子ども家庭庁が昨年４月の創設から１年を経過した。出産や育児支援で実績を積み重ねる一方、加速する少子化は深刻さの度合いが増している。出生率向上に向けた追加策は待ったなしの中で、改めて関連株に注目が集まる。

＜保育園運営、ＪＰＨＤに注目＞

　厚生労働省が２月に発表した２０２３年の出生数（速報値）は前年比５．１％減の７５．９万人と８０万人を大きく割り込んだ。過去最少を更新し、政府の想定より速いペースで少子化が進んでいる。

　子ども政策の一元化を目的に発足した同庁は、岸田首相が昨年打ち出した「異次元の少子化対策」を受け、児童手当の拡充などを盛り込んだ関連法案を提出。国会で議論されている。

　日本の出生率（合計特殊出生率）は２２年に１．２６まで低下し、人口を維持するために必要とされる水準（２．０〜２．１程度）を既に大きく下回っている。隣国の韓国が０．７２（２３年）と国の消滅の危機ともいえるレベルまで低下しているだけに、政府はより踏み込んだ手を打つ必要がある。

　子育てや出産支援で商機が広がる企業として、保育園や学童クラブ運営の大手ＪＰホールディングス<2749.T>に注目したい。４月には２５施設を新たに開設し、運営施設数は３２０に増えた。

　前２４年３月期の連結営業利益の見込みは４３．６億円（前々期比１９％増、２月に上方修正）で、今期も良好な事業環境の中で成長が期待される。株価は直近で約１１年ぶりの高値に相当する５７８円を付けたが、好業績とテーマ性から８００円に迫る１３年高値（７８８円）も視野に入る。

＜セルソースやＳＥＲＩＯＨなども＞

　保育施設運営ではグローバルキッズＣＯＭＰＡＮＹ（グローバルＫ）<6189.T>やＡＩＡＩグループ<6557.T>、Ｋｉｄｓ　Ｓｍｉｌｅ　Ｈｏｌｄｉｎｇｓ（キッズスマイ）<7084.T>も有力。保育園などへの人材派遣でライク<2462.T>、ママ向け情報サイトを運営するインタースペース（Ｉスペース）<2122.T>などもマークしておきたい。

　妊活関連株も見逃せない。卵子凍結に絡んでセルソース<4880.T>や三菱製紙<3864.T>、日本トリム<6788.T>などが浮上する。このほか、マッチングのタメニー<6181.T>や幼児体育指導の幼児活動研究会<2152.T>などが挙げられる。

提供：ウエルスアドバイザー社

　自治体や企業による卵子凍結への支援が、市場規模の拡大につながりそうだ。東京都が設けた助成への申請には想定を大きく上回る申し込みがあり、企業の間でも福利厚生に導入する動きがみられる。卵子の管理サービスを手掛けるセルソース<4880.T>が急伸するなど、マーケットの関心も高まっている。

＜企業も福利厚生に＞

　卵子凍結は、将来の妊娠などに備えて卵子を事前に採取し、超低温の液体窒素の中で凍結、希望する出産のタイミングまで保存する仕組み。卵子は年齢を重ねることで質が低下し、妊娠しにくくなるため、若いうちに卵子を確保して高齢出産のリスクを下げる。

　一方、保険が効かないため、費用が６０万−８０万円程度と高額になる点が大きなネックだった。東京都が最大３０万円の助成に踏み切ったのは、より多くの人の卵子凍結利用を促し、少子化軽減を図るため。申請者は今月上旬時点で当初想定の９倍超に相当する２８５５人に達した。説明会への応募者は４日時点で９１０６人に上る。

　山梨県や神奈川県も同様の支援に動く。また、民間でもメルカリ<4385.T>、サイバーエージェント<4751.T>、パナソニック　ホールディングス<6752.T>傘下のパナソニックコネクトなどが相次いで福利厚生に加えた。

＜セルソース急騰、日本トリム注目＞

　セルソースは、卵子の長期保管を受託する「卵子凍結あんしんバンク」への引き合いが増えている。直近では伊藤忠商事<8001.T>、ホットヨガスタジオのＬＩＦＥ　ＣＲＥＡＴＥ（北海道札幌市）の福利厚生サービスに選定されたことを相次いで発表。株価は１２日に前日比１７．４％高の１６５０円まで買われ、３カ月ぶりの高値を付けた。

　このほか、三菱製紙<3864.T>は、体外受精時の胚（はい）・卵子の凍結保存用デバイスを展開する。卵子保管サービスを手掛けるステムセル研究所<7096.T>、保存器具を手掛けるニプロ<8086.T>なども押さえておきたい。

　狙い目は日本トリム<6788.T>。同社は傘下にステムセル研を擁し、卵子凍結保管サービスを行うグレイスグループ（東京都渋谷区）とも資本提携している。本業の整水器についても、家庭用のほか、スポーツや美容分野の開拓や消耗品のカートリッジの値上げを進め、業績が上り調子だ。

提供：ウエルスアドバイザー社

◎野村証券（３段階・Ｂｕｙ＞ニュートラル＞リデュース）

　セルソース<4880.T>――「Ｂｕｙ」→「Ｂｕｙ」、２０００円→１８００円

　ベルク<9974.T>――「Ｂｕｙ」→「Ｂｕｙ」、８２００円→８７００円

　古河電工<5801.T>――「ニュートラル」→「ニュートラル」、２６５０円→３３００円

　豊田合成<7282.T>――「ニュートラル」→「ニュートラル」、３０００円→３５００円

◎大和証券（５段階・１＞２＞３＞４＞５）

　特殊陶<5334.T>――「３」→「３」、２８００円→４９００円

　イオン<8267.T>――「４」→「４」、２３００円→２５００円

◎ＳＭＢＣ日興証券（３段階・１＞２＞３）

　三住トラスト<8309.T>――「１」→「１」、３０００円→３４００円

　パーソルＨＤ<2181.T>――「２」→「２」、２８０円→２４０円

　日本郵政<6178.T>――「２」→「２」、１１００円→１５００円

　アンリツ<6754.T>――「２」→「２」、９１０円→９３０円

　ゆうちょ銀行<7182.T>――「２」→「２」、１０００円→１５００円

提供：ウエルスアドバイザー社

▽リプロセル<4978.T>、出資先である台湾のＳｔｅｍｉｎｅｎｔ　Ｂｉｏｔｈｅｒａｐｅｕｔｉｃｓが、台湾Ｅｍｅｒｇｉｎｇ　Ｓｔｏｃｋ　Ｂｏａｒｄに上場

▽ＦＦＪ<7092.T>、２４年３月期の連結業績予想を上方修正、期末配当予想を従来の１５円から３０円（前期実績１５円）に増額

▽ミロク<7983.T>、２４年１０月期第１四半期（２３年１１月−２４年１月）の連結決算は大幅な減益

▽チエル<3933.T>、２４年３月期の連結純利益予想を下方修正、期末一括配当は５円から７円（前期実績５円）に増額

▽フィット<1436.T>、２４年４月期第３四半期累計（２３年５月−２４年１月）の連結決算は大幅な減益

▽勤次郎<4013.T>、中期経営計画を策定、１対２の株式分割も発表

▽佐藤食品<2814.T>、投資有価証券売却益により特別利益を計上

▽Ｖコマース<2491.T>、自己株式の取得を発表。その取得方法として自己株式の公開買付けを行う

▽ファーマＦ<2929.T>、２４年７月期の業績利益予想を下方修正

▽パンパシＩ<7532.T>、２月の既存店売上は前年同月比９．３％増。うるう日による営業日１日増と休日１日増が寄与した。外出需要を捉えコスメやスキンケアなどが好調

▽ＧＥＮＤＡ<9166.T>、特別損失（減損損失）を計上

▽ハウテレビ<7064.T>、エンジニア採用代行サービスのログリオ（東京・世田谷区）の株式を取得し子会社化

▽トーホー<8142.T>、中期経営計画を策定。また、食品スーパー事業の事業譲渡等に関する損失見積額の計上や減損損失を計上

▽フィット<1436.T>、２４年４月期第３四半期累計（２３年５月〜２４年１月）の連結営業利益は２．４億円（前年同期比３０．５％減）

▽リボミック<4591.T>、東京大学医科学研究所アジア感染症研究拠点と共同研究を進めていたＡＩ（人工知能）を利用した新型コロナウイルスに対するアプタマー（合成ＤＮＡ／ＲＮＡ分子）創出について、研究成果を専門学術誌（電子版）に掲載。共同研究の終了を発表

▽主な業績予想・配当予想の修正＝コンコルディ<7186.T>、イチネンＨＤ<9619.T>、アスカネット<2438.T>

▽主な決算発表＝ＧＡＴＥＣＨ<3491.T>、ＳＹＳＨＤ<3988.T>、セルソース<4880.T>、浜木綿<7682.T>、萩原工業<7856.T>、学情<2301.T>

▽主な自社株買い方針の策定＝ドリームＢ<7791.T>、ヤマト<1967.T>

▽主な月次動向の発表＝タマホーム<1419.T>、ジーフット<2686.T>、ランドネット<2991.T>、ＭＲＯ<3064.T>、きずなＨＤ<7086.T>、物語コーポ<3097.T>、大光<3160.T>、ＮＳＤ<9759.T>、ＶＥＧＡ<3542.T>、ＴＳＩＨＤ<3608.T>

提供：ウエルスアドバイザー社

▽勤次郎<4013.T>、中期経営計画を策定、１対２の株式分割も発表。

▽佐藤食品<2814.T>、投資有価証券売却益により特別利益を計上する。

▽Ｖコマース<2491.T>、自己株式の取得を発表。その取得方法として自己株式の公開買付けを行うと開示。

▽ファーマＦ<2929.T>、２４年７月期の業績利益予想を下方修正。

▽パンパシＩ<7532.T>、２月の既存店売上は前年同月比９．３％増。うるう日による営業日１日増と休日１日増が寄与した。外出需要を捉えコスメやスキンケアなどが好調。

▽ＧＥＮＤＡ<9166.T>、特別損失（減損損失）を計上すると発表。

▽ハウテレビ<7064.T>、エンジニア採用代行サービスのログリオ（東京・世田谷区）の株式を取得し、子会社化する。

▽トーホー<8142.T>、中期経営計画を策定。また、食品スーパー事業の事業譲渡等に関する損失見積額の計上や減損損失の計上を発表。

▽フィット<1436.T>、２４年４月期第３四半期累計（２３年５月〜２４年１月）の連結営業利益は２．４億円（前年同期比３０．５％減）

▽リボミック<4591.T>、東京大学医科学研究所アジア感染症研究拠点と共同研究を進めていたＡＩ（人工知能）を利用した新型コロナウイルスに対するアプタマー（合成ＤＮＡ／ＲＮＡ分子）創出について、研究成果を専門学術誌（電子版）に掲載。共同研究の終了を発表。

■主な業績予想・配当予想の修正＝コンコルディ<7186.T>、イチネンＨＤ<9619.T>、アスカネット<2438.T>

■主な決算発表＝ＧＡＴＥＣＨ<3491.T>、ＳＹＳＨＤ<3988.T>、セルソース<4880.T>、浜木綿<7682.T>、萩原工業<7856.T>、学情<2301.T>

■主な自社株買い方針の策定＝ドリームＢ<7791.T>、ヤマト<1967.T>

■主な月次動向の発表＝タマホーム<1419.T>、ジーフット<2686.T>、ランドネット<2991.T>、ＭＲＯ<3064.T>、きずなＨＤ<7086.T>、物語コーポ<3097.T>、大光<3160.T>、ＮＳＤ<9759.T>、ＶＥＧＡ<3542.T>、ＴＳＩＨＤ<3608.T>


＊午後３時１５分時点

提供：ウエルスアドバイザー社