掲載期間:2024年1月17日~2024年3月12日
2024年からいよいよ新NISAがスタートした。年間最大で積立投資枠120万円、成長投資枠240万円、合計360万円の投資で得られた利益が非課税となる。一般口座で株式や投資信託で利益が出た場合にかかる税金は20.315%。仮に100万円の利益が出たとしたら、20万円以上を税金で支払う必要があり、非常に大きな差が出る。
そんな新NISAでは、特に対象商品が多い成長投資枠でどの商品に投資すれば良いのか、迷う人が多いはずだ。
そこで、ウエルスアドバイザーでは、日本株の23年を振り返り、24年も注目されるであろう銘柄を考えてみた。
まず、23年の日本株式は全体的に好調で、日経平均株価は年間で28%超、TOPIXは25%超それぞれ上昇した。良好な環境の中で、2023年の日本株の個別の騰落率トップ30(時価総額は1,500億円以上)をピックアップした。
図表1:23年の日本株式市場の株価騰落率上位30(時価総額1,500億円以上)
銘柄コード | 漢字略称 | 市場名 | 上場部名 | 東証業種名 | 時価総額(億円、11日時点) | 23年騰落率 | |
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1 | 6315 | TOWA | 東証 | プライム | 機械 | 1,736 | 321.9% |
2 | 6254 | 野村マイクロ・サイエンス | 東証 | プライム | 機械 | 1,631 | 263.7% |
3 | 5406 | 神戸製鋼所 | 東証 | プライム | 鉄鋼 | 7,673 | 184.2% |
4 | 7735 | SCREENホールディングス | 東証 | プライム | 電気機器 | 12,043 | 182.0% |
5 | 6146 | ディスコ | 東証 | プライム | 機械 | 37,990 | 178.0% |
6 | 4046 | 大阪ソーダ | 東証 | プライム | 化学 | 2,475 | 152.7% |
7 | 3110 | 日東紡 | 東証 | プライム | ガラス・土石製品 | 1,924 | 141.0% |
8 | 3132 | マクニカホールディングス | 東証 | プライム | 卸売業 | 4,677 | 136.5% |
9 | 2760 | 東京エレクトロン デバイス | 東証 | プライム | 卸売業 | 1,858 | 128.5% |
10 | 6857 | アドバンテスト | 東証 | プライム | 電気機器 | 38,123 | 126.3% |
11 | 7550 | ゼンショーホールディングス | 東証 | プライム | 小売業 | 11,625 | 123.2% |
12 | 6526 | ソシオネクスト | 東証 | プライム | 電気機器 | 4,982 | 120.7% |
13 | 9107 | 川崎汽船 | 東証 | プライム | 海運業 | 15,236 | 117.1% |
14 | 6723 | ルネサスエレクトロニクス | 東証 | プライム | 電気機器 | 46,925 | 115.4% |
15 | 9552 | M&A総研ホールディングス | 東証 | プライム | サービス業 | 2,621 | 114.1% |
16 | 6323 | ローツェ | 東証 | プライム | 機械 | 2,577 | 111.8% |
17 | 2212 | 山崎製パン | 東証 | プライム | 食料品 | 7,593 | 104.3% |
18 | 7729 | 東京精密 | 東証 | プライム | 精密機器 | 3,806 | 103.1% |
19 | 7911 | TOPPANホールディングス | 東証 | プライム | その他製品 | 13,138 | 101.4% |
20 | 3097 | 物語コーポレーション | 東証 | プライム | 小売業 | 1,745 | 101.4% |
21 | 6368 | オルガノ | 東証 | プライム | 機械 | 2,726 | 99.9% |
22 | 4091 | 日本酸素ホールディングス | 東証 | プライム | 化学 | 16,592 | 97.1% |
23 | 2726 | パルグループホールディングス | 東証 | プライム | 小売業 | 2,139 | 96.4% |
24 | 9401 | TBSホールディングス | 東証 | プライム | 情報・通信業 | 5,336 | 95.8% |
25 | 8035 | 東京エレクトロン | 東証 | プライム | 電気機器 | 119,724 | 94.9% |
26 | 6036 | KeePer技研 | 東証 | プライム | サービス業 | 1,872 | 94.7% |
27 | 6856 | 堀場製作所 | 東証 | プライム | 電気機器 | 4,736 | 92.5% |
28 | 2928 | RIZAPグループ | 札証 | アンビシャス | 小売業 | 1,658 | 90.0% |
29 | 2501 | サッポロホールディングス | 東証 | プライム | 食料品 | 5,243 | 89.6% |
30 | 4203 | 住友ベークライト | 東証 | プライム | 化学 | 3,500 | 89.1% |
出所:ウエルスアドバイザー作成
・時価総額は1月11日時点
・騰落率は22年12月末~23年12月末
23年もっとも株価が上昇したのはTOWA<6315>だった。その上昇率は321.9%。つまり株価は1年で4倍以上になった計算だ。
同社はいわゆる半導体関連銘柄。集積回路を機能ごとに複数のチップに分割し、それぞれを最適なプロセスで製造して最終的に組み合わせる「チップレット」に絡むモールディング(樹脂によって半導体と外部を電気的に絶縁して封止する)装置で世界最大手の企業だ。2位の野村マイクロ・サイエンス<6254>は上昇率が263.7%と約3.6倍。半導体向け水処理事業が好調だ
騰落率トップ30を見てみると、いわゆる半導体関連銘柄は半分以上を占める。まさに23年は「半導体相場」だった。
半導体関連以外の銘柄をみてみると、3位に神戸製鋼所<5406>、18位にTOPPANホールディングス<7911>などがランクインしている。それぞれ上昇率は、184.2%と101.4%だ。これら企業は東証が進めた上場企業への資本効率改善への取り組みの要請に応じて株主還元を強化した企業だ。
11位のゼンショーホールディングス<7550>は、牛丼の「すき家」を展開する飲食関連。上昇率は123.2%だ。値上げや高単価メニューの投入を背景に、業績を伸ばした。飲食関連では、20位に焼肉やラーメンチェーンを展開する物語コーポレーション<3097>も上昇率101.4%でランクインしている。
その中で異彩を放つのが、28位のRIZAP(ライザップ)グループ<5406>だ。日本全国にコンビニジム「chocoZAP(チョコザップ)」を展開、22年7月のブランド開始からわずか1年でフィットネス会員数が日本で初めて100万人を突破するなど急激な成長を見せている。
図表2:chocoZAP会員数の推移
業績面で見ると、「chocoZAP」事業への先行投資の影響で23年3月期の連結業績は赤字。ランキングトップ30の中で唯一の赤字企業だ。もっとも、この「chocoZAP」事業はいわゆるサブスクモデルのため、黒字化の時期は見えているという。今後の成長が見込まれていることから、株式市場での評価が高まっている可能性がある。同社の24年3月期第2四半期累計(23年4-9月)の連結業績は、売上高が前年同期比の5.3%増の810億円、営業損益は58億円の赤字(前年同期は2.3億円の黒字)と、「chocoZAP」の本格的な収益貢献はこれからの状況。23年に株価は大幅に上昇したが、「chocoZAP」事業の収益が本格的に表面化する前が仕込み時かもしれない。
図表3:RIZAPグループの連結業績の推移
売上高 (百万円) |
前年比 (%) |
営業利益 (百万円) |
前年比 (%) |
税引前利益 (百万円) |
前年比 (%) |
親会社の所有者に帰属する当期利益 (百万円) |
前年比 (%) |
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22年3月期 | 実績 | 160,963 | -4.5 | 5,816 | - | 4,190 | - | 2,131 | 32.5 |
23年3月期 | 実績 | 160,519 | -0.3 | -4,505 | - | -6,641 | - | -12,733 | - |
24年3月期 | 会社予想 | 172,000 | 7.1 | -4,500 | - | -6,200 | - | -9,000 | - |
出所:RIZAPグループの決算資料からウエルスアドバイザー作成
24年は日経平均株価が3万6,000円台に乗せ、バブル崩壊後の最高値を連日で更新するなど好調なスタートを切った。半導体、資本効率化のテーマに乗る銘柄や、「chocoZAP」が注目されるRIZAPから24年も目が離せない。新NISAにおける成長投資枠で、組み入れ候補として一考の余地がある。