ウエルスアドバイザー社

▽Ｔ＆ＤＨＤ<8795.T>、２４年３月期の連結業績予想を上方修正

▽ＫＩＭＯＴＯ<7908.T>、２５年３月期の連結業績は大幅な増益を計画

▽稀元素<4082.T>、２４年３月期の連結業績予想を下方修正

▽関西電<9503.T>、２５年３月期の連結業績は大幅な減益を予想

▽住友林<1911.T>、２４年１２月期第１四半期の連結業績は増収増益

▽日電硝子<5214.T>、２４年１２月期第１四半期の連結業績は増収増益

▽グローバルＫ<6189.T>、２４年９月期第２四半期累計の連結業績は大幅増益

▽手間いらず<2477.T>、２４年６月期第３四半期累計の単体業績は２ケタ増収増益

▽中村屋<2204.T>、２４年３月期の連結業績予想および配当予想を上方修正

▽アルフレッサ<2784.T>、２４年３月期の連結利益予想および配当予想を上方修正

▽岩塚製菓<2221.T>、２４年３月期の連結業績予想を上方修正

▽はごろも<2831.T>、２４年３月期の連結業績予想を上方修正

▽日本郵政<6178.T>、２４年３月期の連結業績予想を上方修正

▽ＡＩＡＩ<6557.T>、２４年３月期の連結業績予想を上方修正

▽山形銀<8344.T>、２４年３月期の連結業績予想を上方修正

▽ヨンキュウ<9955.T>、２４年３月期の連結業績予想を上方修正

▽スズケン<9987.T>、２４年３月期の連結業績予想を上方修正

▽横浜丸魚<8045.T>、２４年３月期の連結利益予想を上方修正

▽ＺＯＺＯ<3092.T>、２５年３月期は増収増益に連続増配を予想

▽上記以外の主な業績予想の修正＝ヤマシナ<5955.T>、エノモト<6928.T>、共同印<7914.T>、トーイン<7923.T>、クリナップ<7955.T>、ビジコーチ<9562.T>など

▽主な決算発表＝ＪＰＸ<8697.T>、ＪＲ東日本<9020.T>、ＪＲ東海<9022.T>、商船三井<9104.T>、東電力ＨＤ<9501.T>など

▽自社株消却＝ＣＴＳ<4345.T>、トランスコス<9715.T>

▽自社株取得＝牧野フ<6135.T>、ＪＲ西日本<9021.T>

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