2022-04-08
モーニングスターでは毎月、運用実績3年以上の国内公募追加型株式投信を対象にレーティングを付与している。2022年3月末時点でレーティング付与対象ファンドは4,578本あり、前月より9本増加した。このうち同月末時点における純資産残高が10億円以上、かつ前月とカテゴリーが同一のファンド(以下、同条件)は3,175本あり、その内訳はレーティング新規6本、上昇227本、変わらず2,703本、低下239本となった。以下、同条件でレーティングが5ツ星に上昇したファンド、及び運用開始から3年が経過したレーティング新規付与ファンドのうち5ツ星を獲得したファンドについて取り上げる。
レーティングが5ツ星に上昇したファンドは52本ある。今回は野村アセットマネジメントの「マイストーリー分配型(年6回)Bコース」に注目したい。モーニングスターレーティングは前月の4ツ星から上昇し、2014年9月以来90カ月ぶりの5ツ星となった。
同ファンドは、ファンドへの投資を通じて、実質的に国内外の株式及び海外の債券に投資する。株式への配分比率は概ね25%程度、ハイ・イールド債及び新興国債の投資比率は概ね30~45%程度とする。Bコースは為替ヘッジがなく、為替ヘッジ付きの「Aコース」もある。
2022年2月末時点のポートフォリオを見ると、国内株式16.0%、世界株式7.8%、米国・欧州・豪州債などの高格付債券37.6%、ハイ・イールド債と新興国債の高利回り債券37.6%となっている。2022年3月末時点の過去10年間のトータルリターン(年率)は7.04%とモーニングスターカテゴリー「安定」平均を3.90%上回り、カテゴリー38本中トップとなっている。
(図表)「マイストーリー分配型(年6回)Bコース」のレーティングの推移
※期間:2010年7月~2022年3月
出所:モーニングスター作成
新規にレーティングが付与された6ファンドに5ツ星を獲得したファンドはなかった。4ツ星は、インデックスファンドの「農林中金<パートナーズ>米国株式S&P500インデックスファンド」1本のみ。3ツ星は2本あるが、確定拠出年金専用、ファンドラップ専用、及びETFを除いた一般的な投資家が購入可能なファンドは「世界スタートアップ&イノベーション株式ファンド」のみであった。
「農林中金<パートナーズ>米国株式S&P500インデックスファンド」はS&P500指数(円換算ベース)に連動する投資成果を目指す。「世界スタートアップ&イノベーション株式ファンド」は、日本を含む世界のIPO(新規株式公開)後10年以内の中小型株式の中から、人々の生活を変革すると考えられる製品やサービスの提供を通じて高い成長が見込まれる企業の株式に投資する。
ウエルスアドバイザーでは、3年以上の運用実績を有するファンド(注1)に対して、定量データに基づき5段階のファンドレーティングを付与している。具体的には、あるファンドが同じカテゴリー(「国内大型ブレンド」など)に属するファンド群と比較して、運用効率(シャープレシオ:注2)が高ければ星の数が多くなる仕組みで、最上位は5ツ星である。レーティングは、直近3年間、5年間、10年間のほか、それらのより長期のレーティングが重視されるよう加重平均した「総合」を公表している。
注1:国内公募追加型株式投信(確定拠出年金向けファンド及びラップ口座専用ファンド、ETF等を含む)が対象。
注2:リスク調整後のリターンを計る指標。2つのファンドが同じリターンであれば、リスク(リターンのブレ幅)が小さい方がシャープレシオの値が高くなる。同様に、同じリスク(〃)であれば、リターンが高い方がシャープレシオの値が高くなる。厳密には、弊社が独自に算出する「カテゴリー内リターン」と「カテゴリー内リスク」によってリスク調整後のリターンのスコアを測定し、レーティングを付与している。