2023-04-11
ウエルスアドバイザーでは、運用実績3年以上の国内公募追加型株式投信を対象にファンドレーティングを付与している。2023年3月末時点でレーティング付与対象ファンドは4,566本と前月から1本増加した。このうち同月末時点における純資産残高が10億円以上、かつ前月とカテゴリーが同一のファンド(以下、同条件)は3,215本あり、その内訳はレーティング新規14本、上昇266本、変わらず2,633本、低下302本となった。以下、同条件でレーティングが5ツ星に上昇したファンド、及び同条件で運用開始から3年が経過してレーティングが初めて付与されたファンドの中から注目ファンドについて取り上げる。
レーティングが5ツ星に上昇したファンドは25本ある。今回は、三菱UFJ国際投信の「三菱UFJ/マッコーリーグローバル・インフラ債券ファンド<為替ヘッジなし>(毎月決算型)」(愛称:世界のいしずえ)に注目したい。ファンドレーティングは前月の4ツ星から上昇し、2020年12月以来27か月ぶりに5ツ星を獲得した。
同ファンドは実質的に、日本を含む世界のインフラ関連企業が発行する米ドル建ての債券に投資する。インフレ関連企業とは、公益(電気、ガス、水など)、通信(携帯電話など)、エネルギー(石油など)、運輸(空港、道路、鉄道など)といった日常生活に必要不可欠なサービスを提供する企業を指し、投資する債券は原則として取得時においてBBB-格相当以上の格付けを取得している債券とする。実質的な運用は、豪マッコーリー・インベストメント・マネジメント・グローバル・リミテッドが行う。2023年2月末時点のポートフォリオ特性値は、最終利回り5.6%、デュレーション9.0、平均格付けBBB+となっている。
2023年3月末時点の過去10年間のトータルリターン(年率)は4.40%とカテゴリー「国際債券・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」平均を1.89%上回り、カテゴリー内上位6%(129本中第7位)となっている。
(図表)『世界のいしずえ』のレーティングの推移
※期間:2015年6月~2023年3月
2023年3月末時点でレーティングが新規に付与された14ファンドのうち5ツ星を獲得したのは、フィデリティ投信の「フィデリティ・世界割安成長株投信」(愛称:テンバガー・ハンター)シリーズの「Aコース(為替ヘッジあり)」と「Bコース(為替ヘッジなし)」、及び野村アセットマネジメントの「野村 スリーゼロ先進国株式投信」の3本であった。今回は『テンバガー・ハンター』に注目したい。
同シリーズは実質的に、日本を含む世界の企業の中から、市場が気づいていない成長機会を有する割安な銘柄、すなわち株価が10倍になると期待される銘柄(テンバガー)に投資する。実質的な運用は米FIAM LLCが行う。2023年2月末時点のポートフォリオ特性値は、予想株価収益率が11.2倍と参考指数であるMSCIワールド・インデックスの16.1倍を下回り、割安株に投資していることが分かる。
純資産残高の大きな「Bコース(為替ヘッジなし)」(2023年3月末時点で4,342億円)の同月末時点の過去3年間のトータルリターン(年率)は26.93%とカテゴリー「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」平均を6.87%上回り、カテゴリー内上位10%(255本中第24位)となっている。
ウエルスアドバイザーでは、3年以上の運用実績を有するファンド(注1)に対して、定量データに基づき5段階のファンドレーティングを付与している。具体的には、あるファンドが同じカテゴリー(「国内大型ブレンド」など)に属するファンド群と比較して、運用効率(シャープレシオ:注2)が高ければ星の数が多くなる仕組みで、最上位は5ツ星である。レーティングは、直近3年間、5年間、10年間のほか、それらのより長期のレーティングが重視されるよう加重平均した「総合」を公表している。
注1:国内公募追加型株式投信(確定拠出年金向けファンド及びラップ口座専用ファンド、ETF等を含む)が対象。
注2:リスク調整後のリターンを計る指標。2つのファンドが同じリターンであれば、リスク(リターンのブレ幅)が小さい方がシャープレシオの値が高くなる。同様に、同じリスク(〃)であれば、リターンが高い方がシャープレシオの値が高くなる。厳密には、弊社が独自に算出する「カテゴリー内リターン」と「カテゴリー内リスク」によってリスク調整後のリターンのスコアを測定し、レーティングを付与している。