2023-06-08
ウエルスアドバイザーでは毎月、運用実績3年以上の国内公募追加型株式投信を対象にファンドレーティングを付与している。2023年5月末時点でレーティング付与対象ファンドは4,561本と前月から4本増加した。このうち同月末時点において純資産残高が10億円以上、かつ前月とカテゴリーが同一のファンド(以下、同条件)は3,229本あり、その内訳はレーティング新規5本、上昇253本、変わらず2,777本、低下194本となった。以下、同条件でレーティングが5ツ星に上昇したファンドの中から注目のファンドを取り上げる。なお、同条件で運用開始から3年が経過してレーティングが初めて付与されたファンドについては、該当5ファンドが全て3ツ星以下であったため、取り上げない
レーティングが5ツ星に上昇したファンドは41本ある。今回は、フィデリティ投信の「フィデリティ・グローバル・ファンド」とキャピタル・インターナショナルの「キャピタル 世界株式ファンドF」の2ファンドを取り上げたい。
「フィデリティ・グローバル・ファンド」は前月の4ツ星から上昇して2019年1月以来52か月ぶりに5ツ星を獲得した。
同ファンドはマザーファンドへの投資を通じて、実質的に、日本を含む世界の企業の中から、個別企業分析により成長性があると判断した企業の株式に、利益成長性から見て妥当と判断した株価水準で投資する。個別企業の分析に際しては、フィデリティグループのグローバルネットワークを活用し、調査委対象企業の経営陣などの経営の質のほか、仕入先・関係会社の調査や世界中の競合他社との比較を行う。マザーファンドの運用は、フィデリティグループの英FILインベストメンツ・インターナショナルが担う。
マザーファンドの2023年3月末時点のポートフォリオを見ると、組入銘柄数は88、組入上位国・地域は米国58.4%、日本4.8%、フランス4.4%となっており、組入上位銘柄は、米『マイクロソフト』(組入比率5.2%)、米『バークシャー・ハサウェイ』(同4.7%)、米『アルファベット(クラスA)』(同3.7%)となっている。
同年5月末時点の過去10年間のトータルリターン(年率)は11.46%とカテゴリー「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」平均を2.74%上回り、カテゴリー内上位15%(92本中第13位)となっている。
(図表)「フィデリティ・グローバル・ファンド」のレーティングの推移
※期間:2010年7月~2023年5月
「キャピタル 世界株式ファンドF」は前月の4ツ星から上昇して2022年4月以来13カ月ぶりに5ツ星を獲得した。
同ファンドは外国籍ファンドへの投資を通じて、実質的に、日本を含む世界の企業の株式を投資対象とする。キャピタル・グループのグローバルな調査力・運用力を活用する。外国籍ファンドの運用は、キャピタル・リサーチ・アンド・マネジメント・カンパニーが担う。
外国籍ファンドの2023年4月末時点のポートフォリオを見ると、組入銘柄数は284、組入上位国は米国49.3%、フランス9.9%、英国4.9%となっており、組入上位銘柄は、米『マイクロソフト』(組入比率4.4%)、デンマーク『ノボ ノルディスク』(同2.7%)、台湾『台湾セミコンダクター』(同2.2%)となっている。
同年5月末時点の過去5年間のトータルリターン(年率)は13.98%とカテゴリー「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」平均を4.11%上回り、カテゴリー内上位9%(186本中16位)となっている。
ウエルスアドバイザーでは、3年以上の運用実績を有するファンド(注1)に対して、定量データに基づき5段階のファンドレーティングを付与している。具体的には、あるファンドが同じカテゴリー(「国内大型ブレンド」など)に属するファンド群と比較して、運用効率(シャープレシオ:注2)が高ければ星の数が多くなる仕組みで、最上位は5ツ星である。レーティングは、直近3年間、5年間、10年間のほか、それらのより長期のレーティングが重視されるよう加重平均した「総合」を公表している。
注1:国内公募追加型株式投信(確定拠出年金向けファンド及びラップ口座専用ファンド、ETF等を含む)が対象。
注2:リスク調整後のリターンを計る指標。2つのファンドが同じリターンであれば、リスク(リターンのブレ幅)が小さい方がシャープレシオの値が高くなる。同様に、同じリスク(〃)であれば、リターンが高い方がシャープレシオの値が高くなる。厳密には、弊社が独自に算出する「カテゴリー内リターン」と「カテゴリー内リスク」によってリスク調整後のリターンのスコアを測定し、レーティングを付与している。