2024年は「辰」年、年間騰落率の平均は27.8%の上昇
2024年の干支は、「辰」年。相場格言では翌年の「巳」と合わせて「辰巳天井」と言われる。東京証券取引所が戦後に再開されて以降、「辰」年の日経平均株価の年間騰落率(大発会から大納会までの終値ベース)は27.8%の上昇で、十二支の平均上昇率の10.2%を大きく上回り、トップとなっている。(図表1)
図表1:干支別上昇率
(卯年は2023年を含まず)
辰 | 27.8% |
---|---|
子 | 22.8% |
卯 | 16.9% |
亥 | 16.6% |
酉 | 14.7% |
巳 | 12.4% |
申 | 7.9% |
未 | 7.2% |
戌 | 5.1% |
寅 | 0.4% |
午 | -4.5% |
丑 | -5.2% |
平均 | 10.2% |
出所:ウエルスアドバイザー作成
24年の「辰」年は、十干十二支で「甲辰(きのえたつ)」の年。東京証券取引所が戦後に再開されて以降、「辰」年の日経平均株価の年間騰落率は、1952年が2.2倍になったほか、前回「甲辰」だった1964年は1.0%の上昇、1976年は13.3%の上昇、1988年は42.1%の上昇、2000年は27.5%の下落、2012年は21.4%の上昇だった。相場の上昇を勝ち、下落を負けとする勝敗では5勝1敗と大幅な勝ち越しとなっている。(図表2)
図表2:辰年の騰落率
年 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 | 年間騰落率 | 勝ち負け |
---|---|---|---|---|---|---|
1952 | 167.8 | 370.55 | 167.8 | 362.64 | 116.1% | 〇 |
1964 | 1,204.40 | 1,369.00 | 1,202.69 | 1,216.55 | 1.0% | 〇 |
1976 | 4,403.06 | 4,990.85 | 4,403.06 | 4,990.85 | 13.3% | 〇 |
1988 | 21,217.04 | 30,159.00 | 21,217.04 | 30,159.00 | 42.1% | 〇 |
2000 | 19,002.86 | 20,833.21 | 13,423.21 | 13,785.69 | -27.5% | ● |
2012 | 8,560.11 | 10,395.18 | 8,295.63 | 10,395.18 | 21.4% | 〇 |
平均 27.8% |
出所:ウエルスアドバイザー作成
前回「甲辰」の年だった1964年は、前年末に日経平均株価が1,200円近辺まで下落していたことから、株価を支えるため日本共同証券が設立された。国際収支の悪化から、日銀による金融引き締め策の実施や利上げなどにより証券不況が長期化。アジア初の開催となった東京オリンピックが行われたほか、日本人の海外渡航が自由化された。東海道新幹線が開通。日本麦酒がサッポロビール(現サッポロHD<2501.T>)に社名変更。早川電機工業(現シャープ<6753.T>)が電卓を発売した。
1976年は、世界的な不況脱出に向け金利引き下げが実施され、金融相場が進展した。また、原油価格の高騰で潤った中東産油国から「オイルマネー」が欧米各国の株式に流入。大和運輸(現ヤマトHD<9064.T>)が個別宅配サービス「宅急便」を開始した。シチズン時計<7762.T>が世界初のデジタル式(アラーム付)腕時計「クリニトロン」を、ホンダ<7267.T>が「アコード」を発売。
1988年は、東京証券取引所がTOPIX先物取引を、大阪証券取引所(現大阪取引所)が日経平均株価先物取引を開始した。株高を背景としたエクイティファイナンスが活発化。企業が調達した資金は、株式を中心として運用する営業特金に向かい、株価の押し上げに寄与した。大蔵省(現金融庁)は銀行に対して自己資本比率規制の国内適用を通達した。熱帯低気圧が日本近海で多く発生した影響で夏季は曇りや雨の日も多く、西日本と南西諸島を除き梅雨明けが遅れ、北日本では冷夏となった。日産自<7201.T>が「シーマ」を発売。日本光学工業がニコン<7731.T>に社名変更した。
2000年は、コンピューターの2000年問題(コンピュータープログラムで西暦の下2ケタを使い処理量を抑えていたことが2000年を迎え誤作動を起こす可能性)が懸念されていたが無事に通過。米国のIT相場が9月に天井を付けたことで調整入りとなった。日本ではゼロ金利政策が10年ぶりに解除。金融監督庁が改組され金融庁が発足した。2,000円札が発行された。ソニーG<6758.T>が「PlayStation2」を発売。第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行が合併しみずほホールディングス(現みずほフィナンシャルグループ)<8411.T>が発足。DDI(第2電電)、KDD、IOD(日本移動通信)の3社が合併しKDDI<9433.T>が発足した。BSデジタル放送が開始された。
2012年は、主要国による金融緩和策や、ECB(欧州中央銀行)のドラギ総裁によるユーロ防衛策により株価は底打ち。ギリシャ支援策の見直しも加わり、堅調に推移した。自由民主党が衆議院選挙で大勝し政権を奪還、安倍晋三氏が首相に選出される。山中伸弥氏がノーベル医学生理学賞を受賞した。日本経済は春以降、欧州債務危機の影響拡大などの海外経済を主因に低迷が続。実質GDP(国内総生産)成長率は4-6月期にマイナスに転じた。東京スカイツリーが竣工。東京証券取引所でシステム障害が発生し、全上場の1割にあたる241銘柄の売買が停止となった。ANA<9202.T>系の格安航空会社ピーチ・アビエーションが就航した。
「辰」というと、「辰」の文字が企業名に入っている南海辰村建設<1850.T>のほか、「辰」は「龍」という意味もあることから天龍製鋸<5945.T>も挙げられる。人気ゲームシリーズ「龍が如く」を手がけるセガサミーH<6460.T>がある。また、「龍」は水の神様とされる「龍神様」として各地で祀られていることが多いとされ、水つながりから、サントリBF<2587.T>、プレミアムW<2588.T>、伊藤園<2593.T>、トーエル<3361.T>、東レ<3402.T>アクアライン<6173.T>、荏原<6361.T>、オルガノ<6368.T>、栗田工<6370.T>、水道機<6403.T>、前沢工<6489.T>、野村マイクロ<6524.T>、OSGコーポ<6757.T>、日本トリム<6788.T>などの水関連も挙げられる。
野球ファンであれば「竜」の略称を用いられる中日ドラゴンズを思い浮かべるだろう。23年のWBC(ワールド・ベースボール・クラッシック)では侍ジャパンが優勝し、そこで活躍した大谷翔平選手が中日ドラゴンズと提携関係のあるロサンジェルス・ドジャースに移籍した。中日はセントラルリーグで11年に落合博満監督の元で優勝して以来、優勝から遠ざかっているが、13年ぶりの巻き返しも期待される。また、秋には第3回WBSCプレミア12」が開催されることもあり野球人気の継続も期待され、ミズノ<8022.T>やアシックス<7936.T>、ゼット<8135.T>、アルペン<6028.T>、ゼビオHD<8281.T>などが再注目される場面もありそう。
(高橋 克己)
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