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2024-02-26 16:00:00.0
2024-02-26 16:00:00.0
インバウンド(訪日外国人観光客)需要が、都市部から地方に広がっている。日本観光のリピーターも増えており、従来は外国人があまり訪れなかった地域の経済が活性化している。株式市場でも「ご当地銘柄」が注目を集めそうだ。
<体験型人気、山形や和歌山で決済額増>
日本政府観光局(JNTO)が21日に発表した1月の訪日外客数は、2019年同月とほぼ同水準の269万人となった。戻りの鈍い訪日中国人を除くと、同18%増の227万人に拡大している。
そうした中で、外国人の目的地は都心中心だった従来の傾向から、地方分散型に変わりつつある。三井住友カードが集計した訪日客のクレジットカード決済データ(23年)によれば、山形県や和歌山県、高知県などでコロナ禍前の19年と比較して決済額が大幅に増えた。半面、観光地の三重県や大阪府、愛知県では決済額が減少した。
訪日客が急増した地域に共通しているのは、コロナ禍前のインバウンドの流入が相対的に少なかったことだ。山形の訪問率(国内全体に占める訪問者数の割合)は19年に0.4%ほどで、和歌山(同1.1%)、高知(同0.2%)も「訪日客が少ない県」だった。
外国人の観光目的が「モノ消費」から体験型の「コト消費」にシフトしたことに伴い、地方文化や伝統行事などを味わう「ローカル体験」が人気化。繰り返し日本を訪れる人ほど、そうした傾向が強いもようだ。
旅行代理店もこうしたトレンドに目を付け、地方での体験ツアーを増やしている。米ニューヨーク・タイムズ(電子版)は昨年、世界の名所を紹介する「行くべき52カ所」の1つに岩手県盛岡市を選んだ。
特定の観光地に人が密集するオーバーツーリズム(過剰観光)を回避するためにも、インバウンドの分散は好都合だ。政府や自治体のアピールも強化されるとみられ、地方観光は一段の盛り上がりが期待される。
<日東ベストやKG情報など>
過去に訪日客が比較的少なかった東北地方では、山形で食料品を展開する日東ベスト<2877.T>や、岩手地盤のドラッグストアの薬王堂ホールディングス<7679.T>、東北や北海道に店舗網があるスーパーのアークス<9948.T>などをマークしたい。
能登半島地震の被害を受けた北陸地方では、外国人も対象になる復興支援の「北陸応援割」の効果が期待される。百貨店の大和<8247.T>や、福島印刷<7870.T>などが恩恵を受けそうだ。
また、四国関連では求人情報や生活情報メディアのKG情報<2408.T>や、観光施設を運営するありがとうサービス(ありがとうS)<3177.T>、和歌山は不動産会社のアズマハウス<3293.T>が浮上する。
このほか、土産物の菓子で寿スピリッツ<2222.T>、観光支援のブランジスタ<6176.T>もマークしておきたい。
提供:ウエルスアドバイザー社