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やさしい株式投資の話


第7章 投資のための尺度があるそうだが?

 代表的な尺度としては配当利回り、株価収益率(PER)、株価純資産倍率(PBR)、株式益利回り、自己資本利益率(ROE)が挙げられます。以下一つずつみてみましょう。

配当利回り

 配当利回りとは年間に受ける配当を株価で割ったものです。配当の利回りです。預金利子の額を預金量で割れば預金の利回り(預金の利子率)が出ます。これと同じ考え方です。資金を投入したら現実に利子や配当としていくら入るかというものです。株価がいつも変動しているため厳密には同じ日でも配当利回りが違います。

 特に近年この配当利回りが注目されてきました。配当利回りが良いものだけでなく、それに比べれば利回りは若干落ちるとしても高配当の銘柄が人気を集めてきました。

 年金生活者の一部などにみられる態度で、株価が大幅値下がりするといったことはもちろんまずいのですが、売却を予定していないため多少の株価変動には一喜一憂しないという人が増えてきているのです。年金にプラスしてお小遣いに充てる目的で保有するわけです。仮に1カ月ずつ、ずらして決算期を迎える6銘柄を買えば、中間配当を考えると毎月お小遣いが入ることになります。

株価収益率(PER)

 株価収益率は英語でPERといいます。プライス(P)アーニングス(E)レシオ(R)、といい、株価をその企業の一株利益で割ったものです。この場合、既に終了した直近の期の一株利益を使用する方法と現在進行中の期の予想一株利益を使用する方法とがあります。株式市場ではこのうち予想PERを使用するケースが多いと思われます。また、PERは何倍以下ならよいという基準はありませんが、その企業が過去に評価されていた水準、同一業界の平均的水準、市場全体の水準などと比較します。

 仮にPER15倍ならその株価で購入すると、購入金額を回収する(配当だけでなく社内に残る利益も株主のものなので)のに15年かかるわけです。もちろん、会社の利益が拡大していくとすればその回収期間はより短期となるのでPERの倍率は目安でしかありません。ただし、利益が減少もしくは損失が出るケースでは、本来の意味では使えません。いまいったように、市場全体で見るとPER評価に向いていない減益決算の企業なども入っています。そうなると、市場のPERといっても正確に市場全体を表していないわけで、それと銘柄のPERを比較することに意味があるかということにもなります。

 しかし、市場の中で増益企業だけの数値が入手困難である以上、全体と比較することもやむをえないでしょう。

株価純資産倍率(PBR)

 株価純資産倍率はPBRといいます。プライス(P)ブックバリュー(B)レシオ(R)です。公表されている最直近の貸借対照表にある純資産額を発行株数で割り、一株当たりの純資産を算出します。そして株価をこの算出した一株当たりの純資産で割ったものがPBRです。

 PBR1倍というのは株価と一株純資産額が同じなので、企業業績などに対する期待がゼロなら妥当ということなのでしょうが、普通は一株純資産が毎期増加していくとみて1倍以上に買われます。

 PBRが1倍を割り込んでくると、一株純資産以下にしか評価されていないことを意味します。理論上その株価で全株買ってしまえば、買った会社の資産を全て切り売りすると儲かることになります。市場であまりにも割安に評価されていることになり、理論上の最低株価はPBR1倍です。

株式益利回り

 株式益利回りというのはPERの逆数です。企業の株主が企業所有者ですから、配当金以外の利益も株主ものと考えることができます。そうすると、株の時価を元本として企業の収益(一株利益)が生み出された果実(預金でいえば利子)に相当します。ただ、これを使って株価判断する場合には個別株というよりも市場全体として他市場と比較します。

 市場全体の株式益利回りと国債の金利と比較すれば(その差をイールドスプレッドといいます)債券市場にお金を回すほうが良いか、株式市場にまわすほうが良いか分かるはずです。

 しかし、国債と違いつぶれる危険のある分だけ株式市場には株価上昇による売却益が期待値としてこめられています。値上がり期待がどれくらいかにもよりますが、国債利回りより株式益利回りのほうが低くても通常のことです。

 それで直(じか)に国債利回りと株式益利回りを比較するのではなく、その差がどの程度なら債券市場にお金を回したほうが有利か、株式市場に回したほうが有利か、を考えます。ひとつの目安ですが国債利回りから株式益利回りが2〜3%下のところで釣り合いが取れているといわれます。

自己資本利益率(ROE)

 自己資本利益率はROEといいます。ROEはリターン(R)オン(O)エクイティ(E)といいます。利益を自己資本で割ったものです。

 これは次のようにもいえます。利益を株数で割った(利益÷株数)ものが一株利益で、自己資本を株数で割った(自己資本÷株数)のが一株純資産ですから、突き詰めるとROEは一株利益を一株純資産で割ったものです。

 ただ、ここには株価が入り込みませんので、直接に株価との関係はありません。それでも株主の持分である一株純資産を使って経営陣がどれだけ有効に利益を上げたかが分かるので、経営力を評価した株価を考える場合には意味があります。

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