2022-06-10
モーニングスターでは毎月、運用実績3年以上の国内公募追加型株式投信を対象にレーティングを付与している。2022年5月末時点でレーティング付与対象ファンドは4,574本と前月と同数となった。このうち同月末時点における純資産残高が10億円以上、かつ前月とカテゴリーが同一のファンド(以下、同条件)は3,144本あり、その内訳はレーティング新規10本、上昇216本、変わらず2,691本、低下227本となった。以下、同条件でレーティングが5ツ星に上昇したファンド、及び運用開始から3年が経過したレーティング新規付与ファンドのうち5ツ星を獲得したファンドについて取り上げる。
レーティングが5ツ星に上昇したファンドは59本ある。今回は三井住友DSアセットマネジメントの「グローバル好配当株オープン」に注目したい。モーニングスターレーティングは前月の4ツ星から上昇し、現行のレーティングの付与が始まった2010年7月から143カ月目にして、初の5ツ星となった。
同ファンドは、日本を含む世界各国の配当利回りの高い「高配当株式」中から、配当の安定性や成長性などを加味して選定した「好配当株式」に分散投資し、安定した配当収入を確保すると同時に値上がり益の獲得を目指す。北米地域、欧州地域、アジア・オセアニア地域への投資比率は概ね均等とする。2022年4月末時点の組入銘柄数は55で、地域別構成比は北米34.2%、欧州33.8%、アジア・オセアニア28.5%、国別は米国34.2%、イギリス11.4%、フランス9.9%などとなっている。組入上位銘柄は半導体受託製造世界大手の台湾『台湾セミコンダクター』5.0%、世界的な総合エネルギー企業の米『コノコフィリップス』5.0%、自動車販売・保守を手掛ける中国の『チャイナ・メイドン・オート・ホールディングス』4.9%などとなっている。
2022年5月末時点の過去10年間のトータルリターン(年率)は14.56%とモーニングスターカテゴリー「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」平均を1.32%上回り、カテゴリー内上位39%(86本中33位)。なお、同ファンドは、今年発表されたモーニングスターの「ファンド オブ ザ イヤー2021」において、「国際株式型(グローバル・含む日本) 部門」で「優秀ファンド賞」を受賞している。
(図表)「グローバル好配当株オープン」のレーティングの推移
※期間:2010年7月~2022年5月
出所:モーニングスター作成
新規にレーティングが付与された10ファンドの中では、三菱UFJ国際投信のテーマ型インデックスファンド「eMAXIS Neo」シリーズの「eMAXIS Neo 自動運転」と「eMAXIS Neo ウェアラブル」の2ファンドが5ツ星を獲得した。
「eMAXIS Neo」シリーズは、革新的なテーマを対象とする指数への連動を目指すノーロードのインデックスファンドシリーズ。主に米国市場に上場している日本を含む世界の企業の中から、AI(人工知能)を活用してテーマごとに銘柄を選定・算出する「S&P Kensho ニューエコノミー指数」に連動することを目指す。シリーズには現時点で、今回5ツ星を獲得した『自動運転』、『ウェアラブル』のほか、『バーチャルリアリティ』、『電気自動車』などをテーマとする13ファンドがある。
「eMAXIS Neo 自動運転」は、製造・開発・ソフトウエアなどの自動運転関連銘柄からなる「S&P Kensho Autonomous Vehicles Index(配当込み、円換算ベース)」を、「eMAXIS Neo ウェアラブル」はスマートウォッチやスマートグラスといった家庭、軍事、医療用に装着可能(ウェアラブル)な機器を製造する企業などからなる「S&P Kensho Wearables Index(配当込み、円換算ベース)」をベンチマークとする。
2022年5月末時点の過去3年間のトータルリターン(年率)は、『自動運転』が38.18%とカテゴリー「国際株式・グローバル・含む日本(為替ヘッジなし)」平均を23.09%上回り、カテゴリー内上位2%内(230本中3位)、『ウェアラブル』は31.38%とカテゴリー「国際株式・グローバル・除く日本(為替ヘッジなし)」平均を14.75%上回り、カテゴリー171本中トップとなっている。
ウエルスアドバイザーでは、3年以上の運用実績を有するファンド(注1)に対して、定量データに基づき5段階のファンドレーティングを付与している。具体的には、あるファンドが同じカテゴリー(「国内大型ブレンド」など)に属するファンド群と比較して、運用効率(シャープレシオ:注2)が高ければ星の数が多くなる仕組みで、最上位は5ツ星である。レーティングは、直近3年間、5年間、10年間のほか、それらのより長期のレーティングが重視されるよう加重平均した「総合」を公表している。
注1:国内公募追加型株式投信(確定拠出年金向けファンド及びラップ口座専用ファンド、ETF等を含む)が対象。
注2:リスク調整後のリターンを計る指標。2つのファンドが同じリターンであれば、リスク(リターンのブレ幅)が小さい方がシャープレシオの値が高くなる。同様に、同じリスク(〃)であれば、リターンが高い方がシャープレシオの値が高くなる。厳密には、弊社が独自に算出する「カテゴリー内リターン」と「カテゴリー内リスク」によってリスク調整後のリターンのスコアを測定し、レーティングを付与している。