2022-10-13
モーニングスターでは毎月、運用実績3年以上の国内公募追加型株式投信を対象にレーティングを付与している。2022年9月末時点でレーティング付与対象ファンドは4,546本と前月から22本減少した。このうち同月末時点における純資産残高が10億円以上、かつ前月とカテゴリーが同一のファンド(以下、同条件)は3,121本あり、その内訳はレーティング新規8本、上昇189本、変わらず2,746本、低下178本となった。以下、同条件でレーティングが5ツ星に上昇したファンド、及び同条件で運用開始から3年が経過してレーティングが初めて付与されたファンドの中から注目ファンドについて取り上げる。
レーティングが5ツ星に上昇したファンドは38本ある。今回はJPモルガン・アセット・マネジメントの「JPM グローバル医療関連株式ファンド」に注目したい。モーニングスターレーティングは前月の4ツ星から上昇し、付与開始月の2016年7月以来74カ月目ぶりに5ツ星を獲得した。
同ファンドは、外国籍ファンドへの投資を通じて、実質的に、日本を含む世界の医療関連企業(医薬品、バイオテクノロジー、ヘルスケア・サービス、医療技術、ライフサイエンスに関連した業務を行う企業)の株式に投資する。外国籍ファンドの運用は、JPモルガン・アセット・マネジメント(UK)リミテッド(英国法人)が行う。外国籍ファンドでは、収益力、成長性、株価の割安度、財務基盤の安定性、業界内での競争力などを踏まえて銘柄を選定する。
2022年8月末時点のポートフォリオを見ると、組入銘柄は82、国別構成比率の上位は米国80.3%、英国5.4%、デンマーク4.5%、業種別構成比率は医薬品29.9%、バイオテクノロジー26.4%、医療・健康サービス22.3%、医療機器・器具21.4%となっている。組入上位3銘柄(同年7月末時点)は、米医療・健康サービスの『ユナイテッドヘルス・グループ』(組入比率9.1%)、米バイオテクノロジーの『アッヴィ』(同5.3%)、米医薬品の『イーライリリー』(同5.0%)となっている。
2022年9月末時点の過去5年間のトータルリターン(年率)は13.32%とモーニングスターカテゴリー「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」平均を5.88%上回り、カテゴリー内上位4%(168本中6位)となっている。
(図表)「JPM グローバル医療関連株式ファンド」のレーティングの推移
※期間:2016年7月~2022年9月
出所:モーニングスター作成
2022年9月末時点で初めてレーティングが付与されたのは8ファンドある。その中で5ツ星を獲得したのは、カレラアセットマネジメントの「グローバル医薬品株式ファンド」とSBIアセットマネジメントの「SBI・V・S&P500インデックス・ファンド」(愛称:SBI・V・S&P500)の2本。このうち、今回はアクティブファンドの「グローバル医薬品株式ファンド」を取り上げたい。
同ファンドは、日本を含む世界の医薬品関連企業の株式(グローバル医薬品株式)を主要投資対象とする。銘柄選定にあたっては、成長性、財務健全性、安定性、バリュエーション、流動性などを踏まえる。2022年8月末時点のポートフォリオを見ると、組入銘柄は11と厳選されている。国別構成比率は米国43.18%、スイス23.41%、日本11.22%、フランス10.35%、現金・その他11.84%、組入上位3銘柄は、スイスの『ノバルティス』(組入比率20%)、米『ファイザー』(同11%)、フランスの『サノフィ』(同10%)となっている。
2022年9月末時点の過去3年間のトータルリターン(年率)は21.87%とカテゴリー「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」平均を10.13%上回り、カテゴリー内上位5%(237本中11位)となっている。
ウエルスアドバイザーでは、3年以上の運用実績を有するファンド(注1)に対して、定量データに基づき5段階のファンドレーティングを付与している。具体的には、あるファンドが同じカテゴリー(「国内大型ブレンド」など)に属するファンド群と比較して、運用効率(シャープレシオ:注2)が高ければ星の数が多くなる仕組みで、最上位は5ツ星である。レーティングは、直近3年間、5年間、10年間のほか、それらのより長期のレーティングが重視されるよう加重平均した「総合」を公表している。
注1:国内公募追加型株式投信(確定拠出年金向けファンド及びラップ口座専用ファンド、ETF等を含む)が対象。
注2:リスク調整後のリターンを計る指標。2つのファンドが同じリターンであれば、リスク(リターンのブレ幅)が小さい方がシャープレシオの値が高くなる。同様に、同じリスク(〃)であれば、リターンが高い方がシャープレシオの値が高くなる。厳密には、弊社が独自に算出する「カテゴリー内リターン」と「カテゴリー内リスク」によってリスク調整後のリターンのスコアを測定し、レーティングを付与している。